ルクレールが2年ぶり優勝。最後なぜかセーフティカー解除されず、ラッセルが幸運な2位確保……アントネッリ不運無得点|F1イギリスGP決勝
大波乱となった今年のF1イギリスGP。勝ったのはシャルル・ルクレールだった。アントネッリが無得点に終わったことで、ラッセルとのポイント差は25ポイントに縮まった。
Charles Leclerc, Ferrari
写真:: Clive Rose / Formula 1 via Getty Images
F1イギリスGPの決勝レースが行なわれ、フェラーリのシャルル・ルクレールが優勝した。2位にはジョージ・ラッセル(メルセデス)、3位ルイス・ハミルトン(フェラーリ)というトップ3となった。
伝統のイギリスGPが今年も開催、舞台はF1発祥の地、シルバーストン・サーキットである。イギリスとしては珍しく、グランプリの週末3日間は連日晴れ。決勝レースも上空に青空が広がる中、気温24度、路面温度39度というコンディションでスタート時刻を迎えた。
予選でポールポジションを獲得したのはランキング首位のアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)。今季5度目のポールポジションである。その後方にはフェラーリの2台が並び、そしてアントネッリのチームメイトであるジョージ・ラッセルが4番グリッドから逆転を狙った。
スタートタイヤは全車がミディアムタイヤを選択。今回のイギリスGPはタイヤのデグラデーション(性能劣化)が予想よりも低く、1ストップが主流になると予想されていた。
フォーメーションラップでは、アストンマーティン・ホンダのフェルナンド・アロンソがマゴッツ〜ベケッツ〜チャペルの高速区間でストップ。そのままピットに入ってしまった。
スタートではフェラーリの2台がロケットのような加速を見せてアントネッリを攻略。1-2体制を築いた。3番手アントネッリ、4番手ラッセルという順になった。アロンソはピットレーンからスタートできた。
後方ではアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)とオリバー・ベアマン(ハース)が絡む接触が発生。いずれもコースに復帰できたが、アルボンはすぐにピットに入った。なおアルボンは接触の責任を問われて10秒のタイム加算ペナルティが科された。
マクラーレンのオスカー・ピアストリも接触があったようで、フロントウイングを壊してズルズルと後退。2周目を走り切ったところでピットインし、ノーズを交換した。
先頭ルクレールが快調に飛ばし、ハミルトン、アントネッリが等間隔で続くトップ3。ラッセルはこの3台にはついていけず、徐々に差が広がっていった。なおハミルトンには、シグナルが消える前に動いたとして、5秒のタイム加算ペナルティが科された。この頃からハミルトンのペースが落ち始め、ルクレールから遅れ、アントネッリに接近を許した。
11周目、アントネッリはハミルトンに一気に接近し、スバリとオーバーテイク。これで2番手に上がった。ただルクレールは4秒ほど前に逃げていた。
4番手ラッセルの真後ろには、チームメイトのアイザック・ハジャーを攻略したマックス・フェルスタッペンが接近し、プレッシャーをかけた。ラッセルとフェルスタッペンは共にギヤボックスの挙動に不満を訴えたが、フェルスタッペンの方がペースが優れているようだった。
そして17周目、フェルスタッペンがラッセルをオーバーテイク。するとその直後、フェルスタッペンはそのままピットイン。ミディアムタイヤからハードタイヤへと交換し、7番手でコースに復帰した。その後を追うように、チームメイトのハジャーもピットに入った。
22周目、バーチャル・セーフティカー(VSC)が宣言。観客の傘が風に飛んでしまい、コース脇に入ってしまったのだった。ここでエステバン・オコン(ハース)とセルジオ・ペレス(キャデラック)がピットインしたが、すぐにVSCは終了したため、恩恵を受けることができるドライバーは少なかった。
23周目終了時点でハミルトンとラッセルが同時にピットイン。ハミルトンは「まだタイヤは大丈夫なんだけど」と言いながら、ピットに入った。ここでハミルトンは5秒のタイムペナルティを消化したことで、ラッセルに先行を許した。そしてコースに復帰した時には、先にピットインしたフェルスタッペンも先行していた。
先頭ルクレールは25周を走り切ったところでピットインし、ハードタイヤに履き替えた。2番手アントネッリはこれに合わせず、走行を継続。3番手を走っていたランド・ノリス(マクラーレン)は、28周終了時点でピットインした。
29周目、ハミルトンがラッセルをオーバーテイク。しかしラッセルも諦めず、マゴッツ〜ベケッツ〜チャペルに2台横並びで入っていった。そしてラッセルはポジションを奪い返すことに成功。エネルギーマネジメントの差で生まれた攻防シーンだったと言えよう。
その後もハミルトンは複数回ラッセルをオーバーテイクするも、その度にラッセルが抜き返す……そんなシーンが展開された。
ハミルトンは一旦ラッセルへの攻撃を自重。するとラッセルはフェルスタッペンに迫り、オーバーテイクを仕掛ける。ただラッセルには「スローパンクチャーの傾向がある」という不穏な無線が飛んだ。
そのパンクチャーを事実のようで、34周を走り切ったところでラッセルが緊急ピットイン。大きくポジションを落とした。
ラッセルに代わってフェルスタッペンを攻め立てたのはハミルトン。しかしフェルスタッペンもそう簡単には譲らない。
そんな中35周目を走り切ったところでアントネッリがピットイン。残り周回数を考えれば、ソフトタイヤでも走りきれそうなモノだが、チームは安全策を取り、アントネッリに新品のハードタイヤを履かせた。そしてアントネッリは、首位ルクレールの7秒後方でコースに復帰した。
38周目、ハミルトンがフェルスタッペンをオーバーテイク。その直後、アウディのニコ・ヒュルケンベルグがマシントラブルでコース脇にマシンを止めたことで、VSCが宣言される。この間にフェルスタッペンが2度目のピットストップを行ない、ミディアムタイヤを装着した。
首位を行くルクレールは、好調なペースで周回を重ねた。しかしそれよりも10周ほどタイヤが若いアントネッリが、猛烈な勢いでルクレールに接近。トップ交代は時間の問題かと思われた。
しかし41周目、アントネッリは「何か壊れた!」と無線で報告。スローダウンして緊急ピットインする。ノーズを変えてコースに復帰するも問題は解消されていないようで、ペースが上がらない。チームは再びのピットインを指示するも、「いや、続けさせてくれ!」と懇願する。
チームの調査の結果、左フロントのホイール内側にあるパーツが問題となっているようだと分かり、再びのピットイン。パーツを外してコースに復帰するも、やはりペースは上がらなかった。
その直後の48周目だった。フェルスタッペンがストウコーナーでコースオフ。グラベルにハマって動けなくなってしまった。リタイアだ。これでセーフティカー出動となり、各車が続々とピットインした。
ルクレールは先頭をキープしたが、ラッセルはステイアウトしたため2番手。ハミルトンはソフトタイヤに履き替えて3番手となった。その他のマシンも、ほとんどがピットインし、ソフトタイヤに履き替えた。
そして残り1周でレース再開と宣言された。激戦の予感が漂った。
しかしセーフティカーはピットに戻らず、隊列を先導したまま最終ラップに入ってしまう。つまりそのままの順位でフィニッシュを迎えるということだ。
結局ルクレールが勝利。2024年のアメリカGP以来の優勝ということになった。2位はラッセル。SC中にピットストップしなかったことが功を奏した格好だが、当初の発表の通りにSCが解除となっていれば大きく順位を下げるのは必至だっただけに、幸運だったといえよう。
3位はハミルトン。ハミルトンは逆に、最後ピットストップしたことで2位を失なうことになった。しかもハミルトンは、黄旗違反を犯した疑いがあるとして、レース後に審議が行なわれることになっている。
4位ノリス、5位ハジャー、6位と7位にはレーシングブルズの2台(リアム・ローソン、アービッド・リンドブラッド)が入り、大量得点を獲得した。
8位はアウディのガブリエル・ボルトレトで、アウディとしても実に開幕戦以来という入賞だ。アルピーヌも9位フランコ・コラピント、10位ピエール・ガスリーと、ダブル入賞と達成した。
アントネッリは結局9番手でフィニッシュラインを通過したものの、5秒のタイム加算ペナルティを科されたことで16位に後退。無得点となった。
このレースの結果、アントネッリはランキング首位のままながら、2番手ラッセルが25ポイント差まで急接近。3番手ハミルトンはラッセルから7ポイント差である。チャンピオン争いの行方はまだまだ分からない……そんな状況になってきた。
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