フェラーリ、2023年WECデビューのハイパーカー『499P』を発表。プロトタイプで50年ぶりにル・マン挑戦
フェラーリは、スポーツカー耐久レース最高峰に復帰する2023年に向け、LMH規定車両である『499P』を公式アンベイルした。
フェラーリは、2023年の世界耐久選手権(WEC)に参戦するLMH規定のハイブリッド・プロトタイプカー『499P』を公式発表した。
このマシンの姿は、フィオラノでテストを行なっている様子がすでに報じられていたが、イモラで土曜夜に行なわれた公式発表会ではその名称とカラーリング、そしてパワートレインの構成などが明らかにされた。
499Pという名称は、初期のフェラーリに遡るネーミングの伝統に従っている。499は3リッターV6ツインターボエンジンの1気筒の容量を立方センチメートルで表し、「P」はプロトタイプを表している。
このV6エンジンは、7月に発表された新型296GT3のエンジンと同じ120度バンクとなっているが、まったく新しい設計になっているという。
→【フォトギャラリー】これこそフェラーリ! 2023年のWECに参戦する『499P』
設計・開発責任者であるフェルディナンド・カニッツォは、「296と同じアーキテクチャーだが、ストレスのかかるエンジンなので、構造は全く異なるものである必要がある」と述べた。
「V6を選んだのは、我々のロードカーの方向性を考えれば、間違いなく正しい選択であり、その道を進むのは自然なことだった」
「V6は小さく、軽く、非常にコンパクトであるため、パッケージング、重量配分、重心位置において優位に立つことができる」
赤を基調にイエローのトリミングを施したカラーリングは、1972年と73年にジャッキー・イクス、ブライアン・レッドマン、アルトゥーロ・メルツァリオらとともに戦ったフェラーリ312PBを彷彿とさせる。このマシンは現在のWECの前身である世界メーカー選手権で、3リッターのグループ5で勝利を飾っている。
Ferrari 499P
Photo by: Ferrari
フェラーリは2023年のWECに2台体制で臨むが、そのうちの1台はカーナンバー50となる。これはフェラーリがファクトリーとして第一線のスポーツカーレースから撤退し、ル・マン24時間レースに最後の挑戦をしてから半世紀を記念したものだ。
2台目には、GTレースにおけるフェラーリの象徴的なナンバーである51番がつけられる。2012年以降、WECでフェラーリが獲得した4つのGTE Proドライバーズタイトルは、すべてAFコルセのファクトリーチームが擁する51号車が獲得したものである。
フェラーリ・スポーツカー・レースの責任者であるアントネッロ・コレッタは、フェラーリ499Pについて「我々の過去へのオマージュであり、未来へのマニフェストである」と表現した。
「この499は、耐久レースに対する我々のコミットメントを確認するものであり、耐久レースは新しい技術を試すためにこの種の競技を利用するという我々の伝統の一部なのだ」
Ferrari 499P
Photo by: Ferrari
LMH規則の特徴でもある、市販車に近いイメージの外観を持った499P。大きなシャークフィンがリヤウイングのピラーを兼ねているような構造に注目が集まるが、その下のボディワークはまるでふたつ目のリヤウイングのような形状となっている。このエレメントにはリアライトが組み込まれている。
「このクルマを見れば、明らかにフェラーリだと分かる」とカニッツォは語った。
ツインリアウィングについては、「チェントロ・スティレ(フェラーリのスタイリング部門)にとって、とても興味深いものだった」と説明した。
LMHプログラムに参加するドライバーはまだ発表されていないが、コレッタはWEC LMHの6つのシートは、既存のGTドライバーの中から選ぶつもりであることをカニッツォは改めて強調した。
「ドライバーはフェラーリ・ファミリーの中から選ぶことになる」と、彼は語った。
「我々はGTファミリーに非常に安定したドライバーを擁しており、100パーセント、我々の内部から選ぶことになる」
フェラーリはこれまで、2台のシャシーで1万2000km以上のテストを終えている。3月に開催されるWEC開幕戦セブリング1000マイルでの499Pのデビューに向け、年内には499Pのホモロゲーションが完了する予定である。
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