F1 ハンガリーGP

エンジンが暴走!? ラッセルのスタート失敗、データが示す異常な挙動……アクセル踏んでないのに回転数が大暴れ

F1ハンガリーGPでメルセデスのジョージ・ラッセルがスタート時に見舞われたトラブルが、エンジンの回転数とスロットル開度のデータから見えてきた。

Gianluca D'Alessandro

Gianluca D'Alessandro

公開日時: 2026/07/28 3:20

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George Russell, Mercedes

George Russell, Mercedes

写真:: Steven Tee / LAT Images via Getty Images

 メルセデスのジョージ・ラッセルはF1ハンガリーGPのグリッド上で、エンジンのソフトウェアに問題が発生し、回転数が制御不能になり、スタートが遅れた。

 土曜日、縁石にぶつかったことによる水漏れでエンジンが故障し、メルセデスはレース前にラッセル車のエンジン交換を余儀なくされた。しかし、グリッド上ではスタート時のトラブルでアンチストールシステムが作動し、順位を大きく落とした。シーズン前半のラッセルの不運を象徴するような出来事となった。 

 ラッセルにとってシーズン前半は喜びよりも悔しさの方が多かっただけに、レース後に「リフレッシュするために休息が必要だ」と語ったのも無理はない。

 ハンガリーGPの週末は、まさにそうしたフラストレーションを象徴するものだった。問題は純粋な速さではない。ラッセル自身も、たとえエンジントラブルがなかったとしても、予選でトップ3入りするのは現実的ではなかったと認めている。むしろ、不運な出来事が次々と重なり、もともと厳しかった週末がさらに受け入れ難いものになってしまったことが問題だった。

■ラッセルのスタートで何が起きたのか

 スタート直後にアンチストールが作動した原因となったトラブルは、その典型例だ。では実際には何が起きていたのだろうか。

Valtteri Bottas, Cadillac Racing

写真: Bryn Lennon / Formula 1 via Getty Images

 無線では当初、チームはドライバーのミスだった可能性を示唆していた。スタート手順の最中、十分なターボブーストを発生させるためにエンジン回転数を高く維持している場面で、ラッセルがアクセルを戻したように見えたからだ。

 実際、ラッセルはシグナルが消える前にアクセル開度を約30%から10%未満まで下げていた。しかし、それは原因ではなく、別の問題への対処だった。レース後にトト・ウルフ代表が説明したように、ドライバーにはどうすることもできない技術的トラブルが発生していたのだ。

「アクセルを約10%ほど踏んでいたのに、エンジン回転数が一気に最大まで上がってしまった。それで彼はアクセルを戻したところ、回転数は下がった。こうしたミスがあまりにも多く起きていることには本当に満足していない。それが原因だったし、その後の彼のレースは非常に良かった」

 ウルフはその後、Sky Sportsにも対し、今シーズン前半に続いている信頼性や技術的問題は「到底受け入れられない」と付け加えている。

 この説明は、レース後にラッセル自身が語った内容とも一致している。ラッセルによると、スタート直前エンジン回転数が想定値を大きく超えて上昇していることに気付き、それを抑えようとしてアクセル操作を調整したという。つまり、アクセルを戻したのはトラブルの原因ではなく、その結果だった。

「アクセルを踏みながら回転数を維持していたんだけど、スタートシグナルが消える4秒くらい前に、突然エンジン回転数が勝手に上下し始めた。だからアクセルで調整しようとしたけど、まったく反応しなかった。エンジンがアクセル操作に反応していなかったんだ」

 本来、ドライバーは適切なターボブーストを発生させるため、決められたアクセル開度を維持する必要がある。その状態はステアリング上でも確認でき、スタート手順中にはエンジン回転数が高すぎるか低すぎるかを示すインジケーターが表示され、それに合わせてアクセルを微調整する仕組みになっている。

 メルセデスのオンボード映像を見ると、5つのスタートシグナルが点灯している間、ラッセル車のエンジン回転数は本来のように滑らかには推移しておらず、この点はテレメトリーデータでも裏付けられている。

 チームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリとの比較を見ると、その違いはさらに明確だ。

 今年導入されたスタート前の5秒間の準備時間では、2人とも通常どおりアクセル開度約30%まで踏み込んでいた。しかし、アントネッリのマシンは回転数も約1万2300rpmで安定していた一方、ラッセル車はまったく異なる挙動を示した。

 ラッセルのエンジン回転数は1万2700rpmを超えて上昇し、一時は1万2800rpm近くまで達した。これは異常に高い数値だ。

 そのためラッセルは後に説明したように、アクセルをほぼ完全に戻して回転数を抑えようとした。しかし、それでも状況は安定しなかった。

 実際、テレメトリーではエンジン回転数が一瞬1万2000rpmを大きく下回った後、アクセル開度が10%未満にもかかわらず再び約1万2600rpmまで跳ね上がっていることが確認されている。

 そして、ここから問題の第二段階が始まった。ラッセルはスタート時、アクセル開度がわずか9%しかない状態で発進せざるを得ず、それ以上踏み込むこともできなかった。一方のアントネッリは通常どおり30%のアクセル開度で発進に必要な駆動力を得ていた。

 ラッセルがグリッドを離れようとした瞬間、エンジン回転数は大きく落ち込んだ。アクセル開度が10%未満だったことも、その一因と考えられている。

 クラッチをつないだ瞬間、アントネッリのエンジン回転数は約5800rpmだったのに対し、ラッセルは4500rpmまで低下。十分な駆動力が得られず、アンチストールが作動してしまった。

 このトラブルはラッセルのレース全体を台無しにしただけでなく、実はチームがバーレーンでのプレシーズンテストでも一度経験していた問題だったという。

「言うまでもなく、新しいエンジンだった。プレシーズンテストでも一度見たことがある現象だったと思うけど、正直なところ詳しい原因は分からない」とラッセルは語った。

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