テストで好タイム連発のARTA……しかし手応えはイマイチ? 強力2台体制も「クルマが同じにならない」|スーパーGT公式テスト
オフのメーカーテストから好タイムをマークしているARTA。岡山公式テスト初日でも速さを見せているが、順位相応の手応えは得られていないようだ。
写真:: Masahide Kamio
このオフの間、スーパーGTの主役になっていると言っても差し支えないのが、今季から2台体制に拡充されたARTA。その強力な体制も去ることながら、叩き出すタイムでも注目を集めている。しかし当のドライバーたちは思い悩んでいるようだ。
昨年はGT500クラスでランキング12位、GT300クラスでもランキング12位と低迷したARTA。今季はGT300では活動しないものの、GT500ではスーパーフォーミュラ王者のMUGEN(株式会社M-TEC)とタッグを組み、8号車、16号車の2台体制を構築した。
そんなARTAはオフのテストで速さを見せている。参加したメーカーテストでは半数以上でトップタイムを記録。今季初めて全車が集結し、初めて全車が新導入のカーボンニュートラルフューエルを搭載して臨んだ岡山公式テストでも、初日は16号車の福住仁嶺が総合トップタイム。午後のセッションではワンツーも記録した。
ここまで非常に好調な滑り出しに見えるARTA。しかしドライバーから聞かれるコメントは決してポジティブなものばかりではない。トップタイムの福住も「悪くはないけど、まだ完璧ではない」として、フロントのグリップ不足に悩まされていると話していた。
今季は8号車で大湯都史樹とコンビを組む野尻智紀も、現在の順位をどう見ているかという問いに「難しい質問ですね」と一言。順位を額面通りには受け取れないようだ。
「僕たちは良くも悪くも、2台揃ったことで色んなことが“分かってしまう”んですよね」と野尻は言う。2台体制のメリットは多くの情報共有をすることで様々なことが“分かる”ということのはず……。“分かってしまう”という表現をした真意を聞くと、次のように続けた。
「これはスーパーGT全体の課題だと思いますが、今はモノコックが共通とされていますけど、誤差とは言い難いくらいに個体ごとの差が大きいです」
#16 ARTA MUGEN NSX-GT
Photo by: Masahide Kamio
「(2台で同じ調整をしても)全く同じにはなりません。これは薄々感じてはいましたが、皆さんが思っている以上に差が大きいです。そういった理由で、自分たちの持っている道具の嫌な部分の個性を消しきれなくて、8号車も16号車もそれぞれ悩んでいます」
「本当はもっとデータ共有をしていきたいのですが、今はそもそもの個体差が大きくて、データ共有ができないレベルです。そういった中でイマイチ手応えを感じられていません」
この“個体差”に関しては、2台体制のトムスに今季から加入した37号車Deloitte TOM'S GR Supraの笹原右京も指摘している。現在はマシンバランスに苦しんでいるという彼も「36号車のセットアップをコピーしてもうまくいかないようなので、もしかするとモノコックに違いがあるのかもしれません」と言う。
#37 Deloitte TOM'S GR Supra
Photo by: Masahide Kamio
また野尻が危惧しているのは、今後春先から夏にかけて気温が上がっていき、空気密度が下がることでダウンフォースの総量が減った際にマシンバランスを保てるのかという点。そういう意味でも、オフのテストでトップタイム連発でも、楽観視していないようだ。
タイムシート上の順位では非常にハッキリとした傾向が出ている今シーズンだが、やはり文字通り“蓋を開けてみなければ分からない”と言うほかなさそうだ。
Be part of Motorsport community
Join the conversationShare Or Save This Story
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。
Top Comments