WECで2021年導入予定のLMH規定が一部修正。LMDhとの性能均衡化が目的

2021年の世界耐久選手権(WEC)に導入されるLMH規定は、その1年後に施行されるLMDh規定に合わせて修正が行なわれた。

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 FIA 世界耐久選手権(WEC)で来シーズンから導入される予定となっているLMH規定。この規則については昨年既に発表されているが、2022年に導入されるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権との共通規定”LMDh”との性能調整を行なうため、一部が修正された。

 LMHのパワートレインの最大出力は、585kW(785bhp)から500kW(670bhp)に、最低重量も1100kgから1030kgに引き下げられた。これは5月7日(木)に発表されたLMDh車両の規定と同じ数字である。さらにパワーのみならず、空力性能もLMP2をベースとするLMDhと同等になるようだ。これでふたつのタイプのマシンがほぼ同じパフォーマンス特性となるように調整されたこととなり、LMHのコスト削減にも繋がると期待されている。

 これらの変更はFIAの耐久委員会によって合意されており、世界モータースポーツ評議会(WMSC)による承認の対象となっている。

 WECのプロモーターであるフランス西部自動車クラブ(ACO)のピエール・フィヨン会長は次のように語った。

「LMDhとLMHはお互いのパフォーマンス特性が近くなるように、レギュレーションを収束させる。FIAとACOの技術チームはLMH規定を調整することに取り組んでおり、その結果はマニュファクチャラーたちに快く受け入れられた」

「我々は耐久レース界の未来を構築するために積極的でなければいけない。この発表は、我々の分野に不可欠な建設的コラボレーションの証明である」

 2022年からのWEC復帰を画策しているメーカーのひとつに、プジョーがある。彼らはどのカテゴリーで復帰するのかを確定させていないが、グループPSAのモータースポーツ部門代表であるジャン-マルク・フィノーが、LMHとLMDhというふたつの規定が完全に公平なものとなるようにロビー活動を行なっていた。

 ただ、これらふたつのパフォーマンスを差別化するための要素も依然としてある。LMHのハイパーカーは、フロントアクスルのエネルギー回生システムを使用できるが、一方でLMDhのマシンには、単一スペックのシステムが後輪に取り付けられるようになる予定だ。

 また、120km/h未満の速度でハイブリッドパワーを展開することを禁止した、いわゆる『120ルール』が規則に含まれるかどうかは不明だ。それはヴァルキリーでLMHに参戦予定だったアストンマーチンによって制定された条件だったが、彼らはLMDhに関する不確実性を理由に、LMH初年度のWECには参戦しないことを発表している。

 

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