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スーパーフォーミュラのエンジニアに国際化の波|英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記

日本を拠点に活動する英国人ニュースエディター、ジェイミー・クラインによるモータースポーツコラム。今回のテーマは、スーパーフォーミュラで国際化が進むエンジニアリング体制について。

Lukę Browning, Ed Regan, REALIZE KONDO RACING

Luke Browning, Ed Regan, REALIZE KONDO RACING

写真:: JRP

 今シーズン24人のドライバーが参戦するスーパーフォーミュラでは、6人の外国人ドライバーが参戦することになっています。しかしこの流れと並行して、舞台裏でも同じくらい興味深い変化が起きています。それは、チームがエンジニアリング体制でも外国人スタッフを採用するようになっているということです。

 もちろん、これまでも日本のトップフォーミュラでは外国人ドライバーが外国人エンジニアと組んで活躍してきた歴史があります。例えば、TMS時代のラルフ・ファーマンとポール・クロスビー、ダンディライアンのリチャード・ライアンとロブ・アーノット、インパル時代のブノワ・トレルイエとリカルド・ディビラなどが挙げられます。

 ただ今回は、これまでにないほど多くの国際的なエンジニアがパドックに集まっているという点で違いがあります。ドライバーとエンジニアを含めると、現在はグリッドの半数以上のチームで何らかの“異国の風”が感じられます。

 今季の国際化が最も象徴的なのはKONDO RACINGで、彼らは2台のマシンのチーフエンジニアがどちらも外国人となりました。

 ルーク・ブラウニングが乗る3号車を担当するのはエド・リーガン。彼はF1で10年以上の経験があり、マノー、ザウバー、ハースを経て現在はウイリアムズに所属しています。彼はウイリアムズ育成のブラウニングとの“パッケージ契約”ではありますが、スーパーフォーミュラでも屈指の経歴を持つエンジニアと言えるでしょう。

 4号車担当のコジモ・プルシアーノは昨年まで2シーズンKCMGに在籍し、小林可夢偉と組んでいました。情熱的なイタリアンである彼は、ジャック・ドゥーハンが座ると見られていた4号車のシートに急遽収まった笹原右京を担当することになりますが、両者は過去にも2013年のフォーミュラ・ルノー・アルプス2.0や昨年のSROジャパンカップなどで仕事を共にした経験があります。

 また、プルシアーノの弟子として彼の下で働いていたニッコロ・チェラッキオは当初、Buzz MK RACINGでロマン・スタネックを担当する予定でしたが、鈴鹿でのプレシーズンテスト後に笹原のパフォーマンスエンジニアへと配置転換されたようです。

 またKCMGは2度のWRC(世界ラリー選手権)王者カッレ・ロバンペラをサポートするためにハイテックと提携しましたが、そのロバンペラは急遽参戦を取りやめることに。ただ依然として、DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)やWEC(世界耐久選手権)などGTレースでのバックグラウンドを持つヤッシャ・オルマンが野中誠太のトラックエンジニアとして記載されています。

 TEAM GOHは、昨年KDDI TGMGP TGR-DCで小高一斗を担当していたスコット・ロベルをパフォーマンスエンジニアとして起用。さらには2019年、2020年にB-Max/Motoparkでエンジニアを務めたドイツ人のアンディ・コーラーも招聘しています。

 またWECでトヨタの8号車を担当するライアン・ディングルは、 ARTA時代の元同僚でもある福住仁嶺とROOKIE Racingで再タッグを組むことになります。ディングルは開幕ラウンドを含む一部のレースでアドバイザーとしてチームに関わる予定です。

 また外国人エンジニアを抱えていないチームも、国際的な知見を取り入れようとしています。今季KDDI TGMGP TGR-DCに移籍した小林は、鈴鹿テストでTOYOTA Racingのエンジニア(タイヤのスペシャリストを含む)をふたり帯同させていました。TOM'Sのサッシャ・フェネストラズも、自身の担当である大立健太エンジニアと共にヨーロッパのレースを訪れ、海外流のやり方を吸収して日本のレースに持ち帰ろうとしていると言います。

 TOM'Sは卓越したエンジニアリング力で知られ、様々なカテゴリーでライバルの羨望の的となるような陣容を組んできました。特に小枝正樹エンジニアの実績は群を抜いており、2024年には坪井翔と共に自身5度目のタイトルを手にしました。

 一方でTOM'Sは1台あたり3人のエンジニアがついていることが主流となっている中で2人体制を採用しているという点でも異彩を放っています。ちなみに今季はダンディライアンも3人体制に拡張。5号車に浦野夢希エンジニア、6号車に昨年メカニックだった井上拳吾エンジニアが加わりました。

 またTOM'Sはスーパーフォーミュラ以外にも、スーパーGTやスーパーフォーミュラ・ライツ、フォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップなど非常に多くのカテゴリーに同時並行で参戦しており、その点でも特異と言えます。

 スーパーフォーミュラへのリソースを増やしたライバルチームがTOM'Sの優位性を削ぐことに成功するのか……そこも今シーズンの注目ポイントと言えます。そしてKONDO RACINGやTEAM GOH、KCMGといった国際色豊かになったチームが上位進出を目指すという様もまた、興味深く注目しています。

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