ミシュラン独壇場と思われた“ちょい濡れ路面”界にヨコハマが殴り込み? 富士テストで新パターンのタイヤが効果発揮か「方向性は間違っていない」
雨の中行なわれたスーパーGT富士テスト初日では、午後のセッションでヨコハマタイヤユーザーが上位につけたが、これは新しいトレッドパターンを導入したことが功を奏しているようだ。
写真:: Masahide Kamio
富士スピードウェイで行なわれたスーパーGT公式テストの初日は、終始ウエットコンディション。そのため各タイヤメーカーにとってはウエットタイヤを試す絶好の機会となったが、多くのメーカーがそのトレッドパターンを変えてきていた。
GT500クラスでは19号車WedsSport ADVAN GR Supraと24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zにタイヤを供給するヨコハマもそのひとつ。彼らは従来の曲線的で長い溝が入ったウエットタイヤに加えて、3本の縦溝に短い横溝が入ったウエットタイヤを持ち込んできた。このトレッドパターンはいわゆる“インターミディエイトタイヤ”的なデザインであり、昨年雨で圧倒的な強さを誇ったミシュランのそれとも似たアプローチに見える。
ヨコハマタイヤの新トレッドパターン(左)と従来のパターン(右)
Photo by: Motorsport.com / Japan
ヨコハマでスーパーGTのタイヤ開発を率いる白石貴之氏によると、このトレッドパターンはそのデザインからも推察できるように、比較的雨量の少ないコンディションにフォーカスしたものだという。
実際のレースでは、雨量の多い状態が長く続くことは稀であり、仮に雨脚が強くなってもレースが進んでいく中で収まっていくケースがほとんど。そもそも激しい雨が続けばレースは続行されず、赤旗中断となるはずだ。そういう意味でも、雨量の少ないコンディションに狙いを定めた方が得策というのがヨコハマの考えだ。
「どういうコンディションに的を絞るかと考えた時に、レースでは比較的水量が少ない状態が長く続くことが多いことを考えると、ああいったパターンで行く方が“取り分”があるんじゃないかと考えました」
白石氏はそう語る。
#19 WedsSport ADVAN GR Supra
Photo by: Masahide Kamio
「そこで接地面積をなるべく確保しつつ、排水性を犠牲にしないものを意識しました。市販用で使っているパターンに近いものがあるので、そこからのフィードバックも踏まえて、あのパターンを持ってきました」
実際、今回のテスト初日はヨコハマの狙い通りと言えるような結果となった。雨量の多い午前セッションはブリヂストン勢とミシュラン勢が上位を分け合ったが、比較的雨量の落ち着いた午後のセッションは19号車WedsSportが2番手、24号車リアライズが4番手に入り、1、3番手だったミシュラン勢の間に割って入る形となった。
ただ白石氏は、2台が14番手、15番手に終わった午前セッションについても「タイヤがあの雨量で機能しなかったというよりは、パターン、ゴム、構造を含めて開発途上な中で、課題がうまく見つかった」と語り、ポジティブなセッションであったことを伺わせた。
従来のパターンと比較をしながらテストを進めたヨコハマだが、ユーザーからも上々の評価を得られている様子。「ドライバーさんやチームさんのコメントを聞いても、方向性としては間違っていないということで、これをベースに進めていけば良いものができるのではないかというフィードバックをいただけているので、前向きに捉えています」と白石氏は言う。
昨年唯一のウエットレースとなった第6戦SUGOでは、ミシュラン勢がワンツーフィニッシュを飾り、3番手以下には46秒の差をつけて5番手以下を周回遅れにするなど、圧倒的な強さを見せた一方、ヨコハマ勢は14番手、15番手と最下位に沈んだ。今季は、その勢力図は大きく変わっているかもしれない。
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