F1

F1最年長アロンソ、飽くなき最速への執念を語る。勝利のために「ライバルの長所を殺し、自分の長所を100%活かす」

今年41歳となったフェルナンド・アロンソが、F1グリッド最年長ながらも未だ衰えを知らない彼のレースへ対する執念について語った。

Jonathan Noble

Jonathan Noble

公開日時: 2022/08/23 10:36

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Fernando Alonso, Alpine F1 Team

 この夏、フェルナンド・アロンソがアルピーヌからアストンマーチンへの移籍を決断し、来季に向けたドライバー市場を揺れ動かしたのには、彼が依然としてコース上で他の若いドライバーに引けを取らない、時には圧倒するパフォーマンスを発揮し続けているということが根底にある。

 41歳を迎えたグリッド最年長ドライバーでありながらも、アロンソは今季もここまで、天賦の才能に長いキャリアで培った経験値を加え、常にトップレベルの実力を発揮できるということを証明し続けている。

 特筆すべきは、戦闘力向上に対するアロンソの細部へのこだわりだ。例えば、オーストリアGP予選後のフリー走行では、スプリントレースでより良いスタートが切れるようにと、自身のグリッドを掃除し、ゴムを載せることに時間を割いていた。

 オーストリアGPのスプリントレースではスタートを前にマシンが発進できずに終わったが、彼が少しでもアドバンテージを生み出そうという姿勢はフランスGPでも見られた。

 各ドライバーがレコノサンスラップでダミーグリッドへとマシンを運ぶ中、アロンソはひとりピットレーン出口を非常に低速で走行。その先のターン1のイン側へ続くラインとターン2のアウト側の路面状況を改善し、他のドライバーが「あそこは汚れているから」と避けるところを走って、決勝で「抜きに行こう」と考えていたのだ。

 そしてアロンソはその通り、決勝レースのスタートでランド・ノリス(マクラーレン)とジョージ・ラッセル(アルピーヌ)を”掃除”した走行ラインで抜き去った。

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 アロンソは、そうした小さなクリエイティビティが注目を集めることに大きな喜びを感じてると話した。そして、それは自分の長所を活かすと同時にライバルの弱点を突こうとする闘争心からくるモノだと説明した。

「そう、僕はそういうタイプの人間なんだ」

 アロンソは、アストンマーチンへの電撃移籍が発表される前に行なわれたmotorsport.comの独占インタビューで、微笑みながらそう答えた。

「自分の長所を100%活かす必要があるし、ライバルの長所を殺す必要がある。ただこれは練習でも何でも、いつもやっていることなんだ」

「僕はテニスをやっているんだけど、上手な人とやる時はボールをとても高くするようにしているんだ。そうすれば、強いボールを打ち返すことに慣れている彼らのリズムを崩せるからね」

「でもボールを高めに打つとゆっくり届くから、彼らもミスをする。だからボールを高くしてしまえば、僕は上手くテニスができるんだ」

「ボールを高く上げるのが、僕が彼らを下す唯一のチャンスなんだ。だから僕は必然的にそうやるんだ」

「レースだけじゃなく、(勝つために)僕は他の選手の長所を潰して、自分の長所を最大限に活かすようにしなきゃいけないんだ」

Fernando Alonso, Alpine F1 Team A522

Fernando Alonso, Alpine F1 Team A522

Photo by: Alpine

 またアロンソは、F1での長い経験は明確な長所となり、どの分野に集中して改善すべきかを総合的に判断できるようになったと明言している。

「確実に、経験はいろいろなところで活きていると思う」と彼は言う。

「スタートや認知能力、タイヤマネージメント、ピットストップ、メカニックへ対する接し方……そして週末へのアプローチ方法やフリー走行、そこにおける重要なモノとそうでもないモノだ」

「若い時は1周1周にすごく注意を払うし、FP1でさえチャンピオンシップの最終ラップみたいに思える。でも(今は)そういうことを理解できているんだ」

「ウエットコンディションとダンプコンディションでは、多くの改善があった。通常、ウェットレースが長丁場になるというのは分かるだろうけど、状況は刻々と変わっていく。セーフティカーも多いし、その後はドライの走行ラインも多くなってくる。チャンスは沢山あるんだ」

「全てのラップが最終ラップだという訳ではない。そういうことで僕は以前、レースの序盤でミスをしていたけど、今は避けようとしている。これは経験や自分のミスによってのみ得られるモノなんだ」

 そしてアロンソは、41歳という年齢が不利になるとは考えておらず、2018年末に一度F1を離れ、2年に渡り世界耐久選手権(WEC)など他のシリーズに参戦したことで、”バッテリー”が充電できたと説明した。

「マイナス面という点では、若い時に何かが欠けてたとは感じていないから、何か言うのは難しい」とアロンソは言う。

「おそらく2018年は、マーケティングや移動で精神的に疲れていたのかもしれない。2年間離れることが必要だったんだ」

「今は問題ないと感じているよ。その2年間が僕の助けになったかどうかは分からない。今はアプローチの仕方が違うだけなのかもね」

 アロンソとしては、2021年からのF1復帰後は、F1キャリアの”第1スティント”よりも遥かに良い状態にあると考えているという。そしてF1を外から観る機会を得たことで、このスポーツの全体像をより理解できるようになったという。

「外からレースを観ていると、レースのいろいろな状況や振る舞いを理解できない事があると思う」とアロンソは言う。

「自分のコックピット内や戦略だけでなく、レースがどう展開していくのかをより良く理解できるようになった。そして他のカテゴリーを走ったことで、いろいろなことを学ぶことができたと思う」

「レースにはいろいろなフィロソフィーがあって、いろいろなドライビングテクニックがある。F1マシンのみに当てはまることじゃないけど、コントロールを失った時やオーバステアになった時に、僕の手足が以前とは違う動きをしているのかも。僕はずっとF1マシンに乗っていたからね」

「そういう意味では、よりコントロールできるようになったと感じている」

 アロンソの辞書には「老犬に新しい芸は教えられない」という言葉はないのだろう。チームメイトに負け越すまではF1引退はないと公言している彼がF1を走る姿は、もう少し先まで観られるかもしれない。

 

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