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F1界の絶対王者ハミルトン、電撃引退の可能性は本当にあるのか?

「2021年もF1のグリッドにいる保証はない」とコメントしてドライバー市場をざわつかせたルイス・ハミルトンだが、彼のF1電撃引退は果たして現実的なのだろうか?

Lewis Hamilton, Mercedes-AMG F1

写真:: Steve Etherington / Motorsport Images

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 6度のF1世界王者、ルイス・ハミルトンのとある発言がきっかけで、2021年に向けたドライバー市場はざわつき始めている。メルセデスと来季以降の契約を未だ結んでいない彼は先日、2021年もF1に残ることは確実ではないと語り、電撃引退の可能性をにわかに匂わせたのだ。

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 メルセデスは現在、チーム代表であるトト・ウルフの去就もはっきりしていない。彼は長期的な候補者探しを進めており、現在の役割から退く可能性もある。そんな中、ウルフと共に成功を収めてきたハミルトンは、エミリア・ロマーニャGPのレース後に次のように語っていた。

「僕は来年もここにいたいけど、それを保証するものは何もない」

「この世界の外にも僕をワクワクさせるものはたくさんあるし、そのあたりは時が経てば分かるよ」

 このハミルトンのコメントは、一時代を築いたハミルトンとメルセデスのパートナーシップが終わりを迎えようとしているのではないかという憶測を呼んだ。しかし、現在進行形でF1を支配している人間がその頂点の座から自ら降りる、などということは果たして現実的なのだろうか?

 今回は、ハミルトンのコメントの真意を探るために、その背景にあるものを見ていく。

去りゆくチャンピオン

Race winner Nico Rosberg, Mercedes AMG

Race winner Nico Rosberg, Mercedes AMG

Photo by: Charles Coates / Motorsport Images

 F1ドライバーが自らの引退を考える時、慎重になる者が大半であるが、中にはワールドチャンピオン経験者であってもあっさりとその舞台から降りたケースもある。

 その最たる例がニコ・ロズベルグであろう。2016年、メルセデスでチームメイトのハミルトンとの死闘を制して初のドライバーズタイトルを手にしたロズベルグは、その数日後に突如引退を発表し、パドックに衝撃を与えたことは記憶に新しい。

 また、物事がうまくいかなくなったチャンピオンが突然F1から去るというケースもあった。1976年のワールドチャンピオンであるジェームス・ハントは、マクラーレンからウルフに移籍した1979年に大苦戦し、シーズン途中で引退を発表した。またハントのライバルであったニキ・ラウダも同年苦戦しており、イギリスGPのフリー走行後に「レースへの興味を失った」とチームに伝え、シーズン終了を待たずに引退した。ただラウダは1982年に現役復帰すると、1984年には3度目のワールドチャンピオンに輝いている。

 しかしながら、ハミルトンの状況はそれらとはかなり異なっている。彼はF1での成功に満足しているように見え、彼の周りに築かれたチームとの関係を楽しんでいるからだ。

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 ミハエル・シューマッハーの持つF1歴代最多勝記録を更新したばかりのハミルトンは、今季タイトル争いでも独走しており、こちらもシューマッハーの歴代最多記録に並ぶ7度目のドライバーズタイトル獲得が目前となっている。来季のマシンが今季と大きく変わらないことを考えれば、ハミルトンがメルセデスに残ればシューマッハーの記録をまたひとつ更新できる可能性が高いのだ。

ウルフとの関係

Toto Wolff, Executive Director (Business), Mercedes AMG, Valtteri Bottas, Mercedes-AMG F1, and Lewis Hamilton, Mercedes-AMG F1

Toto Wolff, Executive Director (Business), Mercedes AMG, Valtteri Bottas, Mercedes-AMG F1, and Lewis Hamilton, Mercedes-AMG F1

Photo by: Steve Etherington / Motorsport Images

 ハミルトンの将来に関する不確実性は、ウルフの将来に関する不確実性ともかなり密接にリンクしている。というのも、共にメルセデスで黄金時代を築いてきたハミルトンとウルフは強い絆で結ばれているからだ。

 エミリア・ロマーニャGPが行なわれたイモラでハミルトンは、ウルフの“メンタリティ、バランス感覚、思いやり、知性、自尊心”が最高のチーム代表を作り上げたとコメント。そこからもハミルトンのウルフへの信頼が見てとれる。

 しかしながら一方で、ウルフはメルセデスを史上最高のチームにするために全力を尽くしたことで、燃え尽きてしまったことを認めている。2014年からのターボ・ハイブリッド規則がもたらすチャンスを掴み、メルセデスを7年連続チャンピオンに導いたウルフは、成功を続ける中で現状に満足せず、ライバルからの挑戦に立ち向かう必要があった。そういった中で負担はますます大きくなっていったため、彼は一歩身を引きたいと考えるようになった。

 一時はF1のCEOに就任する可能性も取り沙汰されたウルフだったが、彼は最終的にメルセデスでまだ貢献できることがあると感じたようだ。ただ前述のように、多くの負荷がかかる現在の仕事を続けることはできないと感じているため、後継者への引き継ぎプランを模索している。

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 おそらくウルフにとって理想的なシナリオは、メルセデスでCEOやエグゼクティブチェアマンといった重役に就任し、専門知識を提供したりチームに影響力を与えつつも、年間20以上あるレース全てに帯同する必要性からは解放される、というものだ。

 しかしそれを実現させるためには、後任となるチーム代表を見つけることが急務となる。ウルフは自分と同じレベルの仕事ができる人間が見つかるまでは、現在の職から降りたくはないと考えている。そのため、後継者探しには数年かかる可能性もある。

契約交渉開始が遅れている理由

Lewis Hamilton, Mercedes-AMG F1, sits on a tyre in the pit lane

Lewis Hamilton, Mercedes-AMG F1, sits on a tyre in the pit lane

Photo by: Steve Etherington / Motorsport Images

 ウルフはハミルトンに対して自身の考えやプランを伝え続けており、メルセデスとウルフの将来についてはチャンピオンシップの行方が決まるまではまとまらないと明言している。つまり、それは同時にハミルトンの契約交渉も遅れることを意味している。

 チーム代表もドライバーも、コロナ禍によって特殊なシーズンとなった今季のドライバーズタイトルとコンストラクターズタイトルを狙う上で、契約交渉がその邪魔になってしまうことを恐れているのだ。なお、イモラではメルセデスがコンストラクターズタイトルを確定させ、ハミルトンのドライバーズタイトルも、次戦トルコGPで決定する可能性がある。

 11月までにチャンピオンチームのエースの契約がまとまっていないというのは、非常に奇妙なシナリオに思えるかもしれないが、過去のウルフとハミルトンの契約交渉をさかのぼってみれば、交渉開始から契約締結まで非常にスムーズに進んでおり、それほど長い時間を必要としていないことも分かる。

 ハミルトンが最後にメルセデスと契約交渉の席についたのは、2018年の半ば。ウルフと対面で10時間話し、その日の内に契約を締結。それからふたりでピザを食べに行ったという。現在はコロナ禍の影響でソーシャルディスタンスの確保が必要であり、少し状況は異なっているとはいえ、今回の交渉もおそらく似たようなスタイルとなるだろう。

 ただ、もし交渉をZoomよりも対面で行なった方がいいという結論に至った場合、ウルフは自分が誤ってウイルスを移してしまいタイトル争いに影響を与えてしまう……といったことがないようにしたいはずだ。よって交渉開始が遅れているのにも頷ける。

「来年もF1にいる保証はない」というハミルトンのコメントは、2020年に世界が直面した予測不可能性を受け入れた結果のコメントであり、つまり今は誰にとっても確実なものなどないことを意味しているのかもしれない。

 コース上で見せる輝き、メルセデスチームへの愛、そしてウルフとの絆……これらを鑑みるに、ハミルトンはチームに背を向けてF1を去ることよりも、記録を破り続けることに目を向けている男だと言えるだろう。

 ファッションブランドのトミー・ヒルフィガーとタイアップしており、音楽にも造形が深い。環境問題、そして最近では反人種差別運動にも熱心……そんなハミルトンは、今でもF1を愛し、目標に向かって突き進んでいるように見える。

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