F1 マイアミGP

F1分析|角田裕毅にとってはあまりにも不運だったVSCのタイミング。そして大きかった1周目のオーバーテイク

角田裕毅(レッドブル)は、F1マイアミGPの決勝で10位入賞を果たした。ただVSCのタイミングは、角田にとってはあまりにも不運だったように思える。

田中 健一

公開日時: 2025/05/06 2:35

Copy link

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

WhatsAppでシェア

Linkedinでシェアする

Pinterestでシェアする

Viberでシェア

Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

Esteban Ocon, Haas F1 Team, Yuki Tsunoda, Red Bull Racing Team

Esteban Ocon, Haas F1 Team, Yuki Tsunoda, Red Bull Racing Team

写真:: Zak Mauger / Motorsport Images

 F1マイアミGPで、角田裕毅は10位入賞を果たした。しかし、ピットストップのタイミングさえ前後に1周ずれていれば、もう少し上の順位でフィニッシュできたかもしれない。

 角田は、F1マイアミGPの決勝レースを10番グリッドからスタート。1周目に9番グリッドスタートのエステバン・オコン(ハース)を抜き、序盤は9番手を走行していた。

 この頃のレースは、状況判断が非常に難しかった。サーキット周辺には強い雨雲が広がっており、そのうちのいくつかは確実にサーキットに向かってきていた。雨が降るのは時間の問題で、いかにウエット系のタイヤに履き替えるタイミングを読むかというところに、各チームが集中していたように思える。

 しかし幸か不幸か、雨雲はことごとくサーキットを避けるように大西洋に流れていった。結局雨が振らないまま、各車はタイヤ交換のタイミングを迎えることになった。

 20周目頃から後方のマシンを皮切りにピットイン。この頃はまだギャンブル的なタイヤ交換かと思われていたが、雨が来ないという可能性が徐々に濃厚になっていくと、上位勢でもピットストップが始まった。

 角田のチームメイトであるマックス・フェルスタッペンは26周を走り終えた段階でピットイン。角田はその1周後、27周を走り切ったところでピットに入った。

 しかし角田にとって不幸だったのは、コースに戻った直後、すぐ前を走っていたオリバー・ベアマン(ハース)のマシンがエンジンブローし、コース脇にマシンを止めてしまったことでバーチャル・セーフティカー(VSC)が宣言されたことだ。

【グラフ1】F1マイアミGPギャップ推移

【グラフ1】F1マイアミGPギャップ推移

写真: Motorsport.com Japan

 このグラフは、マイアミGP決勝中の中団グループのギャップ差の推移を折れ線で示したものだ。

 前述のVSCが宣言された際、角田の5秒ほど後方を走っていたフェラーリのルイス・ハミルトンがピットイン。コースに戻った時には、角田の3.5秒ほど前に立っているのが分かる。つまりハミルトンは、角田よりも1周ピットストップのタイミングを遅らせた”だけ”で、8.5秒も稼ぐことに成功したわけだ(グラフ1の赤丸の部分)。

 これに関しては、さすがにライバルのトラブルを予測するわけにはいかず、角田にとっては不運だったと言う他ない。

 ただこの不運を避けられた可能性がある方法がひとつある。それは、フェルスタッペンと同じ周にピットストップを行なうことであった。

 フェルスタッペンがピットストップする前の周、つまり25周目を終えた時点でフェルスタッペンと角田の差は13秒強というところであった。連続でピットストップさせても、問題なく作業をこなすことが出来たはずだ。

【グラフ2】F1マイアミGPレースペース推移

【グラフ2】F1マイアミGPレースペース推移

写真: Motorsport.com Japan

 こちらのグラフは、フェルスタッペンと角田のレースペースの推移を折れ線グラフで示したものだ。タイヤを交換することで、フェルスタッペンも角田も、レースペースが1〜1.5秒上がっている(グラフ2の赤丸の部分)。

 フェルスタッペンと同じ周にピットストップしていれば、ハミルトンの2周前にピットストップできていたということになる。そうなれば角田はハミルトンの前を抑えるか、あるいは先行されたとしてももっと近い位置につけることができていたはずだ。

 とはいえこれは、いずれも「後から考えれば」ということである。これを全て事前に予測せよというのは、あまりにも酷なことかもしれない。

 さて、レースペースを見てふたつ気になることがある。

 ひとつはフェルスタッペンのペースに見て取れる。フェルスタッペンはレース序盤は先頭を走ったが、マクラーレン勢にオーバーテイクされると、一気にペースが落ちているのが分かる(グラフ2の青丸の部分)。そしてその後、徐々にペースを取り戻している。

 ここから推測できるのは、マクラーレンに対して防戦する際に、かなりタイヤに負荷をかけてしまっていたのだろうということである。おそらくタイヤがオーバーヒートし、パフォーマンスを発揮できなかったのだろう。

 フェルスタッペンはレース後のプレスリリースで「少しでも前のマシンに接近したり、プッシュしようとすると、タイヤがオーバーヒートしてしまった」と語っており、おそらくそれがこのグラフに現れているのだろう。

 ただマクラーレンに先行を許したことでペースを落とすことができたためタイヤの温度が下がり、ペースが戻ったということだろう。

 もうひとつ気になるのは、角田のスティント序盤のペースだ。グラフ2をご覧いただいても分かる通り、フェルスタッペンは最初のスティント終盤よりも1.5秒ほどペースを上げているが、角田は1秒程度しか上げられていない(グラフ2の緑丸の部分)。

 現在のピレリタイヤは、使い始めを慎重に走ることが、デグラデーション(性能劣化)を抑えるのに最も効果的とされている。この慎重に使い始めるというのは角田の得意技とも言え、これまで度々好結果に繋げてきた。

 しかし今回は、フェルスタッペンだけではなく他のライバルと比較しても、第2スティント序盤のペースの上げ幅が小さいように見える。その後のペース自体には大差が無いのに……である。

 この傾向は、あまりにも慎重になりすぎているということなのか、あるいは”レッドブルRB21はこうしなければタイヤをすぐに痛めてしまう”ということなのか……それは気になる部分である。フェルスタッペンの言葉からすれば、どうも後者である可能性が高いが。

 もうひとつ言及しておきたいことがある。それは、角田がスタート直後に9番グリッドスタートのエステバン・オコンを抜いたのは実に大きかったということだ。オコンはペースはそれほどよくはなかったものの、抜きにくいマシンだったようで、実際フェラーリのハミルトンはオコンに長いこと抑え込まれた(グラフ1の緑丸の部分)。

 もし角田が1周目にオコンを攻略できていなかったならば、入賞を目指すのはかなり難しいことになった可能性がある。そういう意味では、かなり重要なオーバーテイクを成功させたという部分は賞賛されるべきだろう。

 2週間後のエミリア・ロマーニャGPでは、今回フェルスタッペンのマシンに投入された新型フロアが、角田のマシンにも取り付けられる予定だという。これにより、パフォーマンスが上がることを期待したい。

関連ニュース:

 

あなたの意見が聞きたい!

Motorsport.comで何を見たいですか?

5分間のアンケートにご協力ください。

- Motorsport.comチーム

関連ニュース :

記事をシェアもしくは保存

Copy link

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

WhatsAppでシェア

Linkedinでシェアする

Pinterestでシェアする

Viberでシェア

前の記事 「あまり賢明なレースはしていないね」ノリス、マイアミ決勝のフェルスタッペンの走りを批判

次の記事 アルピーヌF1、ドゥーハンと補欠コラピントの即時交代を本格検討。早ければ次戦エミリア・ロマーニャGP前に決断か

More from

田中 健一



HRCプレリュードが4戦連続でポールポジション獲得。逆転王者に向け重要なオートポリス決勝は「もてぎ2連戦に繋げるレースにしたい」と往西LPL

スーパーGT

スーパーGT

第7戦:オートポリス

12 時間前

HRCプレリュードが4戦連続でポールポジション獲得。逆転王者に向け重要なオートポリス決勝は「もてぎ2連戦に繋げるレースにしたい」と往西LPL



64号車プレリュード、課題の”ウォームアップ”に自信あり? フラガ「新タイヤが調子良い……いけるんじゃないかと願っています」|スーパーGT第7戦予選

スーパーGT

スーパーGT

第7戦:オートポリス

14 時間前

64号車プレリュード、課題の”ウォームアップ”に自信あり? フラガ「新タイヤが調子良い……いけるんじゃないかと願っています」|スーパーGT第7戦予選



【HRC渡辺康治社長独占インタビュー】厳しい戦い続くアストンマーティン・ホンダ、一体何が起きているのか? 

F1

F1

シンガポールGP

21 時間前

【HRC渡辺康治社長独占インタビュー】厳しい戦い続くアストンマーティン・ホンダ、一体何が起きているのか? 

More from

ルイス ハミルトン



ピアストリ「タイヤのパンクが、結果的に助けになった」シンガポールはハミルトン抜き5位

F1

F1

シンガポールGP

3 日前

ピアストリ「タイヤのパンクが、結果的に助けになった」シンガポールはハミルトン抜き5位



F1分析|フェルスタッペン、VSC中にピットストップしたかった? ”壊れかけのラジオ”越しの訴え。フェラーリは戦略失敗

F1

F1

シンガポールGP

5 日前

F1分析|フェルスタッペン、VSC中にピットストップしたかった? ”壊れかけのラジオ”越しの訴え。フェラーリは戦略失敗



全部自分のせいだ……ルイス・ハミルトン、戦略ミスの責任を認める「チームに貢献したかった。次、必ず挽回する」

F1

F1

シンガポールGP

6 日前

全部自分のせいだ……ルイス・ハミルトン、戦略ミスの責任を認める「チームに貢献したかった。次、必ず挽回する」

More from

フェラーリ



連勝レッドブルは最強チームじゃない? フェラーリ代表語る「スタート直後の1コーナーをうまくやれていれば、我々が勝ったかもしれない」

F1

F1

シンガポールGP

3 日前

連勝レッドブルは最強チームじゃない? フェラーリ代表語る「スタート直後の1コーナーをうまくやれていれば、我々が勝ったかもしれない」



ルクレール、スタート直後の攻防でリスク冒さず「そうしなかったら壁に突っ込んでいただろう」

F1

F1

シンガポールGP

5 日前

ルクレール、スタート直後の攻防でリスク冒さず「そうしなかったら壁に突っ込んでいただろう」



もっとポテンシャルあったのに……ハミルトン、不安定になったマシンを悔やむ「決勝は2対1でプレッシャーをかけたい」

F1

F1

シンガポールGP

6 日前

もっとポテンシャルあったのに……ハミルトン、不安定になったマシンを悔やむ「決勝は2対1でプレッシャーをかけたい」

最新ニュース



ホッケンハイムリンクの改修完成予想図にF1マシンの姿。2020年が最後となっているドイツでのF1復活はあるのか?

F1

F1 F1 1 時間前

ホッケンハイムリンクの改修完成予想図にF1マシンの姿。2020年が最後となっているドイツでのF1復活はあるのか?



SCがなければ勝てた……前戦健闘のWedsSportはオートポリスでも3番手スタート。勝負の鍵は「やはりウォームアップ」と国本

スーパーGT

SGT スーパーGT

第7戦:オートポリス

11 時間前

SCがなければ勝てた……前戦健闘のWedsSportはオートポリスでも3番手スタート。勝負の鍵は「やはりウォームアップ」と国本



HRCプレリュードが4戦連続でポールポジション獲得。逆転王者に向け重要なオートポリス決勝は「もてぎ2連戦に繋げるレースにしたい」と往西LPL

スーパーGT

SGT スーパーGT

第7戦:オートポリス

12 時間前

HRCプレリュードが4戦連続でポールポジション獲得。逆転王者に向け重要なオートポリス決勝は「もてぎ2連戦に繋げるレースにしたい」と往西LPL



“ホピ子”が過去最高の予選4番手獲得! チームの存続を懸けて戦う土屋武士監督「火が消える前に、悔いが残らないように」

スーパーGT

SGT スーパーGT

第7戦:オートポリス

12 時間前

“ホピ子”が過去最高の予選4番手獲得! チームの存続を懸けて戦う土屋武士監督「火が消える前に、悔いが残らないように」

Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.

フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。

次の 2 つのオプションがあります。

購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします

広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード

お知らせの管理

登録