F1
F1、持続可能燃料の”開発競争”はコントロールできると自信。”走る実験室”に戻るための規則づくりに腐心
F1は、持続可能な燃料にスイッチする際、燃料サプライヤー間で高価な開発競争が勃発する危険性を認識しながらも、コントロールは可能だと考えている。

Jonathan Noble
公開日時: 2023/03/15 22:06
Copy link
Viberでシェア
Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

F1は2026年から化石燃料を使用しない、100%持続可能な燃料を導入する予定となっているF1。そのチーフテクニカルオフィサーであるパット・シモンズは、燃料の開発が激化するリスクを認めたが、慎重に策定されたレギュレーションでそれをコントロールできると語った。
この動きは、2030年までにネットゼロ化を目指すF1の取り組みの一環であり、F1という厳しい環境の中で開発した燃料を一般化することで、より広い世界の汚染低減に貢献することを目指したものだ。
F1が「走る実験室」として技術の限界に挑戦し、最高の解決策を見出そうとする中で持続可能燃料の開発が進むのは間違いないだろう。しかしチームが成功を求めて、開発コストが高騰し、より特異な解決策にたどり着くという危険性もある。
シモンズも、開発競争の結果として一般消費者が利用できるような燃料が生まれる可能性を潰してしまう危険性があることを認識している。
しかし、F1が新しいレギュレーションを導入する際にとったアプローチは、燃料サプライヤーが突飛なことをしようとするのを阻止する上で十分なモノだったと彼は考えている。
特に燃料流量の規制について、現在の質量を基準にする(100kg/h)ではなく、エネルギー量を基準(300MJ/h)にしたことは、事態を抑制する上で重要だとシモンズは考えている。
燃料開発における”軍拡競争”の危険性について「実際、我々はそれについてかなり考えた」と彼は答えた。
「当初から、アラムコはこうした燃料をどのように配合するかについて、我々にアドバイスしてくれている。そして実際に多くの燃料サンプルを作ってくれた。我々はそれをテストし、様々なことについての感度を理解することができるようになった」
「それに対する根本的な答えは、マスフロー(重量基準の流量管理)からエネルギーフロー(エネルギー基準の流量管理)に移行するという事実にあると思う。もしマスフローにとどまっていたら、非常に慎重に策定されたレギュレーションの中でも、誰かがそれをやることができたかもしれない」
「エネルギーにリミットがあるのなら、シンプルに考えてそれをパワーに変えることが重要になる。そこから逸脱することはないだろう」
F1 Fuel for the weekend
Photo by: Erik Junius
しかしトールマンやベネトン、ルノーで活躍したシモンズも、F1ではチームがパフォーマンスを求めてどれだけアグレッシブになれるかをよく知っており、一部のチームがさらなる優位性を求めて激しく開発をプッシュする可能性を否定していない。
「それに関しては”ニュアンス”があるんだ。良い燃料というのは、単にエネルギー含有量だけでは決まらない。揮発性や燃焼の速さなど、良い燃料を定義するモノは色々とある」
「どちらかと言えば、我々が集中して取り組んできたことは、プロセスを開放し最終的な内容物を決めることだ」
「もし政治家が、世界の脱炭素化について話すときに、プロセスのあり方を決めるのではなく、エンジニアにプロセスを定義させるという方法を採っていたら、我々は今より良い場所にいたかもしれないね」
シモンズは、イノベーションが起きないほどレギュレーションが厳しくならないように、多くの努力を払ったと語った。
「レギュレーションは、燃料を生産する様々な手法を促進できるように非常に慎重に設計されている」
「これはとても新しい技術なんだ。製造方法にも様々なものがあり、どれが最良の方法なのか、まだ誰も正確にはわかっていない。だから我々は、様々な方法で燃料を製造する競争を促進するために、非常に注意深くレギュレーションを作った。しかし同時に、最もうまくいく人が暴走しないようにする必要がある」
「燃料の製造における自由競争は、2020年代半ば以降に一般の人々が使用できるようになる可能性のある最高の製品につながると信じている。そして、大気を破壊しない燃料で14億台の車が走っていることを想像してみてほしい」
「希少な鉱物に頼らず、一部の電池に必要な鉱物を掘り出すために子どもたちを危険な環境で、僅かな賃金で働かせることもない。電化と並行して実行可能な道筋を提供する燃料だ」
「これが唯一の解決策ではないかもしれないし、すべてのケースにおける最良の解決策とは言えないかもしれない。しかしEUが認めた解決策であり、F1が再び社会に貢献することを意味する解決策であり、検討する価値のある解決策であることは間違いない」
関連ニュース:
- FIA F2とFIA F3、今季から55%持続可能燃料を投入。FIA会長「モータースポーツは、自動車産業の未来に向けた解決策を提供する道をリードしている」
- 空気と水さえあれば、ガソリンと同じような燃料が作れる……ホンダF1で加速する、未来への技術”カーボンニュートラル燃料”の開発
- スーパーGT公式テスト岡山で改めて痛感した「速いクルマは美しい」。カーボンニュートラル燃料導入で排気管に着目
- 「クルマ好きだからこそできるカーボンニュートラルの道がある」トヨタが名車『AE86』を水素エンジン車、EV車に改造
- トヨタの水素エンジンカローラ、スーパー耐久開幕戦を欠場。テスト中の水素漏れ火災で復旧間に合わず
あなたの意見が聞きたい!
Motorsport.comで何を見たいですか?
5分間のアンケートにご協力ください。
- Motorsport.comチーム
関連ニュース :
記事をシェアもしくは保存
Copy link
Viberでシェア
前の記事 アストンマーチンは、開幕戦のパフォーマンスを他のGPでも発揮できるのか? アロンソ「基本が良いマシンだから楽観視しているよ」
次の記事 開幕2戦目にしてPU基数超過……! フェラーリのルクレール、F1サウジアラビアGPで10グリッド降格ペナルティ決定

More from
Jonathan Noble

大きく前進を果たせなければ、F1タイトル5連覇は目指せない……フェルスタッペン、レッドブルに警鐘鳴らす
F1
F1 2024/12/29
大きく前進を果たせなければ、F1タイトル5連覇は目指せない……フェルスタッペン、レッドブルに警鐘鳴らす

ハミルトンのメルセデスF1最終年度での苦戦、その原因は? エンジニアリング統括が明かす
F1
F1 2024/12/27
ハミルトンのメルセデスF1最終年度での苦戦、その原因は? エンジニアリング統括が明かす

僕にできることはある……ボッタス、“最悪のシナリオ”でF1シート喪失も闘志は消えず。酒の勢いで始めたおバカ挑戦で再認識
F1
F1 2024/12/25
僕にできることはある……ボッタス、“最悪のシナリオ”でF1シート喪失も闘志は消えず。酒の勢いで始めたおバカ挑戦で再認識
最新ニュース

イタリアGPでのバトルでピリつくフェラーリ内……ルクレールの元同僚サインツJr.「僕たちの時はいつもふたりの間で解決していた」
F1
F1 F1
スペインGP
19 分前
イタリアGPでのバトルでピリつくフェラーリ内……ルクレールの元同僚サインツJr.「僕たちの時はいつもふたりの間で解決していた」

アレックス・リンス、2026年限りでバイクレースから引退。MotoGPクラスでは通算6勝…今後は別プロジェクトへ
MotoGP
MGP MotoGP
サンマリノGP
1 時間前
アレックス・リンス、2026年限りでバイクレースから引退。MotoGPクラスでは通算6勝…今後は別プロジェクトへ

躍進止まらぬアントネッリは『常に進化し続けるAIみたい!』メルセデス代表称賛
F1
F1 F1
イタリアGP
3 時間前
躍進止まらぬアントネッリは『常に進化し続けるAIみたい!』メルセデス代表称賛

F1初開催マドリンクを”タイヤの視点”から見る! FP1は非常に重要なッセッションになる?
F1
F1 F1
スペインGP
3 時間前
F1初開催マドリンクを”タイヤの視点”から見る! FP1は非常に重要なッセッションになる?
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。
次の 2 つのオプションがあります。
- サブスクライバーになります。
- 広告ブロッカーを無効にします。
購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします
広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード
お知らせの管理
登録