フェルスタッペン、実は出場停止まであとペナルティポイント4の危機……戦い方に影響が出てしまう可能性はあるのか?
レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、5年連続のF1チャンピオン獲得を目指すが、ペナルティポイントも8まで加算。あと4ポイントで出場停止となる。その戦いぶりに影響が及ぶことはあるのか?
Max Verstappen, Red Bull Racing RB20, battles with Lando Norris, McLaren MCL38
写真:: Sam Bloxham / Motorsport Images
2021年から4年連続でF1ドライバーズチャンピオンに輝いたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。2025年シーズンは、5年連続のタイトル獲得に挑むことになる。
しかしフェルスタッペンは昨シーズン終了時点で、ペナルティポイントが8まで加算。合計12ポイントとなるとレース出場停止の処分を受けることになるため、猶予はあと4ポイントである。
このペナルティポイントの有効期限は1年間。この期間が経過すると、消滅する形となる。しかしフェルスタッペンのペナルティポイントが減じられるまでには、少なくとも6月30日まで待たねばならない。つまりそれまでにさらに4ポイント”獲得”してしまえば、その時点で出場停止となってしまう。
その状況は、フェルスタッペンの戦いぶりに何らかの影響を及ぼす可能性はあるのだろうか? motorsport.com/Autosport.comのライター陣が検証した。
ライバルがフェルスタッペンの”ミス”を誘う?:ジェイク・ボクソール-レッジ
フェルスタッペンはペナルティポイントをあと4ポイント獲得してしまうと出場停止となる。しかもペナルティポイントが最初に少なくなるのは6月30日……つまり最初の11戦では、慎重に走ることが強いられる。
フェルスタッペンが清廉潔白の走りをすれば、それは簡単なはずだ。アグレッシブではないドライバーならば、大抵はなんとかなる。
フェルスタッペンがシーズン前半にペナルティポイントを積み増す可能性は、低いと考えている。現在手にしているペナルティポイント8のうち6は、2024年シーズン終盤の5戦で獲得してしまったもの。そしてレッドブルが2024年のようなシーズン序盤の強さを見せれば、ライバルと争うこともなく、スチュワードの指摘を受けるようなこともないだろう。
出場停止の可能性が迫っていても、フェルスタッペンがレースへのアプローチ方法を変えることはないだろう。そして、何か特別なことが起きない限り、出場停止という事態に陥ることもなかろう。
しかしレッドブルが2025年シーズン序盤に高いパフォーマンスを発揮できず、混戦の中で戦うことになった場合、ファウルを誘発するような”挑発”ができるライバルも多数存在する。フェルスタッペンが、苦戦しつつもタイトル争いに加われそうだった場合は特にそうだ。
このことについては、おそらく多くの方が憤慨するだろう。現在のドライバーたちは決してそんなに低レベルのことはせず、ライバルたちと公平に戦い、タイトルを目指そうとするだろう。
しかし逆の立場だったらどうか? フェルスタッペンを出場停止に追い込み、それを自身のタイトル争いに活かそうとするライバルがいても、決して不思議ではない。
出場停止になるには賢すぎる:アレックス・カリナウカス
フェルスタッペンは2018年モナコGPで大きな学びを得た。
写真: Motorsport Images
フェルスタッペンは、出場停止になるほど愚かではなく、むしろ非常に賢いドライバーだ。出場停止が近付いていることは、彼の冷酷なまでのレーススタイルと、昨年のレッドブルに起きた混乱に反応仕切れなかった結果であろう。しかしフェルスタッペンは、必要は場面ではほんの少し譲歩することで、大きな違いを生み出すことができる。
例えば2018年、シーズン序盤にフェルスタッペンは驚異的なスピードを見せつつも、数々のミスを犯した。極め付けはモナコGPでのFP3で、それがなければポールポジションを獲得し、決勝でも勝利を狙えたはずだ。ただその後、本人は公には認めなかったもののアプローチを修正。それにより、のちの”フェルスタッペン黄金期”を形作ることになった。
2021年のブラジルGPで見せた、”守りながら攻める”技術にも注目すべきだ。バトル中、コーナーのイン側でブレーキングをかなり遅らせることで、エイペックスでは先行しコーナーの優先権を得る戦術を繰り返し繰り広げてきた。
もちろん、それがずる賢い戦術であるのは間違いない。しかしF1のルールのガイドラインの抜け穴を巧みに突く能力があるという、フェルスタッペンの知恵の高さを示していると言えよう。
2025年にはそのガイドラインにも変更が加えられる。レギュレーションに精通し戦略面で重要な支えだったスポーティングディレクターのジョナサン・ウィートリーもいなくなってしまった。しかしフェルスタッペンはすでに、厳しい戦いに備え、環境に適応する能力を備えている。チャンピオンならではのレーシングスキルであると言えよう。
6月には、フェルスタッペンのいくつかのペナルティポイントが消える。そうなれば、出場停止のリスクは大幅に軽減されるだろう。そしてその後のシーズンは、さらにエキサイティングなモノになるはずだ。
マックスでも限界に達する:スチュアート・コディング
2021年のイタリアGPでのハミルトンとの接触は、フェルスタッペンが限界に達した一例だ。
写真: Jerry Andre / Motorsport Images
どんな人にも、限界はやって来る。
マックス・フェルスタッペンは、他の歴史的なドライバーと同様に、ライバルの行動を冷静に読み取って対応する能力を十分に発揮してきた。しかし、マックスでも限界になる時が来るだろう。そしてそれがどのようなモノになるのかは分かっている。
フェルスタッペンの限界点は、レッドブルの昨年型マシンRB20の空力ピークと同じように、転移する。昨シーズンのカタールGPでは、重要なイエローフラッグを見落とさず、逆にそれに気付かなかったランド・ノリス(マクラーレン)のミスを指摘するという、非常に注意深い姿を見せた。しかし一方で、ルイス・ハミルトン(メルセデス)とコース上でぶつかってしまった2021年のイタリアGPなど、判断を曇らせるようなシーンもあった。
事実、フェルスタッペンは今の状況ならば、あと2回問題を起こせば、出場停止処分を受けることになる。そこで科されたペナルティポイントが厳しすぎると感じるようなモノだったとしても、それが今のFIAのやり方なのだ。慣れるしかない。
新しいレースディレクターのルイ・マルケスは、これまでのところ非常に厳格な姿勢を取ってきている。スチュワードたちも同様だ。これは、ドライビングマナーをめぐる議論が白熱している中でのことである。
おそらく2025年には、ペナルティポイントがまるで学校の運動会で配られる参加賞のように乱発されることになるだろう。フェルスタッペンにとっては、厳しい環境だ。
問題はシステムにあり:マーク・マン-ブライアンズ
昨年のマグヌッセンの出走禁止処分は、何の問題もない出来事がきっかけだった。そして、これは再び起こる可能性がある。
写真: Andy Hone / Motorsport Images
議論の幅が少し広がってしまうが、今のF1のペナルティポイント制度そのものが、欠陥だらけだ。つまりフェルスタッペンが出場停止になるかどうかを予測するのは、サッカーの試合のPK戦の結果を占うのと同じくらい難しい。
昨年、ハースのケビン・マグヌッセンが出場停止になったのは、ペナルティポイントが12ポイントに達した初めてのケースであった。それを決定づけたのは、イタリアGPでのピエール・ガスリー(アルピーヌ)との一件些細な接触だった。
これには多くのドライバーから批判が集まり、マグヌッセン本人も「こんな細かいことでペナルティポイントを科すのは、レースを制限することに繋がっている」と不満を述べた。
ペナルティ制度は、F1においてドライバーをコントロールするためにある程度必要なモノである。タイム加算ペナルティやグリッド降格ペナルティは、その週末における強力な抑止力になっている。しかしFIAのスーパーライセンスにポイントを加算するシステムは、より長期的な管理手段である。
フェルスタッペンがライバルをコース外に押し出して出場停止処分を受ける可能性もあれば、些細な違反でペナルティポイントを積み重ね、シーズン終盤にタイトル争いに影響を及ぼす可能性がある。
ペナルティポイントの制度自体を見直せば、この議論自体ほぼ不要になるだろう。つまりグレーゾーンを一掃し、フェルスタッペンが出場停止となる基準をしっかりと明確にするべきだ。
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