F1
ホンダがF1で使う持続可能燃料はどんなモノなのか? PU開発責任者、角田LPLに訊く「基本的に使う燃料をベースにPUを開発している」
2026年からF1で使うことが義務付けられる持続可能燃料。ホンダが使うのはどんな燃料なのか?
田中 健一
公開日時: 2026/01/24 11:46
Copy link
Viberでシェア
Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

Honda RA626H power unit
写真:: Honda
2026年のF1は、レギュレーションが大きく変更。その中でも最も大きく、最も重要な変更点は、燃料が変わるということかもしれない。
F1だけでなく世の中の自動車と呼ばれるものは、長くほぼ全てがガソリンもしくは軽油といった化石燃料由来の燃料で走ってきた。最近では電気自動車の割合も増えてきたが、それでも燃料を使うガソリン車の割合は未だに多い。
ただ化石燃料由来の燃料を使うと、本来ならば地中深くに埋蔵されていたはずの炭素が大気に放出されることとなってしまい、これが原因で大気汚染や地球温暖化に繋がると指摘されてきた。
そのため世界は、エンジン車を廃止し、全てを電気自動車に置き換えることに舵を切った。しかし充電等インフラの問題、航続距離の問題などがあり、普及は進まず。そもそも電気自動車を走らせるための電気を火力発電などで賄っていたら、地球環境対策には全く繋がらないなどの問題もあり、一時に比べて電気自動車にシフトする動きは下火になった。
その代替案のひとつとして考えられているのが持続可能燃料である。この持続可能燃料は、化石燃料を原料としないため、大気中の炭素量を増やすことには繋がらない。ただ現在では非常に高価であり、大量生産するのも簡単ではない。
しかしF1でならば、その”高価”という問題は解決できるかもしれない。そもそも昨年まで使っていたガソリンも、名前こそガソリンではあるが、パフォーマンスを高めるために成分が微調整されていたため、非常に高価であったと言われる。その結果、持続可能燃料との価格差はそれほど大きくはなかったようだ。
そしてF1で使う量を生産すれば、大量生産に繋がる方法だったり、安く作るための方法だったりを探ることができるはずだ。そしてその先には、市販車などで使えるようになるというフェイズに繋がることが期待されている。
さてそんな持続可能燃料には、様々な種類がある。水と空気を原料とするeフューエルだったり、非可食の植物を原料とするバイオ燃料、さらには家庭やレストランなどで使われた食用油を再利用するという手もある。
では、2026年からF1に正式復帰するホンダは、どんな燃料を使うのか? ホンダのパワーユニット開発責任者である角田哲史ラージ・プロジェクトリーダー(LPL)はこう語った。
「技術の詳細、細かい部分はお伝えできないのですが、持続可能燃料ということで、単純なカーボンニュートラル燃料からはもう一歩進んだモノになっています」
そう角田LPLは語った。
「作り方にも、色々と制限があります。そして燃料のスペックを決めた後にも、持続可能だということを確認するためリードタイムが必要だったりします。そこは難しいところですね」
「その間にハードウェアの仕様が変わるということもあります。そういうことをうまく考えながらやっていくという部分が、非常に難しいところですね」
なお持続可能燃料は、その種類は様々ではあるものの、今や国内外の色々なカテゴリーで使われている。ただ通常のガソリンとは異なるため、使いにくいといった声が挙がることも少なくない。たとえば揮発しにくいため燃やしにくいとか、煤が出てしまうとか、そういうことが語られてきた。
ホンダはF1で持続燃料を使うことで、苦労していることはあるのか? そう尋ねると角田LPLはこう教えてくれた。
「基本的には、その燃料をベースに(PUを)開発しているので、使いやすいも使いにくいも、比較がないですね」
「ですから、それについてはコメントがないというのが答えです」
ではF1で使う燃料は、前述のとおり市販車で使える燃料になっているのか? それについても角田LPLはこう説明してくれた。
「ルールの上でそういう形に誘導しています。ですから、そうなるだろうと思っています」
「ただ、市販車で使ってテストしてっていう証明をしているわけではないので、そこはなんとも言い難いですね。ただ、多分使えるんじゃないかと思います」
ホンダは傘下の本田技術研究所で、以前から燃料の研究を行なってきた。実際に社内でeフューエルを開発したりもしている。また、航空エンジンでSAF(航空機用持続可能燃料)の実証実験も行なうなどしている。このSAFも、呼び方こそ違うが、F1に導入される持続可能燃料と来歴は似たものだ。
そういう意味では、持続可能燃料に関する知見は、他のメーカーよりも多く持っているはず。これがアドバンテージになり、アストンマーティン・ホンダのパフォーマンスに繋がっているかどうか……この部分は注目すべきだろう。
関連ニュース:
F12026年からF1で使われる持続可能燃料とは一体何なのか? バイオに、eフューエルに……実は複数の選択肢がある
F1空気と水さえあれば、ガソリンと同じような燃料が作れる……ホンダF1で加速する、未来への技術”カーボンニュートラル燃料”の開発
スーパーGT海外産CNFを使うスーパーGT、今後は“国産E10燃料”への移行も選択肢に? 最終目標はeフューエルも道のり長く
スーパーGTスーパーGT公式テスト岡山で改めて痛感した「速いクルマは美しい」。カーボンニュートラル燃料導入で排気管に着目
あなたの意見が聞きたい!
Motorsport.comで何を見たいですか?
5分間のアンケートにご協力ください。
- Motorsport.comチーム
関連ニュース :
記事をシェアもしくは保存
Copy link
Viberでシェア
前の記事 王者マクラーレン、どっしりと構える。新規則の2026年マシンは開幕までに大きなテコ入れなしか「マシンを理解することに労力を注ぐ」
次の記事 映画F1/エフワンのアカデミー賞ノミネート、手助けしたハミルトンも喜びひとしお「本当に光栄なことだ」
More from
田中 健一

HRCプレリュードが4戦連続でポールポジション獲得。逆転王者に向け重要なオートポリス決勝は「もてぎ2連戦に繋げるレースにしたい」と往西LPL
スーパーGT
スーパーGT
第7戦:オートポリス
50 分前
HRCプレリュードが4戦連続でポールポジション獲得。逆転王者に向け重要なオートポリス決勝は「もてぎ2連戦に繋げるレースにしたい」と往西LPL

64号車プレリュード、課題の”ウォームアップ”に自信あり? フラガ「新タイヤが調子良い……いけるんじゃないかと願っています」|スーパーGT第7戦予選
スーパーGT
スーパーGT
第7戦:オートポリス
3 時間前
64号車プレリュード、課題の”ウォームアップ”に自信あり? フラガ「新タイヤが調子良い……いけるんじゃないかと願っています」|スーパーGT第7戦予選

【HRC渡辺康治社長独占インタビュー】厳しい戦い続くアストンマーティン・ホンダ、一体何が起きているのか?
F1
F1
シンガポールGP
9 時間前
【HRC渡辺康治社長独占インタビュー】厳しい戦い続くアストンマーティン・ホンダ、一体何が起きているのか?

More from
アストンマーティン

ホンダF1が100円ショップとコラボ! HRCとDAISOがパートナーシップ締結「双方のブランド価値の最大化を図る」
F1
F1 1 日前
ホンダF1が100円ショップとコラボ! HRCとDAISOがパートナーシップ締結「双方のブランド価値の最大化を図る」

アロンソ、ホンダ製PUの奇妙な挙動に苦しむ「マシンがサーキットのどこにいるのか、正確に把握できていなかったみたいだ」|F1シンガポールGP
F1
F1
シンガポールGP
5 日前
アロンソ、ホンダ製PUの奇妙な挙動に苦しむ「マシンがサーキットのどこにいるのか、正確に把握できていなかったみたいだ」|F1シンガポールGP

目指していた結果には届かなかった……ホンダF1折原エンジニア、シンガポールGPを振り返る「ある程度の期待を持って準備してきたが」
F1
F1
シンガポールGP
5 日前
目指していた結果には届かなかった……ホンダF1折原エンジニア、シンガポールGPを振り返る「ある程度の期待を持って準備してきたが」
最新ニュース

SCがなければ勝てた……前戦健闘のWedsSportはオートポリスでも3番手スタート。勝負の鍵は「やはりウォームアップ」と国本
スーパーGT
SGT スーパーGT
第7戦:オートポリス
5 分前
SCがなければ勝てた……前戦健闘のWedsSportはオートポリスでも3番手スタート。勝負の鍵は「やはりウォームアップ」と国本

HRCプレリュードが4戦連続でポールポジション獲得。逆転王者に向け重要なオートポリス決勝は「もてぎ2連戦に繋げるレースにしたい」と往西LPL
スーパーGT
SGT スーパーGT
第7戦:オートポリス
50 分前
HRCプレリュードが4戦連続でポールポジション獲得。逆転王者に向け重要なオートポリス決勝は「もてぎ2連戦に繋げるレースにしたい」と往西LPL

“ホピ子”が過去最高の予選4番手獲得! チームの存続を懸けて戦う土屋武士監督「火が消える前に、悔いが残らないように」
スーパーGT
SGT スーパーGT
第7戦:オートポリス
1 時間前
“ホピ子”が過去最高の予選4番手獲得! チームの存続を懸けて戦う土屋武士監督「火が消える前に、悔いが残らないように」

黒い仮面で登場の16号車ARTA、公式練習のアクシデントで「フロント周りはほぼ全交換」。予選7番手から得意の決勝で追い上げ目指す
スーパーGT
SGT スーパーGT
第7戦:オートポリス
2 時間前
黒い仮面で登場の16号車ARTA、公式練習のアクシデントで「フロント周りはほぼ全交換」。予選7番手から得意の決勝で追い上げ目指す
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。
次の 2 つのオプションがあります。
- サブスクライバーになります。
- 広告ブロッカーを無効にします。
購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします
広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード
お知らせの管理
登録