WEC、2023年シーズン開幕4戦のハイパーカークラスBoPを発表。王者トヨタの最低重量はセブリングで1062㎏に

　3月11日（土）～3月12日（日）にアメリカ・セブリングで行なわれるFIA世界耐久選手権（WEC）のプロローグテストに先立ち、3月8日（水）に開幕から4戦で使用されるハイパーカークラスのバランス・オブ・パフォーマンス（BoP）が公開された。

　シーズン開幕戦セブリング1000マイルと、第2戦ポルティマオ6時間から第3戦スパ・フランコルシャン6時間、第4戦ル・マン24時間と続く2戦目以降では、それぞれ異なるBoPが適用されることとなった。

　LMDhマシンがWECで初めてル・マン・ハイパーカー（LMH）と対峙する2023年シーズンに向けて、BoPを規定する新たなガイドラインが導入されているが、この文書は一般公開されていない。

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　昨シーズンは、ドライコンディションでの周回数が充分であれば、2戦ごとにデータに基づきLMHのBoPを変更することができた。

　現在は、最初のふたつのイベントでのデータを基に、必要に応じてLMHとLMDhのマシンバランスだけが調整されると考えられている。

　FIA耐久委員会が発表した2023年最初のBoP速報では、発表されたBoPのグラフは「追ってお知らせする」とされている。

Ferrari 499P LMH

Photo by: Ferrari

　今回の発表によって、王者トヨタのLMH『GR010』は最低重量1062㎏で開幕戦を挑むことに。昨年途中参戦したプジョーの『9X8』はそこから13㎏軽く、今季久しぶりにスポーツカーレースの頂点に復帰するフェラーリの『499P』はトヨタから5㎏軽い最低重量がその初陣で設定されている。

　ハイブリッド非搭載のLMHの2台、グリッケンハウス『007』とヴァンウォール『バンダーベル680』はクラス最軽量となる1030㎏が最低重量となる。

　また、LMDh勢ではポルシェ『963』の最低重量は1048㎏、もう一台のキャデラック『Vシリーズ.R』は10㎏軽い1038㎏となっている。

　7メーカーのマシンの最大出力の差は、7kW（9ps）以内に収まっており、グリッケンハウスはクラス最高の520kW（707ps）、ヴァンウォールは最も低い511kW（695ps）で走ることになる。

　そして1スティントあたりに許可されるエネルギーの差は13MJに収まっており、トヨタはピットストップ間で913MJ、一方でヴァンウォールは900MJを使用できる。

#7 Porsche Penske Motorsport, Porsche 963, GTP: Mathieu Jaminet, Michael Christensen, Nick Tandy

Photo by: Porsche

　フロントアクスルに搭載されたモータージェネレーターの出力可能速度はドライ・ウェットともに同じで、トヨタとフェラーリが190km/h。トヨタとしては昨年と同じ展開可能速度だ。

　プジョーは昨シーズン同様に150km/hから出力が可能だが、これは9X8がGR010や499Pとは異なるホイール・タイヤサイズを使用しているためだ。

　第2戦以降の3レースでは、ポルシェの963がクラス最重量のマシンとなり、最低重量1045㎏で挑むこととなる。一方でトヨタのGR010は開幕戦の1062㎏からポルシェより2㎏軽い1043㎏まで最低重量が緩和される。

　最高出力にも第2戦以降に向けて調整が加えられるが、グリッケンハウスは開幕4戦を通して520kWで走ることとなる。

　なお、フロントのモータージェネレーターの出力速度は開幕戦から変更はない。

2023 WEC ハイパーカー BOP