F1 シンガポールGP
20年前の今日の話:キミ・ライコネンが17番グリッドから優勝……衝撃的だった2005年の日本GP
17番グリッドより後方からスタートし優勝した事例は、F1の歴史上でわずか5レースしかない。そのひとつが、2005年の日本GP……当時マクラーレンに乗っていたキミ・ライコネンによる衝撃的なレースであった。
Benjamin Vinel 田中 健一
公開日時: 2025/10/09 11:08
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鈴鹿はドライバーズ・サーキットとよく言われる。そんなコースで素晴らしい実力を示したのが、マクラーレンに乗っていたキミ・ライコネンであろう。2005年の10月9日に行なわれた、日本GPでのことだ。
ライコネンはこのレースに臨む時点で、同年のチャンピオンを獲得できる可能性は潰えていた。前戦ブラジルGPで3位に入ったことで、ルノーのフェルナンド・アロンソが、チャンピオン獲得を決めていたからだ。
そして迎えた日本GP。当時の予選は、1周のアタック方式だったが、セッション中に雨が降り始め、アタック順が遅かったランキング上位勢は、軒並み下位に沈んだ。またエンジン交換によるペナルティで、10グリッド降格となった。
この結果アロンソ、ライコネン、そしてもう1台のマクラーレンであるファン-パブロ・モントーヤは16〜18番グリッドからのスタート。アロンソのチームメイトであるジャンカルロ・フィジケラは3番グリッドからのスタートであり、大きなアドバンテージを得ていた。
アロンソは抜群の1周目を走り、16番手から一気に8番手まで浮上。ライコネンは5つポジションを上げて12番手となった。モントーヤはジャック・ビルヌーブ(ザウバー)と接触してクラッシュ……リタイアとなった。
1周目に大きくジャンプアップしたアロンソだったが、その後はフェラーリのミハエル・シューマッハーに20周もの間抑え込まれることになった。一方でライコネンは、フェリペ・マッサ(ザウバー)、アントニオ・ピッツォニア(ウイリアムズ)、ビルヌーブらを次々とオーバーテイク。14周目にはクリスチャン・クリエン(レッドブル)を抜き、アロンソのすぐ後ろ7番手となった。
当時のマシンは、後方乱気流の影響を受けにくかったとはいえ、DRSが導入される前であり、オーバーテイクは大変。そんな中でライコネンが3周で3台をオーバーテイクしたのは、並大抵ではなかった。
Kimi Raikkonen, McLaren Mercedes MP4/20 passes Michael Schumacher, Ferrari F2005
Photo by: Sutton Images
アロンソは130Rでシューマッハーを大外刈りしてオーバーテイクを成功させたが、シューマッハーやライコネンよりも4周早くピットインしなければならなかった。当時はレース中の給油が許されていたため、アロンソはここで給油を行なったのだ。一方でライコネンは、燃料が減った状態でプッシュし、ピットイン。コースに戻った時には、アロンソの前に立っていた。
ライコネンはシケインでロックしたシューマッハーを捉え、2回目のピットストップではジェンソン・バトン(BARホンダ)とマーク・ウェーバー(ウイリアムズ)を抜き去った。
ライコネンは53周レースの45周目に最後のピットストップを行ない、首位を走るフィジケラの後方5.5秒まで迫った。そして4周後には、その差は0.5秒にまで縮まった。
Giancarlo Fisichella, Renault R25, Kimi Raikkonen, McLaren Mercedes MP4-20
Photo by: Peter Spinney / Motorsport Images
プレッシャーを感じたフィジケラは、残り2周となったシケインであまりにも守備的なラインを取り、ターン1に向けて無防備な状況に陥った。ライコネンはこれを容赦なく攻略し、最終ラップで遂に首位浮上。そのまま勝利を掴み取った。この1戦は、ライコネンの代名詞とも言えるレースになった。
「これまでで最高のレースのひとつだったと思う。ハードワークの甲斐もあって、本当に楽しめた」
そうライコネンはレース後に語った。
「今回抱えていた様々な問題を考えると、勝利を掴むことができたのは本当に素晴らしいことだ」
「全力でプッシュしたし、マシンはどんどん良くなっていった。2回目のピットストップの後、フィジケラとの差が縮まり、攻めることができた。そして最終ラップの1コーナー進入時に彼をパスした。これは絶対に逃せないチャンスのひとつだったんだ」
なお敗れたフィジケラも、次のように語った。
「最後のピットストップの後、チームからキミが近いと聞かされていた。そして彼はすぐに追いついてきた。特に130Rでバックマーカーに追いついてしまい、大きくタイムを失った時にはね。彼はラップの最後の方でとても速かった。彼を抑えるために全力を尽くしたけど、ターン1でラインを奪われてしまった。それで終わりだった」
ライコネンが勝利を手にしたものの、ルノーはフィジケラ2位、アロンソ3位とダブル表彰台を獲得。これでコンストラクターズ選手権の状況を一変させた。
それまではマクラーレンが選手権をリードしていたものの、このダブル表彰台によって逆転。最終戦中国GPでアロンソ優勝、フィジケラ4位となったことで、同年のコンストラクターズタイトルを獲得した。
マクラーレンはこの年のタイトルを逃したことで、実際にタイトルを手にするまで、2024年まで待たねばならなかった。
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