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HRCが見据えるモビリティの未来。ホンダの市販車“EV一本化”は変わらず……しかしモータースポーツでは内燃エンジンが残る?

ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長がカーボンニュートラル実現に向けた考えを語り、ホンダとして市販車の電動化を推し進めることに変わりはないとする一方で、モータースポーツには内燃機関が残る可能性があると明かした。

Max Verstappen, Red Bull Racing RB18

写真:: Carl Bingham / Motorsport Images

 本田技研工業(ホンダ)がF1での第4期参戦活動終了を表明した2020年、世界中でモビリティのカーボンニュートラルの実現には電動化が必須であると考えられていた。ホンダもその流れの中でカーボンニュートラル、特にEVにおける開発にリソースを注ぐべくF1を撤退。実際、三部敏宏社長は2021年4月の就任会見にて、2040年までに市販四輪車を100%電動化すると発表していた。

 しかし100年に一度の転換期にあると呼ばれて久しい流動的な自動車業界は近年、カーボンニュートラル化社会実現の新たな一手として、持続可能燃料という選択肢も現実的に模索している。この持続可能燃料には既存の内燃エンジンを使い続けることができる上、EVや水素燃料のようにインフラ設備を大規模に変革するという作業を必要としないという利点がある。

 ただ、現段階で持続可能燃料の製造コストは非常に高く、ガソリンや電気のような量産エネルギーの価格とは大きな開きがあることが課題とされている。F1は持続可能燃料開発のイニシアチブを取るべく、2026年以降もパワーユニット(PU)はV6エンジン+ハイブリッドシステムというコンセプトを引き継ぎながらも、持続可能燃料100%で戦うことを決定。また高価かつ複雑で市販車への転用が難しいとされてきた熱エネルギー回生システム(MGU-H)が廃止されるものの、運動エネルギー回生システム(MGU-K)の出力が向上する。つまり内燃機関を残しつつも、電動化技術と持続可能燃料に重きを置いたレギュレーションとすることで、カーボンニュートラルを目指そうとしているのだ。

 EV普及をリードしてきたフォルクスワーゲン・グループ傘下のアウディが新規PUメーカーとしての新レギュレーション導入の2026年からのF1参戦を表明し、多くの自動車メーカーからこのレギュレーションに関しては関心が集まっていることも分かっている。これまで電動化一本化を決めていたメーカーにも、少なからず変化が生まれているようにも見受けられる。

 そうした中で、ホンダのモータースポーツ活動を統括するホンダ・レーシング(HRC)は先日、F1の2026年PUレギュレーションの製造者登録を行なったと明らかにした。F1への再参戦を検討していないとしながらも、ホンダが縮小させていくと表明していた内燃機関の領域を備えたF1を”研究対象”として注視しているのだ。

 HRCとしてのカーボンニュートラル化の考えを、HRCの代表取締役社長である渡辺康治に尋ねると、次のように答えた。

「ホンダとしては、基本的に全部電動にしていきます」

「特に四輪については電動、もしくはFC(燃料電池)にしていくという方向性については何ら変更ありません。二輪も基本的に全て電動化していきますが、販売地域やお客様を鑑みると、少し二輪の方が電動化のスピードは遅いでしょう。つまり、内燃機関が少し遅くまで残るということになります。しかしいずれにしても、ホンダとしては二輪も四輪も電動化していくことを基本としています」

「ただ、航続距離の観点からHondaJetやeVTOLなど少し内燃機関が残るであろう分野もあります。そしてモータースポーツというモノを考えた時に、フル電動化がモータースポーツの楽しさとか役割を全て果たせるかどうかという点については疑問が残ります。そのような意味では、もしかしたら内燃機関がモータースポーツには残るかもしれないとは思っています」

 そして渡辺社長は市販車の進む道とモータースポーツが進む道が「違う可能性はある」として、「市販に合わせられれば、一番良いんですけど」と続けた。

 モータースポーツは市販する商品への展開を目的にした技術力の向上という側面以外にも、他では味わえないエンターテインメントとしての側面を持つ。マシンの圧倒的スピードや卓越したスキルを持つドライバーやライダーが繰り広げる刺激的なバトル、タイヤの焼ける匂い、そしてそこには内燃機関ならではのマシンが発するビリビリと身体に響くエキゾーストノートという非日常的体験も確かに含まれている。そうした点も、”レース屋”HRCとしては重きを置いていきたいと考えているのだろう。

 F1のみならず、世界のモータースポーツは変革を迫られている。2023年にはフル電動フォーミュラシリーズである「フォーミュラE」が9シーズン目を迎え、エクストリームEやETCRなど電動シリーズも増えつつある。またFIA世界ラリー選手権(WRC)は、尖兵としてハイブリッド導入の2022年から100%持続可能燃料の使用を開始。FIA世界耐久選手権(WEC)も2022年から再生可能燃料を導入しており、ゆくゆくは燃料電池マシンの参戦を目指している。

 カーボンニュートラルは、モータースポーツに関わらず、全員が目指さなければならないものだ。しかしその手段は、完全な電動化か燃料電池か、それとも既存のプラットフォームを活かした合成燃料かと多岐に渡る。

 ホンダとしては電動化の道を選んだが、コスト面も含め完全なカーボンニュートラル燃料ができれば内燃機関も市販二輪・四輪の領域でも残していくことは可能なのではないだろうか? そうした疑問を渡辺社長にぶつけてみると、次のような答えが帰ってきた。

「私はエンジニアではありませんので分かりませんが、ホンダとしてはカーボンニュートラル燃料を量産コストで普及させていくのは非常に困難だと考えています。また、カーボンニュートラル燃料ではCO2はゼロにできてもCOやNOxといったエミッションまで完全に取り払うのはまた至難の業です」

「世の中が全て電動になるかは分かりませんが、一企業が自分たちのポリシーに基づいて『これが一番、世のため、人のためになる』と信じてやるというところで言うと、ホンダが電動化という選択肢にまい進することもアリだと考えています」

 
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