F1 オランダGP

予期せぬレッドブルでの再F1ドライブ、ローソンにとって重要な機会に。2025年短期降格へのリベンジなるか

F1オランダGPでレッドブルから出場することになったリアム・ローソン。これは忍耐を続けてきた彼への正当な報酬であり、2025年の急な降格から続く彼のキャリアにとって、またとないチャンスになるだろう。

Filip Cleeren

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公開日時: 2026/08/20 2:31

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Liam Lawson, Racing Bulls

 F1の2026年シーズン後半戦のスタートを告げるオランダGPで、リアム・ローソンが負傷欠場となったアイザック・ハジャー代役として、レッドブルのマシンをドライブすることになった。このチャンスは彼にとってまさに正当な報酬であり、同時に彼のキャリアの欠けた輪を埋める機会にもなってくれるだろう。

 ローソンにとってはオランダGPでレッドブルの代役を務めるという点も数奇なめぐり合わせと言える。彼にとってオランダGPは、2023年にやはり負傷欠場となったダニエル・リカルドの代役を務め、アルファタウリからF1デビューを果たした地だからだ。

 ローソンはこの年5戦を戦った経験を足掛かりに、2024年後半にリカルドの後任としてシートを獲得。そして2025年は角田裕毅を抑えてレッドブルに昇格することになった。ただ、レッドブルでの成績は低迷し、わずか2戦でレーシングブルズへ降格となってしまった。

 十分にマシンに慣れる時間を与えられないまま難しいマシンに乗せられたローソンは、当時は不満も訴えていた。レーシングブルズのマシンに慣れるのにも、少々時間がかかった。しかしその後ローソンは静かに、そして着実に自身の評価を取り戻していった。そして2026年の彼はより完成度の高いドライバーへ成長し、チームをコンストラクターズランキング6位へ押し上げる一翼を担った。

 昨年末、短期間で終わったレッドブル時代を振り返ったローソンは、次のように語っていた。

「正直、適切な時間を与えてもらえていれば、自分の頭の中で整理できたと思っている」

「2レースだったけど……正直、その2レースのことはあまり覚えていない。でも、今年は自分をもっと強くしてくれる出来事がたくさんあった」

 前述の通りローソンは、レーシングブルズに事実上”降格”させられた直後は苦しみ、もう一方のシートに座るアイザック・ハジャーが先行していた。その差は徐々に縮まっていたとはいえ、平均的にハジャーの方が成績的にも上回っていた。しかもハジャーはF1デビュー1年目である。そのため、2026年にレッドブルへ昇格するドライバーとしてハジャーが選ばれたのは、理に適った判断だった。

 もっとも、ローソンもさらに1シーズンを戦うだけのスピード、安定性、そして逆境から立ち直る強さを十分に示していた。2026年はルーキーのアービッド・リンドブラッドとチーム内で接戦を繰り広げており、予選の直接対決では8勝6敗でリード。2人はたびたびポイント圏内を争っている。

Liam Lawson contested five races with AlphaTauri in 2023

Liam Lawson contested five races with AlphaTauri in 2023

Photo by: Jake Grant / Motorsport Images

 レーシングブルズのチーム代表アラン・パルメインは、F1の「Beyond the Grid」ポッドキャストでローソンについて次のように語った。

「彼が確かに以前と同じ人物ではないことは分かっていた。『我々が彼を作り直した』と言うのは少し大げさだと思うが、我々はできる限り彼をサポートし、助力した」

「我々は彼を助けるためにいる。しかし、彼が自分自身で変化したんだ。シミュレーターでも、コース外でも、コース上でも一生懸命取り組んだ。そして、それが本当に、本当に素晴らしいパフォーマンスにつながっていったと思う」

「彼はレーザーのように集中していて、それがドライビングにも表れている。以前よりマシンをずっと理解しているし、エンジニアともよりうまく、より密接に仕事をしている。マシンに何を求めているのかを理解していて、マシンの性能を最大限に引き出せる方法で走らせることができる」

 ローソンがかつてレッドブルで苦い経験をした当時から、レッドブルの首脳陣も変わった。チーム代表のクリスチャン・ホーナー、そしてモータースポーツアドバイザーのヘルムート・マルコは、いずれも現在チームを離れている。

 そんな中、ローソンには代役という形ながら、トップチームでもう一度挑戦する機会が巡ってきた。

Liam Lawson managed just two grands prix during his first Red Bull stint

Liam Lawson managed just two grands prix during his first Red Bull stint

Photo by: Red Bull Content Pool

 ハジャーが手首の負傷から復帰すればレーシングブルズへ戻ることが分かっているため、ローソンにかかるプレッシャーもいくらか軽減されるだろう。しかし、レーシングブルズはそもそもトップチームへ送り込むドライバーを育成するための組織である。さらに、今季F2で活躍するレッドブルのジュニアドライバー、ニコラ・ツォロフもいる。彼は近い将来、レーシングブルズからF1昇格を狙える存在であるのは間違いない。

 つまりローソンにとって今回の代役出場は、自身の評価をさらに高め、今後のキャリアをより良い方向へ導くための絶好の機会でもあるのだ。

 ハジャーが順調に回復すれば、ローソンの2度目のレッドブル在籍期間は、最初の2戦よりさらに短くなる可能性もある。しかし、F1では何が起きるか分からない。そもそもローソンがF1でチャンスをつかんだこと自体が、奇妙な巡り合わせの結果だった。

 最良のシナリオでは、今回の代役出場がローソンの長期的なキャリアに向けた、もうひとつの足掛かりになるかもしれない。

 最悪の場合となっても、これは忍耐を続けてきたローソンへの正当な報酬であり、キャリアにおける成長のきっかけとなった一連の出来事を、ひとつの円環として完結させる機会になるだろう。

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