スーパーGT

つちやエンジニアリング土屋武士代表が明かす、松井孝允TEAM MACH移籍の経緯。家族同然の愛弟子に厳しくも愛のある決断

2023年シーズンはHOPPY team TSUCHIYAからTEAM MACHに移籍する松井孝允。その経緯について、つちやエンジニアリングの土屋武士代表が明かした。

公開日時: 2022/12/25 10:30

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Takamitsu Matsui, #25 HOPPY Schatz GR Supra

 12月25日、2023年のスーパーGT参戦体制を発表したTEAM MACH。もてぎ戦での事故で車両が使用不可能となりながらも、様々な関係者の助けによりMC86での継続参戦が決まったというサイドストーリーもさることながら、HOPPY team TSUCHIYAから松井孝允が移籍してくるというニュースも驚きをもって迎えられた。

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 これら一連の出来事の背景について明らかにしたのが、つちやエンジニアリングの土屋武士代表。実は土屋代表は11月末に、『25PRIDEサポーターズクラブ』の会員だけに、松井が移籍することとその経緯を明らかにしていたのだが、今回のTEAM MACHの発表を受けて会員限定ページに綴られた内容を一般公開するに至ったのだ。

 その中では、はじめに1年間つちやエンジニアリングを応援してくれたファンへの感謝の気持ちが綴られた後、次のように続いていた。

「来期の25号車のドライバーから孝允を外すことを決断しました」

 その理由については、その後さらに詳細に語られていた。土屋代表と松井は、VivaC 86 MCで共にGT300のタイトルを獲得したことでも知られているが、松井はつちやエンジニアリング(株式会社サムライ)の社員でもあり、ふたりは単なる師弟関係を超えて、家族同然の関係。だからこそ、それがどこか仇になってしまっている部分があるのではないかと考えた土屋代表は、松井を“降ろす”という一見厳しくも思える決断をすることが、彼のためにも最善であると判断したという。

 

Photo by: Masahide Kamio

 今季は若いスタッフに陣頭指揮を執させ、自身は「なるべく口出ししないようにしていた」土屋代表。しかしチームはわずか1ポイントを獲得にとどまり、「たくさんのモノを失う」こととなったという。チームのコンセプトは”若い職人を育てること”とはいえ、このままではチーム自体が消滅する可能性もあると考えた土屋代表には、今のままではいけないという思いが強く芽生えたのだ。

 その中で、現状として松井のポテンシャルを引き出せていない環境になっていると感じた土屋代表。「僕と孝允は家族同然の感覚、、親の言うことはあまり耳に入らないですよね。どこか、厳しいプロのステージの中に、そういった甘えがでてきているような、そんな感覚を感じていました」と綴っている。チームのベテランメンバーとも相談したところ、松井に対して同じ印象を持っていることを確認したという。

「やはり、みんなの想いを乗せて走れるのはドライバーだけで、その期待に応えられなかったらそのステージから降りるべきというのがプロの世界。ここで僕は決断しました」という土屋監督。崖っぷちにあるチーム状況において、チーム全体、そして松井にとって何が最善かを考えた時に、それは「厳しさを、痛みを持って刻んでもらう」ことだという決断に至った。逆にこの逆境から這い上がることができれば、松井はこの先5年10年とプロとしてキャリアを続けられるのではないか……そんな親心も含まれていた。

 そして「これは自分のことですが、僕は甘いと思われています」と続ける土屋代表。その場にいるだけで現場に緊張感を持たせた父の故・春雄氏を引き合いに出し、“つちやエンジニアリング”の看板を守るために「親父だったら即座にこういう決断をしただろう」との思いもあったという。

 

Photo by: Masahide Kamio

 その知らせを聞いた松井も、翌日には「とにかくガムシャラにやります」と土屋代表に伝えたという。その意思を確認した土屋監督は松井を全力でサポートすると約束したが、そんな折に頭をよぎったのが、翌年の参戦車両に頭を悩ませていたTEAM MACHだった。

 土屋代表はTEAM MACHの玉中哲二に「もし孝允を来年ドライバーで使ってもらえたら、僕の持っている86MC(ホピ子)を無償で貸し出します、いかがでしょうか??」と伝えた。玉中代表はこの申し出を喜んだものの、「武士の最後のクルマを壊しちゃったりしたらって考えると心苦しいので、やっぱりクルマは借りない。でも孝允は約束通り使わせてもらうよ」と86MCの提供オファーは固辞。彼らはINGINGから車両提供を受ける形となったが、松井の移籍は実現することとなった。

 このやり取りについて、土屋代表は次のように語る。

「レース仲間っていいなって思いました」

「玉中さんにとってもマッハ号は8年も使っていて、玉中さん自身が最後に乗っていた最後のクルマということで、すごく愛着を持っていたんですね。ほぼ全損にもかかわらず直すそうです。そんな玉中さんだからこそホピ子を預けようと思ったし、玉中さんも僕のクルマを預かるのは重かったんだろうなって思います」

 このように、松井のTEAM MACH移籍は様々な者の強い思いが複雑に絡み合って実現していたのであった。

 

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