F1
F1歴史的大変革期到来。大きく変わるのは、レギュレーションだけじゃない! スポーツの将来を担う重要な1年に
大変革を遂げる2026年のF1。レギュレーションに大変更が加えられるが、それ以外にも注目すべき変更点がある。
田中 健一
編集: 2026/01/01 3:00
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Trophies for the Red Bull Racing team
写真:: Sam Bloxham / LAT Images via Getty Images
2026年はF1にとって、様々な歴史の変革点となるかもしれない。もちろん、レギュレーション大変更はそのうちのひとつであるが、他にも様々な要素が詰まっている。
2026年のF1はどう変わるのか? おさらいしておこう。
■レギュレーション大変更
F1 2026 car renders
写真: Liberty Media
これまで散々報じられてきた、F1のレギュレーションの大変更。それがついに現実のものとなる。この変更により、パワーユニット(PU)とシャシーの両方が変更される。
改めてPUとは、エンジンと電動モーターを組み合わせたものである。簡単に言えば”ハイブリッド車”だ。2009年以降、F1は一部を除いてハイブリッド車であり、それが今も続いている。
エンジン部分は2025年までと同様V6ターボである。しかし変更点もある。
ひとつは使う燃料だ。2025年までは化石燃料由来のいわゆる”ガソリン”を使ってきた。しかし2026年からは持続可能燃料を使わなければならない。基本的な成分自体はガソリンと同じような液体燃料であるが、化石燃料由来であってはいけない。何らかの形で人工的に合成し、製造した燃料でなければならないのだ。その原料はバイオ系であってもいいし、水や空気を原料としても構わない。重要なのは製造過程も含め、CO2排出量実質ゼロとすることである。
地球上で使う燃料のほぼ全ては、この持続可能燃料に置き換えることができる。しかし現時点では非常に高価であり、大量生産も難しい。しかしF1で使うことで大量生産に向けた足がかりとなれば、価格を抑えることにも繋がり、一般の自動車で使うガソリンをこの持続可能燃料に置き換えるという未来も見えてくるかもしれない。F1だけではなく、他の様々なモータースポーツも、この代替燃料を使う方向に舵を切っている。
F1が、そしてモータースポーツが、地球の未来を切り開く先鋒となるのだ。その1年目が、この2026年ということだ。
なおエンジンに送られる燃料は2025年と比べて絞られていたり、圧縮比が1:16になったり(一部抜け穴を見つけたチームもあると噂されているが)するため、パワーが出しにくい方向になっているのは間違いない。エンジンからより効果的にパワーを引き出すために、様々な工夫を強いられるはずだ。
一方でPUで使える電動パワーは増える。計算上では、エンジンと電動モーターの出力は均等になる。ただ、2025年まで存在していた熱エネルギー回生(MGU-H)は撤廃され、運動エネルギー回生(MGU-K)のみとなる。
この運動エネルギー回生は、これまではブレーキング時のエネルギーで発電し、それをバッテリーに蓄え、必要な時に使うという形であった。しかし2026年はそれだけでは足りない。そのため、本来ならばエンジンを全開にしなくてもいい箇所でも全開でエンジンを回し、駆動に必要としない部分を発電用のエネルギーに回すということにもなるとされている。
ただバッテリーの容量は、基本的にはこれまでとほぼ一緒。つまり電気を出し入れする頻度、量が増えるというわけで、より過酷な環境に耐えられるモノにならなければいけないということになる。
新しいPUは非常に高い効率、高い耐久性を求められるということに繋がる。この技術は、市販車にも当然活かせるだろうし、他のモビリティや発電システムなどにも応用できる。バッテリーだけを何か別のモノに転用するということも可能だろう。
前出の持続可能燃料も含め、2026年からのF1は、未来のための技術を鍛える実験場になるのである。
ホンダが開発したeフューエル
写真: Honda
2026年のF1は、PUだけでなくシャシーも大きく変わる。基本的には小型軽量化が進み、車両後方に発生する乱気流を抑えることで、オーバーテイクが増えることが目指されている。ピレリタイヤも小さくなる。
それ以上に大きな変化と言えるのが、空力面だ。アクティブエアロというシステムが導入されることにより、ストレート走行時とコーナー走行時、2種類の空力セッティングを使い分けるということが可能になった。
ただこのアクティブエアロの導入により、2025年まで存在していたDRSのようにオーバーテイクを空力的にサポートするデバイスは存在しなくなった。ただDRS同様に前を行くマシンの後方1秒に迫った場合には、電動パワーを増加させることができるオーバーテイクモードがある。
これらの新デバイスが、期待通りに機能するのか、あるいはうまく機能しないのか……開幕戦でチェックしようではないか。
■新規参入メーカー続々! ホンダも正式復帰
Audi F1 Team RS26 concept livery
写真: Audi Sport
2026年からはふたつの自動車メーカーが新規参入を果たす。いずれもF1初参戦だ。
ひとつはアウディ。昨年までのザウバーを買収する形で、グリッドに登場する。アウディはPUまでを自社製造する完全ワークス体制。すぐに高い戦闘力を発揮するのは難しいのではないかと言われるが、果たして?
もうひとつは、キャデラックである。アメリカの高級自動車ブランドであるキャデラックが、満を持してF1に打って出る。PUこそフェラーリから供給を受けるが、シャシーは自社製。セルジオ・ペレスとバルテリ・ボッタスという優勝経験のあるベテランを揃えたところに、その本気度が窺える。
さて日本のファンにとっては、ホンダの存在を忘れるわけにはいかない。
ホンダは2021年限りでF1から撤退したが、2022年以降2025年までもHRC(ホンダ・レーシング)を介してPUを開発・製造し、レッドブル・パワートレインズにPUを供給してきた。そして2026年からは正式にホンダとして参戦を再開する。パートナーもアストンマーティンに変わる。
このアストンマーティンには、フェルナンド・アロンソがいる。アロンソと言えばマクラーレン時代にホンダのPUを「GP2エンジン!」と痛烈批判したことがよく知られている。今度はお褒めの言葉をいただけるだろうか?
またホンダと袂を分かったレッドブルは、自社製PUを製造することになった。自動車メーカー以外の会社がエンジン/PUを実際に開発・製造するのは、近年ではあまり例を見ない。好パフォーマンスを見せられるのかどうか……注目されるところだ。
これら新規メーカーとメルセデス、フェラーリ……どのPUが最も優れているのか? メルセデス優勢との声も聞こえるが、レギュレーションの大変更も相まって、蓋を開けてみるまでどうなるか分からない。
■ディズニーとのコラボレーションで、F1の景色は変わる?
Mickey and Minnie Mouse in the Paddock
写真: Rudy Carezzevoli / Getty Images
2026年から、F1はディズニーとのコラボレーションを本格スタートさせることになる。
Netflixのドキュメンタリー番組が火付け役となり、全米での人気が急速に高まったF1。2025年には映画『F1/エフワン』の大ヒットもあり、その人気拡大はとどまることを知らない。
そこにディズニーだ。
2025年のラスベガスGPでは、このコラボレーションが先行スタートした。レース後にはベラッジオホテル前の池で、ミッキー・マウスの噴水ショーが行なわれた。
そのショーはまさに、ディズニーランドやディズニーシーで目にするような、そんなものすごい完成度。度肝を抜かれた。
F1はスポーツイベントであり、その中でも若干マニアックという立ち位置にあったように思う。しかし最近では広く一般の人が見るようになり、次を見据えていた。ラスベガスのようにディズニーとのコラボレーションが成功すれば、F1は真の意味でのエンターテインメントへと昇華することになるだろう。
そういう意味でも2026年は、F1の将来に向けて非常に重要なシーズンということになるかもしれない。
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