更新されていく“皇帝”の記録……それでも「僕のヒーローは変わらない」とベッテル
セバスチャン・ベッテルは、ルイス・ハミルトンがミハエル・シューマッハーの持つF1最多勝記録を塗り替えようとしているものの、シューマッハーが自分にとって史上最高のドライバーであり、“ヒーロー”であることには変わりないと語った。
写真:: Race of Champions
F1アイフェルGPでは、メルセデスのルイス・ハミルトンが優勝。F1通算91勝目となり、ミハエル・シューマッハーが持つ歴代最多記録に並んでみせた。今季はまだ6レース残っているため、ここまで11戦中7勝を挙げているハミルトンが今季中にシューマッハーの記録を上回るのはほぼ確実と見られている。また、ハミルトンが今季ドライバーズタイトルを獲得すれば、こちらもシューマッハーの持つ最多記録である7回に並ぶこととなる。
自身もシューマッハー、ハミルトンに次ぐ歴代3位の53勝を記録しているセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)は、同世代のライバルであるハミルトンが成し遂げてきたことを称賛しつつも、シューマッハーが誰よりも一段上にいる存在であることには変わりないと考えているようだ。
「彼(ハミルトン)がこれまで成し遂げてきた成果を、十分にはリスペクトできないかもしれない」とベッテルは言う。
「これは、絶対に並ばれたり、更新されたりすることはないと思っていた数字だ。でも彼がこの記録を超えることは間違いないだろう」
「それでも、ミハエルが常に僕のヒーローなんだ。ミハエルは、他のドライバーにはないような何かを持っているんだ」
ベッテルは、同郷の先輩であるシューマッハーと共にカートイベントやレース・オブ・チャンピオンズなどに参加してきた経験を持つ。ベッテル曰く、F1以外のイベントで走るシューマッハーを見て、彼のスキルの高さをより実感したという。
「彼はこれまで僕が見てきた誰よりも優れていたと思う」とベッテルは言う。
「彼は、説明するのが難しいほどの天性の才能を持っていると思うんだ」
「もちろん、僕は彼が若い頃にカートをしている姿を見たことはないけど、大人になってからは見たことがあるし、レース・オブ・チャンピオンズにも彼と何回か参加して楽しんだよ。そこで彼の技術やマシンコントロールを見ることができたんだ」
「カートの時もレース・オブ・チャンピオンズの時も、彼は天性の才能を示していたと思うし、さっきも言ったようにそれは僕が今まで見たことがないレベルだったんだ」
「それに加えて、彼は信じられないほど意欲の高い人間だった。彼はそういった部分が際立っていたと思う」
ハミルトンよりもシューマッハーに対して強い尊敬を念を示したベッテルだが、それはふたりを見てきた期間の違いが影響を与えていることを認めた。
「僕は子供の頃にミハエルを尊敬していたけど、その時ルイスを尊敬していたわけではない。だから状況が違うんだ」とベッテル。
「でも、10年後、15年後、そして20年後にはもっと尊敬の念を抱くようになると思う。今は現役で走っているし、自分のことばかりで他の人のことをあまり見られない。とにかくさっきも言ったように、彼が成し遂げてきたことに対して、今はまだ十分に敬意を表することはできないと思う」
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