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ヘルムート・マルコ博士、レッドブル離脱を決めた経緯を、オーストリアのテレビ番組で語る「何かを失ったように感じていた」

レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを今年限りで退任することになったヘルムート・マルコ博士がオーストリアのテレビ番組に出演。この決断に至った経緯を語った。

Dr Helmut Marko, Red Bull Racing

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写真:: Mark Thompson - Getty Images

 今年限りでレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを辞することが決まったヘルムート・マルコ博士が、その決断に至った経緯を説明。マックス・フェルスタッペンが2025年のタイトルを獲得できなかったこと、そしてレギュレーションが大きく変更される節目であることが、その決断の主な要因だという。

 マルコ博士は2001年からレッドブルのジュニアチームを率い、2005年からはレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めた。しかし今年限りでその役目から退くことになった。この間マルコ博士は、セバスチャン・ベッテルとフェルスタッペンのふたりのF1ワールドチャンピオンをはじめ、数々のF1ウイナー輩出に重要な役割を果たし、このジュニアプログラムから巣立ったドライバーたちはF1以外でも様々なカテゴリーで活躍している。

 そんなマルコ博士が今年限りでレッドブルを離れることになった理由は、カタールGPでメルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリが「故意にランド・ノリス(マクラーレン)にポジションを譲った」と批判したことが発端となったというのが一般的な見方であった。しかしマルコ博士はオーストリアの放送局”ORF”のインタビューに応じ、辞任は自ら決断したことだったと説明した。

「今年は厳しいシーズンだった」

 そうマルコ博士は説明した。

「特にシーズン中盤は、波乱含みだった。オランダGPを終えた時点では、(フェルスタッペンはランキング首位のオスカー・ピアストリに)104ポイント差をつけられていた。その後、実に類を見ない巻き返しを見せた。しかし残念ながら、最終戦ではうまくいかず、2ポイント差でチャンピオンを取り逃がしてしまった」

「巻き返しは類を見ないモノだった。それでも、非常に悔しい思いをしたんだ。大きな痛手だった。レース後も、何かを失ったと感じていた」

「レース翌日の月曜日も、私はドバイに残っていた。そこで決断を下したんだ。たとえ(フェルスタッペンが)チャンピオンを獲得していたとしても、この仕事を辞める十分な理由になっていただろう。しかし今振り返ってみると、負けてしまったからこそ、いい決断のタイミングだったと言えるだろう」

 またマルコ博士は、2026年からF1のレギュレーションが大きく変更され、マシンの姿が一変するというのも、引退するには絶好のタイミングだと考えている。なおマルコ博士は、F1マシンの設計には関わっていない。またマルコ博士は、フェルスタッペンのレースエンジニアも担当するジャンピエロ・ランビアーゼ(通称GP)が、自身と同じタイミングでチームを去るのではないかという噂も否定した。

 マルコ博士は、前述の通りフェルスタッペンのキャリアにおいて、重要な役割を果たしたひとり。チームを離れることについて話し合ったかと尋ねられると、彼は次のように語った。

「事前には誰とも相談しなかった。でも、ドバイにいる時に、レッドブルの責任者であるオリバー・ミンツラフに電話をかけ、少し会えないかと言った。その日はチャンピオンシップ・ディナーのようなモノが企画されていたんだが、そのディナーの前に我々は会った」

「私は彼に、自分の希望を伝えた。部分的な解決策があるか、しばらく話し合った。そして、やるなら徹底的にやらざるを得ないということになった」

「それは場当たり的に起きた。タイのもうひとりの株主も、そこに同席していた。でも全て非常に友好的で、うまくいったんだ」

「本来ならば、マックスもそこにいるはずだった。でも、彼のフライトにいくつか問題があって、そこにはいなかったんだ」

「翌日、彼に電話した。普通の会話ではなかった。どこか憂鬱な空気が漂っていた。彼はこんな成功を収めることができるなんて、思ってもいなかったと言っていたね」

 レッドブルは2005年のシーズン開幕前にジャガーを買収し、レッドブル・レーシングを立ち上げた。また翌シーズン開幕前にはミナルディも買収し、こちらはジュニアドライバー育成チームとも言えるトロロッソとして、F1への参戦をスタートさせた。つまり傘下に2チームを抱えることになったのだ。しかし、いずれのチームも優勝経験がなかった。

 しかし2008年のイタリアGPで、セバスチャン・ベッテルがトロロッソに優勝をもたらした。これが、レッドブル・グループのチームによる、初のF1勝利であった。翌2009年にはレッドブルが躍進してタイトル争いに加わり、2010年には初のダブルタイトルを獲得。以後ドライバーズタイトル8回、コンストラクターズタイトル6回、そして418戦で130勝という驚異的な成績を残した。なおトロロッソはその後アルファタウリ、レーシングブルズと名を変えて今に至っているが、通算2勝を記録している。

 マルコ博士は、F1に打って挑む際に、レッドブルの共同創設者であるディートリッヒ・マテシッツが語った言葉を紹介した。

「やってみようじゃないか。もしかしたら、グランプリに勝てるかもしれない」

 20年前には、大きすぎる野望のように聞こえたかもしれない。しかしその野望は成就。グランプリに勝つどころか、今やレッドブルは、F1に欠かせない存在になった。

Additional reporting by Ruben Zimmermann

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