大混乱にも動じず、アントネッリが5連勝でモナコ最年少優勝。ハミルトン2戦連続2位。アロンソはペレスにペナルティで10位入賞|F1モナコGP決勝
アンドレア・キミ・アントネッリがF1モナコGPで優勝。数えきれないほどのペナルティ、セーフティカーと赤旗中断、そして路面が剥がれるというトラブルにも全く動じず、中国GPからの連勝を5に伸ばした。
Andrea Kimi Antonelli, Mercedes
写真:: Alastair Staley / LAT Images via Getty Images
F1モナコGPの決勝レースが行なわれ、メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリが優勝した。これで5連勝。ペナルティの連続、セーフティカー、赤旗中断、そして路面が剥がれるという数々の混乱が生じたレースであったが、これを危なげなく乗り切っての勝利だった。
2026年のモナコGPは、週末3日間を通じて好天に恵まれた。青い空と海に囲まれたモンテカルロ市街地コース。気温は23度、路面温度は46度というコンディションで決勝レースのスタート時刻を迎えた。
なおアウディのガブリエル・ボルトレトは、マシントラブルでレコノサンスラップに出ていくことができず、ピットレーンからのスタートとなった。
スタート時のタイヤは、ほとんどがミディアム。キャデラックの2台、ピットスタートのボルトレトがソフトタイヤを選んだ。
スタートでいきなり波乱! 2番グリッドのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が動き出せず、各車はこれを避けて1コーナーに殺到していった。フェルスタッペンは他車に追突されなかったのが不幸中の幸いであるが、最後尾まで下がってしまった。
1周目にバルテリ・ボッタス(キャデラック)、ボルトレト、オリバー・ベアマン(ハース)がピットイン。タイヤを交換しコースに復帰した。これでタイヤ交換の義務を消化し、最後まで走り切ろうという算段だろう。なおボッタスはミディアム、ボルトレトとベアマンはハードに履き替えた。
またスタートに失敗したフェルスタッペンは、1周を走り切ってガレージへ。早々にリタイアとなった。
アストンマーティンの2台、キャデラックのセルジオ・ペレスも、レース序盤にピットインを済ませた。ただアストンマーティン勢はミディアムからソフトタイヤに履き替えており、さすがにこのまま最後まで走り切るのは難しそうな状況であった。
ポールポジションからスタートしたアントネッリは、ハイペースで飛ばして2番手ルイス・ハミルトン(フェラーリ)以下を突き放していく。
アントネッリはハミルトンとの差を4秒前後にキープ。ハミルトンがペースを上げて近づくと、アントネッリが呼応するようにペースを上げ、近付くことを許さない。そんな中ハミルトンは、15周目頃に「タイヤのデグラデーション(性能劣化)が予想より大きいね」と無線で報告。他のドライバーたちも同様にタイヤに苦しみ始めているようだった。
4番手を走っていたアイザック・ハジャー(レッドブル)は、20周目に到達しようというところでパワーユニットの不具合を訴え始める。「エンジンブレーキがおかしいよ!」と。その後ろからは「クリーンエアなら1秒速く走れる」と無線で話すメルセデスのジョージ・ラッセルがプレッシャーをかけるが、抜けない。ここはモナコ・モンテカルロなのである。
■ピットストップで速度違反多数
Mercedes pitstop practice
写真: Erik Junius
首位を行くアントネッリは順調そのもの。ハミルトンは次第についていけなくなり、26周目には10秒以上の遅れとなった。その4秒後方にはシャルル・ルクレール(フェラーリ)、ハジャーとラッセルはそこからさらに26秒も後方であった。
そのハミルトンのタイヤは限界。28周を走り切ったところでピットインし、ハードタイヤに履き替えた。ただ後方とは大きな差が開いていたため、ルクレールに先行されるだけで済んだ。ただこの時ピットレーンでの速度違反があったようで、5秒のタイム加算ペナルティが科された。
ハジャーに抑え続けられていたラッセルは、31周を走り切ったところでピットイン。ハードタイヤを履いた。ハジャーはこのラッセルの動きに反応して翌周ピットイン。ただハジャーがピットアウトした時にはラッセルの方が前。ラッセルがアンダーカットを成功させた格好だ。ただラッセルにもピットレーンのスピード違反で5秒のタイム加算ペナルティが科された。
ルクレールは35周目を終えたところでピットインし、やはりハードタイヤに交換。ただハミルトンからは12秒も遅れる形となった。
アントネッリは37周を走ったところでピットイン。後ろのハミルトンとは大きな差があったため、悠々と首位のままコースに戻った。まさに盤石の状況であった。
ラッセルは受難続き。まだタイヤ交換を済ませていないランド・ノリス(マクラーレン)に追いついてしまう。ノリスはトラブルを抱えてペースが上がらない状況であったが、ラッセルを抑え込むことができれば、チームメイトのオスカー・ピアストリがピットインしても、ラッセルの前で戻すことができるかもしれない。
しかし44周目のトンネル内で、ノリスが突如スローダウン。トラブルが悪化してしまったようで、そのままピットに戻りリタイアすることを強いられた。
ウイリアムズ勢は、アレクサンダー・アルボンをピットインさせた後、まだタイヤを交換していないカルロス・サインツJr.を先行させることを決断。後続を抑えて、サインツJr.にポジションを落とさせずピットインさせようという戦略だ。これは昨年もウイリアムズが採り、成功させた戦略である。
アルボンはヌーベルシケインを直進してしまったことで、アービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ)に先行されることになった。ただリンドブラッドはまだタイヤを交換していないドライバーであり、ウイリアムズにとっては特に気にする必要がない相手である。
結局サインツJr.は54周を走り切ったところでピットインし、アルボンの前でコースに復帰。57周目にアルボンを先行させ、無事に作戦成功となった。
ラッセルにとっては屈辱。なんとアントネッリに周回遅れにされてしまったのだ。他車に抑え込まれたシーンが多かったからとはいえ、あまりにも厳しい現実を突きつけられた。
■路面が剥がれる珍事でクラッシュ相次ぐ
Track damage that caused a red flag delay.
写真: Alex Bierens de Haan / LAT Images via Getty Images
60周目、ストロールが最終コーナー”アントニー・ノゲス”でクラッシュ。セーフティカー出動となった。ここで多くのマシンがピットイン。アントネッリはタイミングが悪く、ピットインできなかった。一方でフェラーリ勢はピットインし、ソフトタイヤに履き替えた。ハミルトンはこの間に5秒のタイム加算ペナルティを消化した。
ただ最終コーナーで停まったマシンを回収するため、セーフティカーをはじめ各車がピットレーンを通過。この時アントネッリなどもタイヤを済ませることができた。ラッセルもアントネッリの真後ろでピットストップをしたが、ペナルティ消化前に作業を始めてしまう失態を犯した。
この時点で4番手ハジャー以下は周回遅れだったが、レース再開を前に同一周回に戻るように指示が飛んだ。
66周目からレース再開……と思われたところで、ルクレールが最終コーナーでストロールと同じようにバリヤに突っ込んでしまう。再びSCが出動することになった。
ただSCから赤旗中断に。クラッシュが相次いだ最終コーナーの路面の舗装が剥がれてきてしまったことが原因のようだ。
なおラッセルはペナルティを消化しなかったことで、改めてドライブスルーペナルティが科されることになった。またハミルトンとハジャーに関しては、セーフティカー中に前のマシンと10車身以上離れてしまったとして、審議対象となった。
ハミルトンに関してはお咎めなし。ハジャーに関しては、セーフティカー中の違反に関しては問題なしとされたが、赤旗中に違反があったとしてレース後の審議対象となった。
■超スプリント決着もアントネッリに隙なし
71周目からスタンディングスタートでレース再開。ハジャーはペースが上がらずに大きくポジションを落とした。
3番手ラッセルはドライブスルーペナルティを消化するための隙間を自ら作るため、大いにペースを落として走行。これで後方には混乱が生じ、ウイリアムズのサインツJr.はヘアピンの立ち上がりでニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)と接触し、アウト側のガードレールに弾き飛ばされてしまう。その後サインツJr.はフランコ・コラピント(アルピーヌ)に追突されてポルティエでスピンし、リタイアとなった。ただうまく退避路に逃げたため、セーフティカーなどは出ずにレース続行となった。
ラッセルは72周目を走り切ったところでピットインし、ドライブスルーペナルティを消化。14番手に後退した。
先頭のアントネッリは快調に走行し、2番手ハミルトンとの差をみるみるうちに開いていく。3番手にはアルピーヌのピエール・ガスリーが続いていたが、10秒加算のペナルティを抱えている身。ハジャーも前述の通り、レース後に審議される身である。しかもハジャーは、パワーが上がらない問題に悩まされていた。
結局アントネッリがトップチェッカー。これで中国GPからの連勝を5に伸ばした。2位にはハミルトンが入ったが、結局6.2秒もアントネッリに引き離された。
3位にはハジャーが入ったが、レース後の審議対象。ピアストリが4位。リアム・ローソン、アービッド・リンドブラッドのレーシングブルズの2台が5位&6位に入った。ガスリーは3番手でフィニッシュしたものの、10秒のタイム加算ペナルティを受けて結局7位。8位アルボン、9位エステバン・オコン(ハース)という順位だった。
10位はキャデラックのセルジオ・ペレス。キャデラックとしては嬉しいF1初ポイントとなった。ただペレスに関しては、リスタート時のスタートポジション違反の疑いでレース後の審議対象となっている。
アストンマーティン・ホンダのフェルナンド・アロンソは、最後ボルトレトとラッセルの猛追を凌ぎ切って11位。あとは前でフィニッシュしたマシンの審議結果待ちである。
ラッセルは結局13位でのフィニッシュとなり、まさかのノーポイント。アントネッリとのポイント差が68ポイントに広がっただけでなく、ハミルトンに抜かれてランキング3番手に後退してしまった。
【追記】レース後に審議が行なわれた結果、10番手でフィニッシュしたペレスには10秒のタイム加算ペナルティが科された。これによりアロンソが10位に繰り上がり、1ポイントを手にした。
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