Moto2 Mugello
〈アジアから“世界”へ〉小椋藍とIDEMITSU Honda Team Asiaの挑戦:初体験のムジェロで6位は「悪くないけど……良くもない」更に上目指す小椋の“贅沢”な悩み
MotoGP第6戦イタリアGPを、6位で終えた IDEMITSU Honda Team Asiaの小椋藍。初のムジェロ・サーキットでの走行に関わらず結果を残してきたが、彼はまだ満足のできる位置ではないと、更に上のポジションでのフィニッシュを目指す志の高さを見せた。
西村 章
公開日時: 2021/06/03 8:10
Copy link
Viberでシェア
Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

第6戦イタリアGPは、シーズン全体でも最高の盛り上がりを見せる大会のひとつだ。その戦いの舞台、フィレンツェ郊外のムジェロ・サーキットは山間部の自然地形を高低差に活かしたレイアウトで、名コースとして知られる反面、攻略の難しさでも屈指の会場である。
昨年のイタリアGPは新型コロナウイルス感染症蔓延の影響によりキャンセルされたため、今年は2年ぶりの開催である。IDEMITSU Honda Team Asiaの小椋藍は、Moto3時代の一昨年は負傷によりイタリアGPを欠場していたため、今回がムジェロ初体験になった。
Read Also:
そのため、金曜午前のフリープラクティス1回目(FP1)は慣熟走行のような走りで、31人中26番手という位置だった。しかし、セッションごとに習熟を重ね、土曜午後の予選Q2へダイレクト進出。そのQ2では7番手タイムで、決勝に向けて3列目のグリッドを獲得した。
日曜の決勝レースは6位でゴール。優勝選手から約23秒後にチェッカーフラッグを受けた。ムジェロを走り慣れてここを得意とする選手たちや地元出身のイタリア人ライダーたちが数多ひしめくなか、初経験のコースでこの結果を獲得したのだから、上々のリザルトといっていい。
だが、レースを終えた小椋自身は案の定、少し醒めたような口調で「こんなことをいうとちょっと贅沢かもしれないんですが、『まあ、こんなもんかな』というレースでした」と21周の戦いを振り返った。
「レースタイムも(優勝ライダーから)20数秒開いていましたし、決勝中の自分のペースもそれほど良いわけではなかったですからね……。優勝した選手や上位のライダーたちは、序盤から1分51秒台で走っていたけど、自分はレースで一度も51秒台を出せなかった。予選では出せていたタイムで、タイヤも予選と同じだったのに、決勝では52秒台に入れるのも苦しい状態でした。そういったことを全部考えると、『まあ、こんなものなのかな』というレースだったと思います」
そして、少しとってつけたように、「でも、順位は良かったです」と付け加えた。
Moto2クラスのルーキーライダーである小椋にとって、毎戦トップを争う選手たちとの間にはまだ埋めがたい差がある。今回のレースは初体験のコースであることとも相俟って、それが如実にレースタイムの差、という結果となって表れた。歴然としたこの事実を前にすれば、自分もまた彼らとチャンピオンシップを戦っている以上、大きく離された位置でのゴールはやはり満足をできない、ということなのだろう。
とはいえ、初めて走るサーキットでの6位という順位は、充分に高い水準の結果であることはまちがいない。
「いや、そうなんですよ。たしかに悪くはない順位だとは思うんですよ。でも、べつに良かったというほどでもないし、この6位を手放しで喜べるのかというと、それもまた違うじゃないですか。だから、順位は順位として、レース内容はまた別、という考え方ですよね。だから……、あまり今回は話すことがないんですよ」
そういって苦笑を見せる。過剰なリップサービスのない、このような自己評価の厳しさはいかにも小椋の性格をよくあらわしている。同時にこれは、自分自身に対する高い目標設定のあらわれ、とも言えるだろう。だが、もちろんそのような考え方とレースに向き合う姿勢は、誰よりも速く走ることを目指す世界選手権の選手である以上、自らに課すべき当然の規範でもある。
今回のイタリアGPを終え、シーズン前半の残る3戦、バルセロナ・カタルニアサーキット(第7戦カタルニアGP、ザクセンリンク・サーキット(第8戦ドイツGP)、TTサーキット・アッセン(第9戦オランダGP)はいずれも、小椋の走行経験があるコースだ。何もかもが初めて尽くしだった今回のムジェロよりも戦いやすいコース、といえそうだ。
「そうですね。そうだと思います。そうしていかなきゃいけないし」
とはいえ、そう簡単に上位陣へ肉迫できるとも考えてはいないようだ。
「でも、毎戦がんばってこれだから、どうなんですしょうね。次の3戦で、じゃあトップの人たちと同じ位置でゴールできるのかというと、そうじゃないと思うんですよね」
ここにもまた、小椋らしい冷静で醒めた一面が垣間見える。しかし、このように俯瞰した視点から己自身を突き放すように観察する手法は、欠点を改善しながら長所を伸ばし、速さを研ぎ澄ませていくための、おそらく小椋流の方法論でもあるのだろう。
第7戦カタルニアGPは、6月4日(金)午前10時55分(日本時間午後5時55分)にMoto2クラスのFP1がスタートする。今週末はこのセッションでの小椋の位置取りに、まずは注目をしよう。
Read Also:
- Moto2イタリア決勝:0.014秒差の決着! ガードナー優勝もぎとる。小椋藍追い上げ6位に
- レミー・ガードナー、2022年にテック3からMotoGP昇格が決定。親子2代王者は実現なるか
- MotoGPのトラックリミット規制、もっと“人間味”ある対応が必要? 伊GPで翻弄されたミル主張
- F1で進むコスト削減……MotoGPが“エンジンの開発凍結”に進まないのはなぜ?
あなたの意見が聞きたい!
Motorsport.comで何を見たいですか?
5分間のアンケートにご協力ください。
- Motorsport.comチーム
コメントを読んで投稿する
関連ニュース :
記事をシェアもしくは保存
Copy link
Viberでシェア
前の記事 Moto2イタリア決勝:0.014秒差の決着! ガードナー優勝もぎとる。小椋藍追い上げ6位に
次の記事 Moto2カタルニア初日:ラウル・フェルナンデス総合トップ。小椋藍は9番手で初日終える
Top Comments
コメントはまだありません。 最初のコメントを投稿しませんか?
View More & Comment
More from
西村 章

7年間のMotoGP参戦終える中上貴晶のこれまでと”これから”。ホンダ苦境の内側と、今後の恩返しプランをロングインタビューで語る
MotoGP
MotoGP
ソリダリティGP
2024/11/17
7年間のMotoGP参戦終える中上貴晶のこれまでと”これから”。ホンダ苦境の内側と、今後の恩返しプランをロングインタビューで語る

ホンダは新テクニカルディレクターを活かせるのか? アプリリアから獲得新人材を”宝の持ち腐れ”にしないために|MotoGPコラム
MotoGP
MotoGP 2024/10/16
ホンダは新テクニカルディレクターを活かせるのか? アプリリアから獲得新人材を”宝の持ち腐れ”にしないために|MotoGPコラム

小椋藍を抜擢した敏腕マネージャーに迫る! スズキ&アルピーヌF1経てMotoGPをどう見る?|ダビデ・ブリビオ独占インタビュー
MotoGP
MotoGP
日本GP
2024/10/06
小椋藍を抜擢した敏腕マネージャーに迫る! スズキ&アルピーヌF1経てMotoGPをどう見る?|ダビデ・ブリビオ独占インタビュー
![]()
More from
小椋 藍

小椋藍、母国日本GPは6位。熾烈バトルでファン沸くも「何もできずに終わった。来年頑張りたい」
MotoGP
MotoGP
日本GP
3 日前
小椋藍、母国日本GPは6位。熾烈バトルでファン沸くも「何もできずに終わった。来年頑張りたい」

「遅かった。悔しいです」小椋藍、日本GP初日は15番手と苦しむ。マシントラブル影響は否定
MotoGP
MotoGP
日本GP
5 日前
「遅かった。悔しいです」小椋藍、日本GP初日は15番手と苦しむ。マシントラブル影響は否定

「去年よりも期待は大きい」小椋藍、母国日本GPの目標は当然表彰台? 負傷も全く問題なし
MotoGP
MotoGP
日本GP
6 日前
「去年よりも期待は大きい」小椋藍、母国日本GPの目標は当然表彰台? 負傷も全く問題なし

More from
Honda Team Asia

Moto2の小椋藍、ホンダと訣別へ? 2024年にMt Helmets移籍の噂
Moto2
Moto2
カタルニア
2023/09/02
Moto2の小椋藍、ホンダと訣別へ? 2024年にMt Helmets移籍の噂

Honda Team Asiaが2023年Moto2及びMoto3参戦体制発表。小椋藍は来季もMoto2に継続参戦
Moto2
Moto2
Motegi
2022/09/28
Honda Team Asiaが2023年Moto2及びMoto3参戦体制発表。小椋藍は来季もMoto2に継続参戦

小椋藍、日本GPを完全制覇も、第一声は”ホッとした”。でも母国での表彰台は「僕にとっても、皆んなにとっても格別だったと思う」
Moto2
Moto2
Motegi
2022/09/25
小椋藍、日本GPを完全制覇も、第一声は”ホッとした”。でも母国での表彰台は「僕にとっても、皆んなにとっても格別だったと思う」
最新ニュース

MotoGP、2027年から新フォーマット導入。スプリント予選追加、ウォームアップ廃止など変化
MotoGP
MGP MotoGP
日本GP
1 時間前
MotoGP、2027年から新フォーマット導入。スプリント予選追加、ウォームアップ廃止など変化

キャデラックF1、それでいいのか? 「F1を制するのが目標なら、アメリカ拠点は最適ではない」元F1チーム代表から厳しい声
F1
F1 F1
アゼルバイジャンGP
2 時間前
キャデラックF1、それでいいのか? 「F1を制するのが目標なら、アメリカ拠点は最適ではない」元F1チーム代表から厳しい声

好調だったはずのマクラーレンはなぜ4番手チームに成り下がったのか。「状況が一変した。データに異常もないのに」とステラ代表
F1
F1 F1
バーレーンGP
13 時間前
好調だったはずのマクラーレンはなぜ4番手チームに成り下がったのか。「状況が一変した。データに異常もないのに」とステラ代表

ラッセル痛恨……シンガポールGPグリッド降格決定で逆転タイトルに暗雲。ウルフ代表認める「残念だが」
F1
F1 F1
バーレーンGP
14 時間前
ラッセル痛恨……シンガポールGPグリッド降格決定で逆転タイトルに暗雲。ウルフ代表認める「残念だが」
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。
次の 2 つのオプションがあります。
- サブスクライバーになります。
- 広告ブロッカーを無効にします。
購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします
広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード
お知らせの管理
登録