ビルヌーブのWECハイパーカー参戦は「厳しい挑戦になる」とヴァンウォール代表。追加エントリーでJP.オリベイラ参加の可能性も?
ヴァンウォール・バンダーベルWECチームを率いるコリン・コレスは、ドライバーのジャック・ビルヌーブがスポーツカーレースの最高峰であるハイパーカークラスで競争力を発揮するのは「厳しい挑戦になる」と認めている。
往年のF1チームの名を引き継ぎ、ヴァンウォールとしてFIA世界耐久選手権(WEC)のハイパーカークラスに参戦するバイコレス。チームはドライバーとして、1995年のCART(現インディカー)王者であり1997年のF1世界王者のジャック・ビルヌーブを起用したが、チーム代表のコリン・コレスは彼が競争力を発揮するのは「難しい挑戦」になると考えている。
ヴァンウォールは先月、新開発のル・マン・ハイパーカー(LMH)である『バンダーベル680』を駆るドライバーとしてビルヌーブ、トム・ディルマン、エステバン・グエリエリを迎えることを発表した。
現在51歳のビルヌーブにとっては、ヴァンウォールでのWECハイパーカークラス挑戦は長いレーシングキャリアにおける新章となる。
2006年を最後にF1を引退し、2007年や2008年にかけてはプジョーのル・マン24時間プロジェクトに参戦したビルヌーブ。それ以降は、フォーミュラEや世界ラリークロス選手権、NASCARなど様々なシリーズに参戦してきた。インディ500での優勝から19年が経った2014年には、一度限りのインディ500復帰を果たし、14位となっている。
ビルヌーブは2022年末に行なわれたヴァンウォールのテストで初めてバンダーベル680のステアリングを握ったが、来月に迫る開幕戦セブリング1000マイルを前にしたWEC主催のオンライン会見で、コレスはビルヌーブが困難に立ち向かうことになると認めている。
motorsport.comがチームがビルヌーブと契約するに至った経緯をコレスに尋ねると、彼は次のように答えた。
「正直なところ、多かれ少なかれこれは偶然の産物だ」
「我々はF1時代から長い間お互いを知っている。そして共通の友人を通じて、連絡を取るようになったんだ」
「彼はまたシーズンを通してレースに参加することに、とても興味を持っているようだった。そこでバルセロナでのテストを企画し、彼がマシンを運転することを楽しめるかどうかを確認するために招待した。その結果、我々は彼と契約し、さらに前進するための方法を見つけようとした」
「F1世界王者でインディカー王者、インディ500勝者がいることは、我々WECにとっても、みんなにとっても非常にポジティブなことだと思う」
「彼はまだ走行距離が短いから厳しいだろう。でもセブリングではプロローグ(テスト)があるから、可能な限り走行距離を稼いで、彼がどうなるかを見てみようと思っている」
Vanwall Vandervell LMH, ByKolles Racing
Photo by: Vanwall Group
一方、ビルヌーブと共にバルセロナテストに参加していたジョアオ・パオロ・デ・オリベイラは、少なくともWECシーズンの一部と日産から戦うスーパーGTのスケジュールを両立させたいと考えていた。
現在のラインナップにその名前はないものの、ル・マン24時間レースでヴァンウォールが2台目のバンダーベル680を追加エントリーする際にはオリベイラが有力候補になるとコレスは語っている。なお、少なくとも2023年のル・マン24時間レースのエントリーリストには、ヴァンウォール2台目の名前は載っておらず、追加エントリーの可能性はないだろう。
「JP(オリベイラ)は我々の友人であり、知っての通り(F3で)我々のドライバーだった。彼とは20年以上の付き合いだ」とコレスは言う。
「彼は常に我々のネットワークの一部であり、ル・マンや将来へ向けた2台目の可能性があるのならば、JPは常に選択肢のひとつだ」
またコレスはセブリングのプロローグへ向かう前に、バンダーベル680最後のホモロゲーションテストを行なう予定だと明かした。
「セブリングは非常に特別なサーキットで、まだそこではテストをしていないんだ」とコレスは言う。
「通常のサーキットでは信頼性のあるパッケージを作り出せた自信があるが、セブリングはパフォーマンスと信頼性の面で驚きが待っているだろう。我々にとっては、(既にセブリングでテストした)他チームよりも驚きがいっぱいだろう」
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