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「戦える」ことを証明したレッドブル・フォードPU。メルセデスを倒すために克服しなければいけない課題とは?

フォード・パフォーマンスのディレクターであるマーク・ラッシュブルックは、レッドブル・フォードは新規参入ながら「戦える位置にいる」としつつも、コンディションによって競争力は変動すると強調している。

Isack Hadjar, Red Bull Racing

 今季からレッドブル・フォード・パワートレインズ(RBPT)のパワーユニット(PU)でF1に参戦しているレッドブルは、開幕直後は特にシャシー面で苦戦したが、PUの面では当初からライバルを驚かせる結果を残していた。フォード・パフォーマンスのディレクター、マーク・ラッシュブルックがここまでの戦いぶりを振り返った。

 レッドブルのPUについては、バーレーンテストでメルセデスのトト・ウルフ代表が「間違いなくベンチマークになる」とコメントするなど、開幕前から話題を集めていた。この発言には政治的意図があったことは間違いないが、とはいえRBPTは実際に新規参入であることを感じさせないパフォーマンスを見せている。マックス・フェルスタッペンが日本GP後に、内燃エンジンも電動パワーのデプロイメント(発動)も大きな問題では決してないとコメントしたことも、その裏付けとなっている。

 このパワーユニットが競争力あるレベルにあるということは、「自らの運命を自分たちの手に委ねる」というレッドブルの決断が一定の成果をあげたということであり、一方で新パートナーであるフォードにとっても重要な意味を持っている。

 ラッシュブルックはこう語る。

「パワーユニットを実戦投入するまで3年半という長い道のりだったので、シーズン開幕戦のメルボルンでそれを見ることができて素晴らしかった。また、フォードが本格的にF1に戻ってきたのも大きなことだ」

「正直、単にグリッドに並ぶだけでも非常に大きな挑戦だった。しかし今こうして戦えているのは嬉しい」

 RBPTのプロジェクトは、レッドブルにPUを供給していたホンダがF1撤退を決断した後、2021年に始まった。レッドブルの新施設はわずか1年ほどで建設され、ベン・ホジキンソンの下で、メルセデスのハイ・パフォーマンス・パワートレインズ からの人材を含む多様なチームが編成された。

 レッドブルはホンダの次のパートナーを探していた当初、ポルシェと提携交渉していたがこれが決裂。その後フォードが商業・技術パートナーとして参入した。これはラッシュブルックがレッドブルの当時のチーム代表、クリスチャン・ホーナーにメールを送ったことがきっかけだった。

 フォードの関与は当初の想定よりも拡大。元々は電動系に重点を置く予定だったが、市販車の販売戦略の変化もあり、より広範囲に関与するようになった。以前フォードは内燃機関(エンジン)のみで走る自動車の生産を中止するという決定を下していたが、これは撤回された。

「最も予想外だった点は、積層造形や先進製造といった分野で、どれほど大きな進歩を遂げたかということだ。部品をプリントアウトし、短期間で製造できるだけでなく、必要な品質管理と寸法精度が実現できるようになった」とラッシュブルックは言う。

「これは当初の予想をはるかに超える進歩だったが、他のレースプログラムにとっても大きなメリットとなっている」

 初年度ながら、「戦える」パワーユニットを作り上げたRBPT。しかしラッシュブルックは、このPUがコンディションに敏感である点が課題であると指摘する。

「これらのパワーユニットは温度や環境条件に非常に敏感なので、その違いが影響を与えるのは間違いないだろう。様々なコンディション下で違いが見られるため、それも我々が改善すべき点のひとつだ」

 またラッシュブルックは、今季のPUメーカーへの救済措置である“ADUO”の対象メーカーを選定する上でも、そういった点が考慮されるべきだと主張する。ただ一方でFIAは各チームとPUメーカーとの協議の結果、ADUOの判断方法をシンプルに保つ方針を示している。

「もちろん、FIAとF1はデータに基づいて判断を下す必要があるが、単にデータだけを見るのではなく、その背景にある状況を理解した上で判断しなければならない。何が結果に影響を与えているのかを真に理解する必要がある」

「コース上のコンディション、気温、湿度、レース環境など、あらゆる要素が影響する。なぜなら、パワーユニットはそれぞれ異なる条件に対する感度を持っているからだ」

 レッドブルとフォードは、自社のデータを分析することで、今季PU“DM01”の様々な条件下における強みと弱みを明確に把握している。社内では何が不足しているのか、そして競争力を高めるために何が必要なのかが明確に分かっているものの、ラッシュブルックはそれを公に語ろうとはしない。

「その点については明確な認識があるが、それについて話すつもりはない」

 少なくともレッドブル・フォードは、メルセデスPUが依然として今季F1におけるベンチマークであり、自分たちのPUは総合性能と安定性の両面でまだ多くの課題を抱えていると認識している。ラッシュブルックはメルセデスのPUについて尋ねられると、「ああ、かなり素晴らしいね」と笑顔を見せた。

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