ハミルトン、F1イタリアGP痛恨ペナルティの裏側。担当スチュワード「説明すれば分かってくれる」

F1スチュワードのギャリー・コネリーは、昨年のイタリアGPでペナルティを受けたルイス・ハミルトンとFIAの間で交わされたやり取りの詳細を明らかにした。

ハミルトン、F1イタリアGP痛恨ペナルティの裏側。担当スチュワード「説明すれば分かってくれる」

 メルセデスとの契約延長がようやく発表されたルイス・ハミルトン。彼にとって、11勝を挙げた2020年はF1キャリアの中でも最高のシーズンだったと言えるだろう。

 シーズン11勝は彼にとって最多タイだが、2020年はコロナ禍の影響でレース数が少なく、全17戦で争われたからだ。さらにハミルトンはその17レースのうち、新型コロナウイルス感染により欠場したサクヒールGPを除いて全戦で入賞しているのだ。

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 彼にとってシーズン最悪のレースとなったのは、モンツァで行なわれたイタリアGPだろう。ポールポジションからスタートしたハミルトンは、順調にレースをリードしていたが、ケビン・マグヌッセン(ハース)がマシンを止めたことにより、レースの展開が大きく変わってしまった。

 マグヌッセンがマシンを止めた場所が、最終コーナーであるパラボリカをピットレーン入り口の間だったこともあり、セーフティカー(SC)が出動。安全に作業を行なうためにピットレーンは閉鎖された。

 ところが、ハミルトンもチームもピットレーンが閉鎖されていることに気づかず、ピットストップを実施してしまう。これにより、ハミルトンは10秒のストップ&ゴーペナルティを受ける事になったのだ。

 その後、シャルル・ルクレール(フェラーリ)がSC解除直後に大クラッシュ。レースが赤旗中断されると、ハミルトンはペナルティを受けた理由を知るためにスチュワードに会いに行った。結局判断を受け入れたハミルトンは、レース再開後にペナルティを消化し大きく後退。猛烈に追い上げたものの、7位でレースを終えたのだ。

 先週末に行なわれたウェブ会議で、世界中のスチュワードに向けて話したコネリーは、ドライバーやファンが理解できるように決定事項を文書で完全に説明する必要があると、2020年のイタリアGPを例に挙げて話した。

 コネリーは、彼自身や同僚のスチュワードが特定の違反に対して与えられるペナルティが決まっていることは好ましくないと強調したが、一方でそれはチームからの要請でルールに記載されているとも指摘した。

 F1の競技規則28条14には、安全上の理由でピット入り口が閉鎖されている際、車両修理のため以外にピットレーンに進入したドライバーには、10秒間のストップ&ゴーペナルティを科すと明記されているのだ。

「ルイス・ハミルトンがピットレーンに入ってきた」

 そうコネリーは当時のことを振り返った。

「警告灯やピットレーン入り口にあるふたつのライトパネルにピットレーン閉鎖を示す表示が行なわれていることを明確に確認してから、我々は適切なレギュレーションを参照したんだ」

「そして、我々には選択の余地がなかった。我々は強制的なペナルティは好きではないんだ」

「実際、FIAのスチュワード代表やほとんどのスチュワードが、ペナルティの内容が強制されることに反対しているが、それは主にチームの要請によるものだ。ルイス・ハミルトンの違反行為には、ストップ&ゴーペナルティが必要だった」

 コネリーは、ハミルトンと会ってなぜそのような決定を下したのか説明したことに満足していると語った。

「ルイスはレース中断中にスクーターに飛び乗り、ピットレーンを下ってきて、我々のところを訪ねてきた」

「ルイスは非常に礼儀正しかった。彼はただ『なぜペナルティを受けたのか教えてくれないか』と言った。我々は『ああ。ピットレーンが閉まっている時に入ったからだ』と言ったんだ」

「彼は『見せてくれるか?』と言った。そして我々はビデオのリプレイを見せたんだ。彼のマシンのオンボードカメラも見せた。彼の前にあった2枚のライトパネルが、ピットレーンの閉鎖を示していた」

「彼は『ああ、分かった。それは受け入れる。でもなぜペナルティがそんなに厳しいんだ?』と言ったので、我々は『残念ながらルイス、これは強制的なペナルティだ。このペナルティを科すしかないんだ』と説明した」

「当然彼はそれを喜んでいなかったが、ルイスはそれを受け入れ、いつものように非常に礼儀正しく、部屋を出ていった」

「彼は間違いなく、なぜ無線で警告をしなかったのかチームに何度か訊いていた」

「だが、これは完璧な例だと思う。どんなに苦しい決断であっても、ルイスもチームもそれを受け入れた」

「だからきちんと説明することができれば、それが難しい決断であっても、ペナルティを受ける人々や視聴者、聴衆に受け入れられるということなんだ」

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この記事について

シリーズ F1
ドライバー ルイス ハミルトン
執筆者 Adam Cooper