スーパーGT 第6戦:SUGO

ひとつの判断ミスが明暗分ける。23号車のクインタレッリ、僚機と異なるピット戦略で逃した勝利に「レース人生で一番悔しい2位」

23号車MOTUL AUTECH Zのロニー・クインタレッリは、優勝争いを展開しながらもピット戦略により2位に終わったスーパーGT第6戦SUGOのレースを「レース人生の中で最も悔しい2位のひとつ」と語っている。

#23 MOTUL AUTECH Z

 スポーツランドSUGOを舞台に行なわれたスーパーGT第6戦SUGO。ピット戦略を決めた3号車CRAFTSPORTS MOTUL Zが決勝レースを制した一方で、23号車MOTUL AUTECH Zは戦略で交わされ2位となった。

 この結果に23号車のロニー・クインタレッリは「レース人生の中で最も悔しい2位のひとつ」と語っている。

 23号車は予選で3番手タイムを記録したものの、前戦鈴鹿で松田次生がモラルハザード適用となる累積6点を超過したことで、グリッド降格ペナルティ。決勝レースは7番手からスタートした。

 レースでは序盤の雨で上位陣がピットインしてウエットタイヤに交換する中、クインタレッリが駆る23号車はGT300クラス車両のコースオフにより提示されたフルコースイエロー(FCY)のタイミングまでステイアウト。ピット作業で同じ戦略を採っていた16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTの前に出ると、ミシュランのウエットタイヤがコース上で威力を発揮する。

 23号車は、39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraと38号車ZENT CERUMO GR Supraを次々に抜き去り、トップへ浮上。序盤にウエットタイヤへ切り替えていた同じくミシュラン勢の3号車も、23号車に次ぐ2番手にまで順位を上げた。

「(スリックタイヤからウエットタイヤに変えるために)チームはピットへ入るように言ってきましたが、僕は入りたくはありませんでした」

 クインタレッリは序盤のステイアウトをそう振り返る。

「何度も入るように言われましたが、コースにはドライの部分が残っていると感じていましたし、気持ちよく走れていたので、時を待ちたいと思っていました。それで、本当に状況が悪化したところでようやくピットインしました」

「FCYに関して僕らは少しラッキーでした。それほどタイムロスをせずに、ピットアウトした時には4番手につけれていたと思います」

「ウエットタイヤで僕らは強力でしたが、それよりも他のマシンが苦戦していたことに驚きました。僕らは3種類のタイヤから選べるようになっていて、あの時点ではヘビーウエットではなく、普通のウエットコンディションでした」

「ウエットコンパウンドで走り始めましたが、これが予想通りいったんです。バックストレートではエンジニアから前方のマシンから9秒差だと言われていましたが、最終コーナーではその姿が見えていたんです!」

「ミシュランのウエットタイヤをようやく試すことができて嬉しいですし、週末を前に雨が降れば良いなと思っていたんです! ウエットでのパフォーマンスはとても印象的でした」

 ミシュラン勢のワンツー体制のままレースは進んでいったが、GT300クラスで交錯する車両が発生し、再びFCYが提示される可能性が浮上したことから、23号車は44周目の終わりにピットへ。23号車は第3スティントでもウエットタイヤを履いたが、雨脚が弱まり、路面も回復傾向に向かっていたことで、スリックタイヤへの交換のために54周目に3度目のピットインを強いられることになった。

 一方、3号車はGT300のインシデントに反応することなくステイアウトを選択。結果的にFCYが提示されることもなく、路面がドライアップした55周目までウエットタイヤでの第2スティントを引っ張った。このピット戦略が決定打となり、3号車がピットアウトした際には2番手の23号車に対して30秒近いギャップが生まれていた。

 クインタレッリからバトンを受け継いだ松田は、レース最終盤に3号車とのギャップを9秒にまで縮めてみせたものの、2位チェッカー。今回は勝てたレースだったとクインタレッリは悔しさを爆発させている。

「一瞬、『おお、こりゃ楽勝だな』と思ったんですけどね。この戦略を受け入れるのは難しいです」

 そうクインタレッリは語る。

「チームはGT300のマシンがスピンしたのを見て、FCYが出ると判断しましたが、コースは乾き始めていて、仮にFCYでいくらかタイムを稼げていたとしても……(3度目のピットインは避けられなかった)。全部をコントロールするのは簡単なことじゃないと理解していますが、姉妹チームが行なった”普通の”戦略は正しかった」

「これは僕のキャリアの中で最も悔しい2位のひとつです。家に帰って忘れたいです」

「このような状況(天候)はラッキーでしたが、こういう機会を得た以上、勝たなきゃいけませんでした。2位フィニッシュのためにレースをしている訳ではありません。(戦略に関しては)誰のせいでもありませんが、2位というのは本当に受け入れがたいです」

Ronnie Quintarelli, #23 MOTUL AUTECH GT-R

Ronnie Quintarelli, #23 MOTUL AUTECH GT-R

Photo by: Masahide Kamio

 3号車と23号車の明暗を分けたのが、ウエットタイヤでの第2スティントを引っ張ったかどうか。実際、23号車が2度目のピットインを行なった44周目時点でもコースは乾き始めていたとクインタレッリは認めている。

「ドライパッチが出始めているのは見えていたから、僕らはただステイアウトすればよかったんです」と彼は説明する。

「最大規定周回数(56周)まで引っ張って、スリックタイヤにするかどうかを決めることもできたはず……ステイアウトしていて失うモノは何もなかったんです」

「しかしチームはFCYでタイムを稼ぐことにフォーカスしていました。ひとつのことを集中しすぎて、全体像が見えなくなってしまうこともある。テレビで観ていたファンは『何やってんだ?』と言うかもしれないですが、ピットにいるとこういうミスが起こるものなんです」

「他の最高峰モータースポーツカテゴリーでも見られることです」

 3号車は第3戦鈴鹿に続く今季2勝目をマークしたことで、シリーズランキング首位に浮上。第5戦富士の勝者である12号車カルソニック IMPUL Zが同2番手、23号車は今回2位に終わったものの、3号車から17ポイント差の同3番手につけ、今季新型Zを投入した日産勢が、第7戦オートポリスと最終戦もてぎを残してランキングのトップ3を独占している状況だ。

 日産としては、先代Zの参戦初年度となる2004年に23号車Xanavi Nismo Zを駆る本山哲/リチャード・ライアン組が全日本GT選手権(JGTC)のタイトルを獲得。GT-Rの参戦初年度である2008年に本山/ブノワ・トレルイエ組の23号車XANAVI NISMO GT-Rがタイトルを決めており、ニューマシン投入初年度に戴冠するジンクスを持っている。

「ポイントランキングを見ましたが、日産勢が1番手、2番手、3番手というのは信じられないことです」とクインタレッリはタイトル争いについてそう語る。

「NISMOのドライバーとしては、この状況はとても嬉しいことです。ミシュランは強かったですし、(重いサクセスウェイトが積まれていた)12号車もまた力強いレースをしていました。全体的に、日産はとても強く見えます」

「3台が良いパフォーマンスを発揮する方法を見つけられたので、その点では満足しています。個人的には自分たちが勝ちたいですが、日産として今シーズンはタイトルを取らないといけません。それに向けて力を合わせてがんばります」

 
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