F1 アゼルバイジャンGP

“ポーパシング”と“バウンシング”は同じではない? バクーで起きていたのは「バウンシングの方」とメルセデスが説明

メルセデスF1のチーフストラテジストであるジェームス・ボウルズは、今季チームが苦しめられているポーパシングとバウンシングがそれぞれ別の現象であると強調した。

Adam Cooper

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公開日時: 2022/06/16 10:27

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Lewis Hamilton, Mercedes W13

 メルセデスは今季、レギュレーション大変革のシーズンに合わせて投入してきたマシン『W13』が激しく上下動することに悩まされている。この現象については“ポーパシング”や“バウンシング”などと呼ばれ、一般的にこのふたつの単語はほぼ同じ意味と理解されてきたが、メルセデスによると実はそうではなく、発生方法も異なるようだ。

「路面の滑らかさやコースレイアウトなど、サーキットごとの要素がある」

 メルセデスF1のチーフストラテジストであるジェームス・ボウルズは、チームが公開した動画の中でそう語った。

「バクーはここまで走ったサーキットの中でも最悪で、逆にバルセロナはおそらく良い方だった」

「これらふたつのサーキットでパッケージの長所と短所が浮き彫りになるのは間違いない。ただ、ポーパシング、バウンシング、ボトミング……これら3つのワードについて説明するにはもう少し時間がかかるかもしれない。これらは全て同じようなものだと思われがちだが、実はそうではないんだ」

 ポーパシングは、フロア下で大きなダウンフォースを稼ぐグラウンドエフェクトカーに特徴的な症状のひとつで、走行中にダウンフォースが抜けてしまったことで車高が上がり、今度は再びダウンフォースが効いて車高が下がる、といった現象を繰り返すことで、マシンが上下動するというものだ。

 メルセデスはこれまで、このポーパシングに苦しめられていたが、5月に行なわれたスペインGPの際、ポーパシングの問題が解決に向かったように見えた。これについてボウルズは、カタルニア・サーキットの路面が滑らかであることが要因のひとつでもあったと説明した。

 一方、バンピーなストリートサーキットで開催されたモナコGPとアゼルバイジャンGPでメルセデスは、マシンが激しく底を打つバウンシングに苦しんだ。特にドライバーのルイス・ハミルトンは、リヤサスペンションを交換するなどチームメイトと異なるセッティングを施したが、レース中はバウンシングによる背中の痛みに耐えながらの走行を強いられた。

Lewis Hamilton, Mercedes-AMG, in Parc Ferme

Lewis Hamilton, Mercedes-AMG, in Parc Ferme

Photo by: Simon Galloway / Motorsport Images

 スペインで示されたように、メルセデスはポーパシングをうまくコントロールできるようになっているが、それによってマシンをより低い位置で走らせることができるようになった結果、バンピーなコースでバウンシングが起きるようになったとボウルズは説明する。

「以前のレースでは間違いなくポーパシングに苦しめられていたが、バルセロナではそうではなかった」

「我々はそれを解決するために多大な努力をしてきたし、一歩前進できたと自信を持っている」

「バルセロナではマシンが安定していて、車高を低くすることができたのが鍵になった。おかげで空力的にも多くの作業をすることができ、パフォーマンスを向上させることができた」

「モナコとバクーでは、残念ながらこれまでの問題によって隠されていた新たな問題が浮き彫りになった。我々はポーパシングについては一歩前進したと思っているが、明らかにバウンシングが起きていた。見た目上はどちらも同じに見えるが、それらは微妙な違いがある」

 つまるところ、バウンシングは単にマシンの底が路面に衝突することを指すようだ。これは、ダウンフォースが抜けたり回復することで上下動するポーパシングとはニュアンスが異なる。

「最初の問題(ポーパシング)を解決した結果、車高を低くすることができ、その結果(マシンの)底が激しく地面とぶつかるようになった。それが今起きているバウンシングだ」

「我々は先頭争いをするためにあらゆることを理解する必要があるので、まだ道のりは長い。ただ重要なのは、この先もサーキットによってパフォーマンスのバラつきが出るだろうということだ。カナダはマシンのパフォーマンスという点で、シルバーストンなどとは異なるはずだ」

ハミルトンのカナダGP出走はやはり問題なし?

 またボウルズは、チームがアゼルバイジャンでドライバーたちに苦しいレースを強いたことを認めつつ、次戦カナダGPの出場に関してトト・ウルフ代表からも懸念の声が上がっていたルイス・ハミルトンについて、問題なく出られるはずだと語った。

「ルイスが先日、ここ(メルセデスのファクトリー)に来たと聞いて安心した。彼は数時間そこにいて、体調にも問題なかったようだ。彼はモントリオールでもマシンに乗り込むことになるだろう」

「彼はマシンと自分自身の限界に挑戦するアスリートであり、それがF1ドライバーの仕事でもある」

「今回は我々のパッケージがドライバーに無理をさせるような形となってしまい、大きな不快感を与えた。こんなことは二度と繰り返してはいけない」

「多くのドライバーが同じように不快感や痛みを感じているというコメントがメディアを通して聞こえてくる。そして我々はこのようなことが続かないようにする責任がある」

 アゼルバイジャンGPではレース中、ハミルトンが「シートが冷たい」と発言したためチームは困惑したが、ボウルズによるとこれはメカニカルな問題ではなくフィジカルな問題であったという。

「マシンの方で何か変わった訳ではなく、彼はバウンシングによって背中に衝撃を受けた後、しびれを感じるようになり、それが寒さを感じているような感覚に繋がったようだ」

「マシンのどこかが寒かったのではなく、彼がレース中に経験した痛みや我慢によって引き起こされたものだったんだ」

 

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