分析
F1 オーストラリアGP
スタート前にバッテリー切れ続出! 新時代F1のフォーメーションラップはやること山積み?
F1オーストラリアGPでは、多くのドライバーがフォーメーションラップのマネジメントに苦戦し、バッテリーが切れた状態でグリッドについた。

Gianluca D'Alessandro
公開日時: 2026/03/11 2:59
Copy link
Viberでシェア
Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

今シーズンのF1開幕戦のスタートには、各チームの真の勢力図を把握するためだけでなく、2026年のマシンがどのように動作するかを観察するためにも、大きな注目が寄せられていた。
実際、スタートについてはプレシーズンテストで最も議論された話題のひとつであり、各車の特性に応じてメーカー間で様々な意見が飛び交っていた。
確かなのは、フェラーリがまさに予想通りのスタートを切ったことだ。シャルル・ルクレールは、まるでスラロームのように巧みにライバルたちをすり抜けてターン1へと向かい、首位に浮上した。
フェラーリが持つアドバンテージは既にテスト走行でも確認されていたが、今回は別の要因によってさらに増幅された。多くのドライバーがバッテリー切れに苦しみながらグリッドに着いたのだ。
不思議なことに、ルクレール自身もバッテリー残量がかなり低かったものの、完全に使い果たされていたわけではなかった。だがフェラーリの場合、その影響は相対的に大きくなかった。フェラーリは以前から、新世代マシンはスタートが難しくなると予想。ターボを小型化し、低速ギヤをショートにしたことにより、MGU-Kから供給されるパワーが不足した影響が軽減されたのだ。
規則では、マシンがグリッド上で停止している間は電気エネルギーの使用が禁止されており、スタート後マシンが時速50kmに達するまでバッテリーからエネルギーを使うこともできない。この制限は、大きめのターボを使用しているドライバーにとっては決して軽視できるものではない。ターボが理想的な回転速度に達し、過給圧を引き上げて効果的な加速を実現するまでに時間がかかるためだ。
Starting Grid
写真: Simon Galloway / LAT Images via Getty Images
エネルギー不足は、もう一つの驚くべき問題を引き起こした。メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリをはじめとする一部のドライバーは電気ブーストがないため、リヤタイヤを温めるためのバーンアウト・シーケンスを完了できなかった。これにより、スタート時にホイールスピンを起こし、加速が鈍ってしまった。
「スタートは難しかった」とメルセデスのトラックサイドエンジニアリングディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは説明した。
「フォーメーションラップ中に限られたエネルギーをうまく管理できず、両ドライバーともゴールラインでバッテリー残量が少なくなってしまった」
「ドライバーたちはトラブルを避けるために素晴らしい仕事をしたが、順位を大きく落としてしまい、リカバリーモードに入らなければならなかった」
1周目にポジションチェンジが頻繁に見られたのも当然と言えるだろう。一部のドライバーは、例えばリフト&コーストをより積極的に用いるなど、オープニングラップをアタックよりもバッテリーの充電に充てざるを得なかった。これにより、ラップを通してパワーとスピードに差が生じ、順位の変動がさらに激しくなった。
Andrea Kimi Antonelli, Mercedes
Foto di: Alastair Staley / LAT Images via Getty Images
しかし、なぜこれほど多くの車がエネルギーを蓄えられずにグリッドに並んだのだろうか? それは、フォーメーションラップにおけるエネルギー回生量の限界と、ドライバーがタイヤとブレーキを温める方法の両方に関係している。
事前にタイヤをウォーマーで温められ、十分にバッテリーが充電された状態でピットを離れ、アウトラップでレース中よりも多くのエネルギーを回生できる予選と比較すると、フォーメーションラップは事情が異なる。
「フォーメーションラップでは、ドライバーが加速、ブレーキ、加速、ブレーキをかけてブレーキやタイヤを温めるという通常とは異なる動作を繰り返すため、レーススタートまでに適切な充電状態に到達できなくなってしまった。最初のラップでバッテリーレベルを回復させなければならず、それは当然ながら楽なものではない」とレッドブルのチーム代表であるローレン・メキーズは語った。
ドライバーは通常、フォーメーションラップ中にかなりアグレッシブな運転スタイルを採用し、加速と制動を絶え間なく繰り返す。そのためバッテリーには大きな負荷がかかる。マシンが低速から高速へ繰り返し移行し、加速フェーズではエネルギー消費が大幅に増加するためだ。
アルバートパークのように回生の機会が限られたサーキットでは、この連続サイクルは好ましくない。特に、2つの長いストレートに続くターン11のブレーキングゾーンが最後のエネルギー回生チャンスとなるためだ。最終セクターで速度を落とすと、エネルギー回生は著しく困難になる。
またタイヤとブレーキを温めるため、ブレーキバランスはフロント側にシフトされることが多い。温めづらいフロントタイヤやブレーキに負荷を加えるためだ。メルセデスはそのために”ブレーキマジック”と呼ばれるスイッチをステアリングに用意していた。
しかし、ブレーキバランスをフロントに寄せると、MGU-Kによるエネルギー回生量が減ってしまう。リヤのブレーキシステムはMGU-Kが減速の大部分を担って(つまり回生ブレーキを使っている)いるからだ。
Max Verstappen, Red Bull Racing
Foto di: Paul Crock / AFP via Getty Images
従来通りブレーキやタイヤを暖めるのに加え、エネルギーを細かく管理し、グリッドで過給圧を適切に引き上げる……フォーメーションラップの理想的な手順を見出すのは容易ではなく、複数のチームが予期せずグリッドに、バッテリーが空になった状態で到着する事態となった。
次戦中国GPはスプリント開催。各チームはたった60分のフリー走行で通常のセットアップ作業に加え、予選アタックやレースラップでのエネルギーの使い方を確認しなければならない。それに加えてオーストラリアGPを踏まえ、スプリントレースと決勝、2度のスタートに向けてバッテリーの管理方法を詰めなくてはならないだろう。
関連ニュース:
F1メルセデス、スタート前に計算違い? ラッセル「スタートの時に全然バッテリーが残ってなかった」
F1「スタート時のバッテリー不足がなければトップも狙えた」ハジャー、マシントラブルリタイアも実力を確信
F1まさに間一髪! コラピントがスタート失速のローソンをミラクル回避「大事故になりかけた。本当に運が良かった」
あなたの意見が聞きたい!
Motorsport.comで何を見たいですか?
5分間のアンケートにご協力ください。
- Motorsport.comチーム
コメントを読んで投稿する
関連ニュース :
記事をシェアもしくは保存
Copy link
Viberでシェア
前の記事 最強はメルセデスじゃなくてフェラーリ? ノリス「彼らのコーナリングスピードは信じられない」
次の記事 2026年のF1規則に早くも調整が入るのか? 中国GP後にFIAとF1チームが会議を実施へ
Top Comments
コメントはまだありません。 最初のコメントを投稿しませんか?
View More & Comment

More from
Gianluca D'Alessandro

フェラーリが最速のシャシーだったのは過去の話? ハミルトン「僕たちが2番手ではないのは間違いない」
F1
F1
アゼルバイジャンGP
15 時間前
フェラーリが最速のシャシーだったのは過去の話? ハミルトン「僕たちが2番手ではないのは間違いない」

フェルスタッペン、レッドブルの大型アップデートに好感触「かなりポジティブな1日。期待通り機能している」
F1
F1
アゼルバイジャンGP
3 日前
フェルスタッペン、レッドブルの大型アップデートに好感触「かなりポジティブな1日。期待通り機能している」

マクラーレン、アゼルバイジャンGPは重要な試金石に? 得意じゃないハズのコースでの実力は
F1
F1
アゼルバイジャンGP
4 日前
マクラーレン、アゼルバイジャンGPは重要な試金石に? 得意じゃないハズのコースでの実力は
最新ニュース

復帰戦でいきなり3位のハジャーを、レッドブルも称賛。“激情型”から卒業して精神的にも成熟?「さまざまな面で成長している」
F1
F1 F1
アゼルバイジャンGP
7 時間前
復帰戦でいきなり3位のハジャーを、レッドブルも称賛。“激情型”から卒業して精神的にも成熟?「さまざまな面で成長している」

WECフェラーリ、富士6時間は今季最悪のレースに「あらゆることがうまくいかなかった」残り2戦で逆襲目指す
WEC
WEC WEC
Fuji
7 時間前
WECフェラーリ、富士6時間は今季最悪のレースに「あらゆることがうまくいかなかった」残り2戦で逆襲目指す

なぜMissionH24は燃料電池を止め、水素V6を選んだのか。 トヨタと描き直すル・マンへの道
WEC
WEC WEC
Fuji
8 時間前
なぜMissionH24は燃料電池を止め、水素V6を選んだのか。 トヨタと描き直すル・マンへの道

ピアストリ、表彰台逃した痛恨のミスに違和感?「一瞬でフロントタイヤが両方ロックするなんて……」
F1
F1 F1
アゼルバイジャンGP
9 時間前
ピアストリ、表彰台逃した痛恨のミスに違和感?「一瞬でフロントタイヤが両方ロックするなんて……」
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。
次の 2 つのオプションがあります。
- サブスクライバーになります。
- 広告ブロッカーを無効にします。
購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします
広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード
お知らせの管理
登録