F1の奇妙なスポンサー3:資金難のHRTが苦し紛れに掲示した“広告募集”ロゴ
F1マシンには、様々な企業による華やかなスポンサーロゴが欠かせない。しかし、スポンサー集めに苦労した2011年のHRTは、目立つ箇所にスポンサー募集のオリジナルロゴを掲示して対処した。
写真:: Sutton Images
2010年に新規参入チームとしてF1参戦をスタートさせた3つのチームのひとつである、HRT F1チーム。彼らは1度も入賞を果たすことなく2012年を最後にF1から去ったが、そのスポンサー不足に対処する方法は実にユニークだった。
チーム発足2年目の2011年、HRTはニューマシン『F111』を発表した。前年度は黒を基調とした地味なカラーリングだったHRTだが、この年はそのイメージを一新。アーティストであるダニエル・サイモンがデザインを担当し、赤と白を基調としながら、チェッカーフラッグを模した市松模様があしらわれる華やかなデザインとなった。
しかしながら彼らはスポンサーの調達に苦戦し、F111に用意されたスポンサーロゴ掲示用のスペースをほとんど埋めることができなかった。チームはレギュラードライバーとしてインド人ドライバーのナレイン・カーティケヤンを起用したため、彼の持ち込みスポンサーである『TATA』のロゴを掲示することができたが、依然として目立つ部分であるフロント・リヤの翼端板、サイドポンツーンは空白のままだった。
そのためHRTは開幕戦オーストラリアGPで、上記の3箇所にスポンサー募集の標語を掲示する、という対処法をとった。最も大きなサイドポンツーンには『THIS COULD BE YOU(ここはあなたのものになるかも)』、フロントウイング翼端板には『YOUR LOGO HERE(あなたのロゴをここに)』、リヤウイング翼端板には『THIS IS A COOL SPOT(ここはイカした場所だ)』と記された。HRTは前年にもスポンサーが付かなかったサイドポンツーンにドライバー名を掲示するなどしていたが、この新たな解決策は見ているこちらが小恥ずかしくなるようなものだった。
なお、開幕戦オーストラリアGPでのHRTは、カーティケヤン、ビタントニオ・リウッツィともに107%ルールに抵触して予選落ちという散々なものだった。その後のレースでは決勝に進みはしたが、そもそも彼らはテレビにほとんど映らないほど後方を走っていたので、HRTのマシンを遠目から見た企業の重役は『HRTのスポンサーは既に埋まっている』と思ったに違いない。
シーズン途中にはカーティケヤンに代わってダニエル・リカルドがデビューを果たし光る走りを見せたが、トップ10入賞には程遠かった。チームはシーズン途中で売却されたため、これらのロゴはマシンから外され『HRT』の文字がマシンの各所に散りばめられることとなった。
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