レースレポート
WEC Fuji

WECトヨタ、ホームの富士でワンツー。ポルシェ6号車との熱戦制し、マニュファクチャラーズタイトル戴冠

WEC第6戦富士6時間レースの決勝はトヨタ7号車が優勝。8号車も2位に入り、ホームでワンツーフィニッシュを果たした。

#7 Toyota Gazoo Racing Toyota GR010 - Hybrid: Mike Conway, Kamui Kobayashi, Jose Maria Lopez

 FIA世界耐久選手権(WEC)第6戦富士6時間レースの決勝は、ポルシェ6号車との熱戦を制し、トヨタ7号車が優勝。8号車も2位に入り、トヨタが母国でワンツーフィニッシュを決めた。 

 多くのマシンがランオフエリアに飛び出す波乱のスタートで幕を開けた6時間のレース。ターン1で首位に立ったポルシェ6号車に対し、トヨタ7号車は最大20秒ほどまで開いたギャップを少しずつ削り取っていった。

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 レース折り返しとなる3時間が経過した時点で、2台の差はごくわずか。ポルシェ6号車のケビン・エストレが粘りの走りを見せる一方、トヨタ7号車のホセ・マリア・ロペスは慎重にそれを追った。

 3番手のトヨタ8号車は、なかなかトップ2台とのギャップを縮められずにいたが、レース中盤を担当し機を伺っていた平川亮が、トップ争いが膠着する間に一気に迫っていった。

 レース残り時間が2時間30分を切る頃には、トヨタ8号車も完全に追いつき、トップ3が0.5秒間隔の三つ巴状態となるが、他クラスの車両を巧みに使いながらポルシェ6号車が首位をキープ。トヨタ7号車も徐々にタイヤが厳しくなり、挙動を乱して8号車が前に出かけるシーンもあった。

 ポルシェ6号車に抑え込まれ7号車のタイヤが苦しくなったこともあり、トヨタは2台のポジションを入れ替えた。8号車の平川は一気に6号車に接近すると、ダンロップコーナーでインに飛び込み、ズバッと一発でオーバーテイクを決めた。レース開始から4時間が経とうというところで、トヨタがこのレースで初めて首位に立った。

 首位陥落したポルシェ6号車はそのままピットイン。アンドレ・ロッテラーに後を託した。トヨタの2台もその後ピットインし、首位8号車にはブレンドン・ハートレー、7号車には小林可夢偉が乗り込んだ。

 その後ハイパーカークラス9番手を走っていたキャデラック2号車の左フロントタイヤが外れてしまうという危険なアクシデントが発生したものの、幸い大事には至らず。2号車はなんとか自走してピットに戻ったが、ピットでの修復を強いられた。

 トップに立ったトヨタ8号車だが、マシンバランスが苦しいことからトヨタは7号車とのポジションを再度入れ替えることを決断、フィニッシュを目指した。

 サーキット上空には厚い雲が接近したものの、結局雨が降らないままレースは終了。小林が乗って以降は快調にトップをひた走ったトヨタ7号車は、僚友8号車に38秒差をつけてトップチェッカーを受けた。今回のレースもう1台の主役、ポルシェ6号車は3位。8号車からおよそ10秒遅れでチェッカーを受けている。

 フェラーリの2台は1周遅れでのフィニッシュ。50号車が4位、タイトルを争う51号車はペースが上がらず5位に終わった。

 この結果、トヨタはフェラーリに40ポイント差をつけたことで最終戦を待たずにマニュファクチャラーズタイトル獲得を決めた。

 6位にはポルシェカスタマーのハーツ・チームJOTA38号車。プジョー勢が7、8位に入っている。

 LMP2クラスはレース序盤からユナイテッド・オートスポーツ22号車が首位を走ったが、ポイントリーダーのチームWRT41号車がユナイテッド・オートスポーツのワンツー体制に割って入ると、終盤に41号車のロバート・クビサが23号車をオーバーテイク。クラスチャンピオンを大きく手繰り寄せる優勝を飾った。

 LM-GTE Amクラスは、すでにチャンピオン獲得を決めているコルベット33号車が圧倒的な強さを発揮。他車との接触で30秒のストップ&ゴーペナルティを受けながらも追い上げて首位を走っていたが、他車を押し出したとしてさらに10秒のタイム加算ペナルティを受けてトップから陥落、3位でのフィニッシュとなった。

 週末を通じて速さを見せていたAFコルセ54号車フェラーリが代わって首位に浮上、クラス優勝を達成した。

 ケッセル・レーシング57号車は他車からの追突を受けて途中スピンしながらも、追い上げて表彰台争いを展開した。フィニッシュまでの2時間をWEC決勝デビューとなる宮田莉朋に託すと、宮田は54号車のプラチナドライバーであるダビデ・リゴンと遜色ないタイムをマークする素晴らしい走りを披露。最後は54号車に差をつけられたものの、見事に2位フィニッシュを果たした。

(※追記:レース後、57号車は宮田がドライビング時にフルコースイエロー下で時速80kmへの減速が間に合わなかったとして、10秒のタイム加算ペナルティを科せられ、3位に降着となった)

 星野敏と藤井誠暢が乗るDステーション・レーシング777号車アストンマーチンは一時クラス首位を走ったものの、最終的にクラス10位。小泉洋史とケイ・コッツォリーノが今回ドライバーを務めたAFコルセ21号車はクラス12位でレースを終えている。

 

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