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これでいいのか……ホンダのF1活動終了を考察する

ホンダが、2021年限りでのF1活動終了を発表した。これからタイトルを目指す……と見られていた矢先の突然の発表に、世界中に激震が走った。このホンダの決断は正しかったのか?

Max Verstappen, Red Bull Racing RB16

写真:: Andy Hone / Motorsport Images

 ホンダが2021年限りでのF1活動終了を発表した。その理由について本田技研工業の八郷隆弘社長は、次のように語った。

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「将来、カーボンニュートラルを実現するために、今回大きく舵を切り、この新たなパワーユニットとエネルギーの研究開発に経営資源を集中していきます。その一環として、今回F1で培ったエネルギーマネジメント技術や燃料技術、そして人材を先進パワーユニットとエネルギーの研究開発に振り向けることにしました」

 ただ、誤解を恐れずに申し上げるならば、「これでいいのか?」とどうしても思ってしまう。同様の感情を抱いた方も多いのではないだろうか?

 2015年にF1に復帰したホンダ。当初のマクラーレンとのパートナーシップはなかなかうまくいかなかったが、2018年にトロロッソ(現アルファタウリ)との関係をスタートしたのを皮切りに、2019年からレッドブルにPU供給を開始すると、その年いきなり3勝。今年もF1 70周年記念GPに勝った他、イタリアGPではアルファタウリにも勝利をもたらしている。まさに”勝てるPU”になってきたところで、新レギュレーションが導入される2022年以降には、タイトル獲得の期待も膨らんでいた。

「F1では、優勝という目標を達成でき、一定の成果を得ることができました。その力をこれからは、パワーユニットとエネルギーのカーボンフリー化”カーボンニュートラル実現”という新しいフィールドでの革新に注ぎます」

 F1での成果を、そう八郷社長は表現する。確かに、勝てるようになったことは一定の成果だと言えるかもしれない。しかし、まだ上にはメルセデスがいる。メルセデスに勝つことができていない状況で、満足していいのだろうか? そういう意味ではまだまだ、ホンダには伸び代が残っているし、やるべきことも残っている状況にあるはずだ。

 またF1活動を通じて、カーボンニュートラルの実現に寄与できる若いエンジニアを育てることができたとも、会見の中では語られていた。しかしF1を辞めた後、そういった若いエンジニアの育成は、どうしていくのだろうか?

 F1のパワーユニットは、究極の状況下で最大限のパフォーマンスを引き出すことを目指す。これは極限のエネルギー効率を求められるということ。しかもそれを非常に限られた時間で達成しなければいけない。そこで培われた技術・効率は、間違いなくカーボンニュートラルに向けた開発においても活きるはずだ。

 そういう意味では、リソースを再配分するという意味はわかる。しかし今後の人材育成、技術発展ということを考えた場合、F1に匹敵する場はあるのだろうか? その点においても疑問は残る。

 そしてブランドイメージという面でも、大きなマイナスを背負ったと言わざるを得ないだろう。レッドブルやアルファタウリは、公式コメントとしてはホンダのこれまでの貢献を称賛している。しかし彼らは、2022年以降に使うパワーユニットを、早急に探さねばならない。そういう意味では、心境穏やかではないはずだ。

 またホンダは、2008年にもF1を急遽撤退している。そこから2015年に復活を遂げ、10年経たずに再び撤退……2008年当時は世界的な経済不況もあったため、同情的な意見も見られた。しかし今回に関しては、世論にそういった声は少ないように思う。ホンダというブランドにおける打撃は、かなり大きいだろう。また、もし仮にホンダが再びF1に参戦したいという意向を示したとして、それを受け入れるチームがあるだろうか?

 かつてmotorsport.comのインタビューに応じたホンダの清水宏モータースポーツ部長は、モータースポーツ、そしてF1に挑む意味について、以下のように語っていた。

「航空機からこういう技術が転用できた、基礎研究からこういう技術が使えた……そういう活動を行なっているという意味でF1は、我々が持っている技術をブラッシュアップしたり、限界領域で使うといった、実験室の役割を果たしていると思います」

「そして技術を育てるのはもちろんですが、モータースポーツは人を育ててくれます。例えば軽自動車のように非常に厳しい制約があるクルマを作る際、その人が鍛えられていないとなかなか難しい。それも、モータースポーツをやっている意味だと思います」

(中略)

「ホンダと言えば何? と道行く人に聞いた時、『レースをやっていますよね』という答えが返ってくれば、それがひとつの財産なのだと思います。人の気持ちの中に、どれだけのモノが残るのか、それがブランドという意味で重要なのではないかと思います」

「また、その中で技術者がどんどん育ってくれればいいと思います。モータースポーツは、人を育てます。競争の中で時間に追われ、短期間で成果が求められる……そうすると自ずから頭の回転が速くなりますし、先回りして準備をするという癖も付きます。そういう人たちがモータースポーツでどんどん育って、その彼らが色んなところに散らばって活躍してくれたら、ホンダはもっと良い会社になるのではないかと思います」

 もちろん、F1だけがモータースポーツではない。しかし、モータースポーツの中核を占めるのがF1であるのも、また間違いのないところ。そういう意味で今回参戦終了を決めたことで、ホンダにおける人材育成、そしてホンダというブランドが受ける影響は計り知れないのではないだろうか。

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