登録

Sign up for free

  • Get quick access to your favorite articles

  • Manage alerts on breaking news and favorite drivers

  • Make your voice heard with article commenting.

Motorsport prime

Discover premium content
登録

エディション

日本

平川亮のル・マン優勝は、SFやSGTのドライバーが世界で戦える証明:英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記

日本を拠点に活動するmotorsport.comグローバル版のニュース・エディター、ジェイミーがお届けするコラム。今回のテーマは、ル・マンウィナーとなった平川亮について。

Race winners #8 Toyota Gazoo Racing Toyota GR010 Hybrid of Sébastien Buemi, Brendon Hartley, Ryo Hirakawa

写真:: Nikolaz Godet

 今回のコラムは、3年ぶりのヨーロッパ取材となったル・マン24時間レースの後、時差ボケ気味で書いています。東京に住んでいる今、フランスのサルテ・サーキットに行くのは、イギリスに住んでいた頃と比べるとかなり大変な仕事でした。

 今年からトヨタの世界耐久選手権(WEC)のラインアップに加わった平川亮が、ル・マン24時間レースでトヨタGR010ハイブリッド8号車を駆り、チームメイトのセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレーとともに勝利したことは、日本のモータースポーツファンにとって素晴らしい贈り物になったことでしょう。中嶋一貴の後任として8号車のドライバーに抜擢されて以来、チームメイトやトヨタのスタッフからその仕事ぶりを高く評価されてきた平川の優勝は、彼や他の若い日本人ドライバーに明るい未来があることを示唆したと言えるかもしれません。

 優勝を果たした平川は、プレッシャーからレース前1週間は十分な睡眠が取れなかったと言います。しかし、レースウィークの木曜日に平川と話すと、そんなことは感じさせないほどリラックスし、海外メディアからの質問にも自信に満ちた返答をしていました。

 この日、平川は「スパでは(トラブルで)走れなかったので、実質まだ2戦目ですし、経験値が足りません。まだルーキーという感じですが、自分を信じて、日本でやっていたことをやればいいと思っています」と語っていました。

 トヨタのチームディレクターであるロブ・ルーペンも、平川には好印象を抱いているようで、次のように語っていました。

「彼は(中嶋)一貴と(小林)可夢偉から多くのサポートを受け、多くのコーチングを受けてきた。ただ亮自身、もともと才能があり、言語能力も高く、よくコミュニケーションをとっている」

「スパでは(平川がドライブする前に)8号車がリタイアしたので、彼の走りを評価できず残念だったが、彼はここまで良い仕事をしている」

 平川は8号車のドライバー3人の中で最後にドライブを担当。5時間が経過した頃にハートレーと交代し、ステアリングを握りました。ちょうど同じタイミングで、7号車は小林可夢偉にドライバー交代しています。

 TOYOTA GAZOO Racing ヨーロッパのテクニカルディレクター、パスカル・バセロンは、小林と平川が共に走った状況を「師匠と弟子のよう」と表現しました。平川は小林ほどの速さは見せられずとも、最高峰クラスでル・マンを戦った経験がなかったことを考えれば十分な結果を残したと言えるでしょう。バセロンも「あの“弟子”はよくやった」と笑顔を見せていました。

 そうは言っても、平川がまだトヨタ勢の中で最も遅いドライバーであるということも確か。ただ平川の前任である中嶋も、直近数年間では平均ラップタイムがトヨタ勢で最も遅くなっていました。中嶋は2021年のル・マンで、8号車で最も速かったブエミより30周平均で0.642秒遅く、50周平均では0.574秒遅れていたのです。対する平川は、今回チームメイトの中で最も速かったハートレーに、30周平均で0.570秒、50周平均で0.514秒の遅れとなっています。

 平川にとっては、これがトヨタの一員として走る初めてのル・マン。それでいて、1周13.6kmのコースで僅か0.5秒しか離されていない……その実力をもってすれば、この先元F1ドライバーの仲間たちのペースに近づくのはもとより、もしかしたら超えることも可能かもしれません。

 加えて賞賛に値するのは、速さだけでなく大きなプレッシャーの中でミスのない走りをしたことです。他のモータースポーツ以上に、耐久レースはチームスポーツですし、TOYOTA GAZOO Racing ヨーロッパのような多国籍の大組織に溶け込むことは容易ではありません。

 ハートレーとブエミも平川の成長ぶりをとても喜んでいる様子でした。ハートレーは「僕たちクルーは一度のコースオフも、シケイン不通過のミスも、(他車との)接触もなかった」として、ブエミも「今回のレースは計画通りだった。亮がどんどん強くなっていくのが嬉しい。彼は本当にすごかった。僕たちが言ったこと、教えたことを全部やってくれたんだ」と話していました。

 また平川のル・マン優勝は、坪井翔、宮田莉朋、阪口晴南、山下健太といったトヨタの若手ドライバーにとっても大きな刺激とモチベーションになったことでしょう。

 平川が、先輩である小林と中嶋と異なっているのは、小林や中嶋はトヨタのWECドライバーになった時点で既にF1の経験があるベテランであり、世界にも名が知られていたという点です。平川はこれまで日本以外でのレース経験があまりありませんでしたが、スーパーGTやスーパーフォーミュラのドライバーが、世界最高峰の耐久レースで大物ドライバー達と対等に渡り合えるということを示したのです。

 平川はル・マン24時間で総合優勝を果たした5人目の日本人ドライバーとなりましたが、彼が最後の日本人ル・マンウィナーになることはないはず。彼の成功に刺激を受けた後進たちも、どんどんと育っていくことになるでしょう。

 
Read Also:

Be part of Motorsport community

Join the conversation
前の記事 ル・マン直前に性能絞られたアルピーヌ。「“大人の事情”あったはず」と可夢偉チーム代表
次の記事 【ギャラリー】ポルシェ、2023年デビューのLMDhマシン『963』を発表。デザインはかつての名車をトリビュート

Top Comments

コメントはまだありません。 最初のコメントを投稿しませんか?

Sign up for free

  • Get quick access to your favorite articles

  • Manage alerts on breaking news and favorite drivers

  • Make your voice heard with article commenting.

Motorsport prime

Discover premium content
登録

エディション

日本