ライバル多数、群雄割拠のル・マン24時間で価値ある勝利挙げたトヨタ。その秘訣は「どんな時間帯でも戦える」TR010にアリと小林可夢偉
小林可夢偉は、ル・マン24時間レースを制したTR010ハイブリッドについて、「どの時間帯でも速く走れる」クルマづくりをしてきたと語る。
写真:: Rainier Ehrhardt
2026年のル・マン24時間レースを制したTOYOTA RACING。過去3シーズンはフェラーリに勝利を奪われてきたが、車両を“TR010ハイブリッド”にアップデートした今シーズン、4年ぶりの総合優勝を果たした。
トヨタはTS050ハイブリッド、そしてGR010ハイブリッドで2018年からのル・マン24時間を5連覇。しかし近年は勝利に届かず、特に昨年は7号車、8号車共に表彰台にも届かず惨敗。2021年から使い続けてきたGR010がパフォーマンス面で限界を迎えている感は否めず、7号車のドライバーでチーム代表でもある小林可夢偉は昨年のレース後、「パフォーマンス面で劣っている部分がたくさんあった。無理をしないとタイムが出ない、でも無理をすると限界が来てしまう……というスパイラルの中で戦っていた」と明かしていた。
そして今季、トヨタのLMH車両は待望のアップデートが行なわれ、車両名もTOYOTA GAZOO RacingからTOYOTA RACINGへのリブランドに伴い『TR010』に改められた。これについて8号車のドライバーである平川亮は「今年からクルマを新しくして、『これで負けたら……』という思いで全員準備をしてきました」と語る。
迎えた2026年のル・マン24時間で、TR010は高いパフォーマンスを見せた。予選こそ14番手、15番手と後方に沈んだトヨタ勢だったが、決勝ではレースペースの良さを活かすアンダーカット戦略で早々に上位に上がると、そこからはキャデラック、BMWらと終盤まで激しい優勝争いを繰り広げた結果、7号車が優勝、8号車が3位という結果を残した。
トヨタのル・マンでの過去5勝は、メーカーの撤退が相次いだLMP1クラス末期と、新たな枠組みでスタートしたハイパーカークラスの黎明期と重なっており、ライバルメーカーが少なかったという側面もあった。しかし現在はハイパーカークラスも隆盛を迎えており、昨年限りでポルシェは撤退したものの、フェラーリ、キャデラック、BMW、アルピーヌなど欧米の名だたるメーカーが参戦するハイレベルなコンペティションが繰り広げられている。そんな中でトヨタが手にした勝利は、「かなり価値がある」と小林も言う。
レース後に行なわれた日本メディア向けのオンライン会見の中で、強力なライバルが多いハイパーカークラスを戦う難しさについて小林に問うと、彼は多くのメーカーがエントリーしている分、少しのミスが大きなポジションダウンになること、そして時間帯によって勢力図が変わり得る側面があると指摘。だからこそ、「どの時間帯でも速く走れる」マシンにTR010を仕上げられたことは大きかったと語った。
「オペレーションの面では、細かいミスをいかになくすかが大切になります。そして細かい判断の速度を上げ、それを最適化できるかが重要です。台数が多いと、一旦後ろに回るとなかなか前に上がれませんからね」
小林はそう語る。
「クルマづくりの面でも、色々なメーカーが出てくると、時間帯、コンディションによって特定のメーカーがすごく速かったり、逆に自分たちがダメだったり……というところが出てきます。だからこそ、どの時間帯でも速く走れるクルマを作る、ということがTR010でできたのはすごく大きかったのかなと思います」
「それで余裕ができたからこそ、最後まで勝負を仕掛けられるレース展開に持ち込めたと思っています。絶対的な速さではなく、どの時間帯でも戦える強さを持ったことによって、色んな余裕ができた。それによって細かいオペレーションでもミスを犯さないようにできたことが大きかったです」
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