電動マシンでオフロードを攻める『エクストリームE』、レース前の準備は他のどのカテゴリーよりも大変?

2021年にスタートした電動SUVの新カテゴリー、エクストリームE。砂漠や川床などユニークな場所で開催されることもあり、その準備は大変なようだ。

Claudia Hurtgen, Mattias Ekstrom, ABT CUPRA XE

 エクストリームEのレースは、サウジアラビアの砂漠やグリーンランドの氷河の川床など、ユニークな場所で開催される。そのためドライバーにとっては、レースに向けた準備を進めることは容易ではない。

 常設サーキットで行なわれるレースや、毎年同じようなルートで行なわれるラリーとは異なり、チームには開催地のデータがない。中にはグリーンランドのように、そもそもモータースポーツが行なわれたことのない場所もある。また、シーズン中のテストもないため、ドライバーは前もって実際のコンディションを体験することもできない。

 第4戦アイランドX-Prixで2位に入り、現在ランキング5番手につけているアプト・クプラ・レーシングの技術開発責任者、シャビ・セラは次のように語った。

「初めてのシーズンで皆が勉強している段階なので、準備を整えることが非常に難しい」

「しかし我々は、レースフォーマットそのものや、金曜日から日曜日までのタイムテーブル、天気予報、地形の推測など、様々な分析をイベント前に行なっている」

 エクストリームEでは、共通車両として全てのチームが電動オフロードマシン『オデッセイ21』を使用しているが、ボディワークのレギュレーションには柔軟性があるため、そこでチーム間の差別化が図られている。クプラに関しては、自社で発売予定の電動SUV「タバスカン」との親和性も見られる。

 ただし、環境に配慮するシリーズの方針に沿って、イベント前のテスト機会はなく、マシンはセントヘレナ号で世界各地に輸送されていく。X-Prixの会場に関する情報は限られているため、チームは到着後に短い時間でルートを確認しなければならない。

 セラはこう続ける。

「マシンはセントヘレナ号に乗って各地を回っているので、ここまでの4戦の間にはテストをする機会はなかった」

「事前に得られる情報はごくわずかで、それもイベント直前に知るものばかりなので、偵察の時間は非常に大切であり、そこで十分な準備をしなければならない。ドライバーやエンジニアは、このわずかな時間を最大限に活用し、コースの分析をしなければいけない」

「そして何よりも、各ラウンド後にできるだけ多くのデータ分析を行ない、学んだことを整理して、シーズンが進むにつれて徐々にパフォーマンスレベルを向上させることが重要だ」

 今季のエクストリームEも、残すところあと1戦。初代チャンピオンを巡る争いは、12月18日〜19日に英国で開催されるジュラシックX-Prixで決する。

 
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