WEC 24 Hours of Le Mans

「どんなに優勝しようが、あの悔しさは一生残り続ける」トヨタでル・マン24時間4度制覇のブエミ、2016年の悲劇で負った傷は今も癒えず

セバスチャン・ブエミは、ル・マン24時間でどれだけ勝利を重ねたとしても、2016年の悲劇的な敗戦の悔しさは残り続けるだろうと語った。

公開日時: 2026/06/12 3:16

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#5 Toyota Gazoo Racing  Toyota TS050 - Hybrid:  Anthony Davidson,  Sebastien Buemi, Kazuki Nakajima stops in front of the Toyota pit wall

#5 Toyota Gazoo Racing Toyota TS050 - Hybrid: Anthony Davidson, Sebastien Buemi, Kazuki Nakajima stops in front of the Toyota pit wall

写真:: Zak Mauger / Motorsport Images

 今週末開催される第94回ル・マン24時間レース。トヨタのセバスチャン・ブエミにとっては、実に15回目の参戦となる。すでに4度の優勝を経験しており、今年は4年ぶり5度目の制覇を狙う。

 そんなブエミがAutosport/motorsport.comの独占インタビューに応え、世界三大レースであるル・マンにまつわる自分自身や環境の変化などについて語った。

 ブエミが初めてル・マン24時間に参戦したのは2012年。前年までF1に参戦しており、同年もレッドブルのリザーブドライバーとしてF1の世界に身を置いていた。「当時はトヨタのファクトリープログラムが始まったばかりで、それほど大きな支援を受けていなかった。もちろんありがたいことだったが、これからどうなっていくかは全く分からなかった」とブエミは振り返る。

 そこから初優勝までは、長い時間がかかってしまう。2014年は序盤のアクシデントで最後尾まで落ちたが、怒涛の追い上げで3位。これは「素晴らしいレースだった」とブエミの記憶にも残っている。そしてその2年後のレースも、当然ながら忘れられないものとなっている。

「僕たちは素晴らしいレースをしていた。午前中にトップに立ち、力強い走りをしていたのに、ファイナルラップに……」

 あまりにも有名な2016年ル・マン24時間の悲劇。当時のトヨタ5号車は、首位を快走していたレース最終盤、ドライバーの中嶋一貴から「ノーパワー」という無線が届き、残り3分というところでストップしてしまった。トヨタのル・マン初制覇はその2年後の2018年まで待たねばならないが、中嶋氏は最近のmotorsport.comのインタビューの中で、2016年のル・マンが「チームパフォーマンスという意味でおそらくベストのレースだった」として、トヨタがル・マンで勝てるという自信を得たレースでもあったと振り返っている。

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 ただブエミとしては、当時の悔しさが消えることはないという。

「総合的には、僕たちは素晴らしい仕事をしたと思う。アンソニー(デビッドソン)、カズキ、そして僕も良い走りをしていた」

 そう語るブエミ。2016年の出来事を乗り越えることはできたのかとの問いに、こう答えた。

「いいや。ル・マンで勝つことは本当に難しいことなんだよ。ああいうことは、簡単に乗り越えられるものじゃない」

「それを抱えたまま日々を送ることはできるけど、たとえあれから何度優勝しようが、その悔しさは一生残り続ける」

「やるべきことの99.5%はやり切ったから、ある時ふと『あれだけ頑張ったのに、残り3分であんなところが壊れるなんて。あと1周だったのに』と思ってしまう。2016年のことはどんなに勝っても消えることはない。でも、それが現実だ。前に進もうが進むまいが、あの勝利が戻ってくるわけじゃない」

14年で変わったこと

 2018年〜2020年、2022年のル・マン24時間を制し、歴史に名を刻む存在となったブエミ。長年の経験を通してリスクや危険に関するアプローチは変わったかという質問には、確かに慎重さが身についたとしつつも、それ以上に「エネルギー管理の仕方」を学んだと語る。

「以前は、しょっちゅうガレージにいて無線を聞いて、モニターを見ながらエンジニアと話していた。そしたら夜中にはヘトヘトになってしまっていたんだ」

写真: Toyota Racing

「そこは確実に学べた部分だと思う。クルマから降りたら、必要な人と話して、話し合いをする。それが終われば、もう自分が運転するわけじゃないんだから、それ以上できることはない。ずっとテレビに張り付いてストレスを感じながら過ごしていたら、マシンに戻る時にはエネルギーが切れてしまう。今はそこをうまくコントロールできていると思う」

 また競技の面でブエミは、2012年からの14年でレベルが飛躍的に向上し、レースの運営なども含めてプロフェッショナルになったと語る。そして常に限界ギリギリのところでパフォーマンスを発揮しなければ勝てないレースになっているというが、BoP(性能調整)がさらに状況を難しくしているとも語る。

「BoPのせいで難しくなっている。たとえ自分たちがより良い仕事をしていたり、実力で上回っていたとしても、それが均されてしまう」

「それにセーフティカーの扱いも変わった。十分なギャップを築いても一瞬で帳消しにされることがある。昔ならリードはそのまま保たれていたはずだ」

「実力的には本来そこにいないはずのチームやドライバーまで、同じレベルに引き上げられてしまう。だから難しいんだ」

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