マクラーレン、ドライバー育成の体制一新。ル・マンで活躍した元F1ドライバーのエマニュエル・ピロが責任者に

　若手ドライバーにF1への道を開いてきた長い歴史を持つマクラーレン。近年ではルイス・ハミルトンやケビン・マグヌッセン、ストフェル・バンドーン、ランド・ノリスがマクラーレンの支援の下でF1にデビューしている。

　マクラーレンはそんなドライバー育成プログラムを「若い才能をF1へ導くことを目的に、カート競技からプロのレーシングドライバーへの成長をサポートする」ためのモノにアップデートすることを発表した。

　チームの声明は、さらに次のように続いている。

「草の根レベルの新しい才能への支援と同時に、このプログラムは他のシリーズで活躍しているプロのドライバーを支援し、F1での経験を積む機会を提供する」

　マクラーレンはこのプログラムにより、インディカーやフォーミュラEにもレースやテスト＆開発ドライバーを供給することを望んでいるようだ。

　このプログラムを率いるのは、元F1ドライバーでル・マン24時間レースを5度制しているエマニュエル・ピロ。1988年から3年間、マクラーレンのテストドライバーを務めていた経験も持つ。近年はFIAのF1スチュワードとしても活躍していた。

「私がこの任務に興奮している理由はいくつかある」と、ピロは語った。

「マクラーレンは、私にF1でドライブする機会を与え、アイルトン・セナ、アラン・プロスト、ゲルハルト・ベルガーと一緒に仕事をすることで自分をより高いレベルに引き上げるという、私のキャリアにおいて重要な役割を果たしたのだ」

「私の役割は、チームとともに、最先端のプログラムを作り、最高のドライバーを選び、彼らの才能を最大限に生かすために必要なすべてのツールを提供することだ」

「さらに、そういったドライバーにマクラーレンのミッション、ビジョン、バリューを浸透させ、その中からF1チームへのステップアップさせることを目指すんだ」

「私にとっては、インディカーとフォーミュラEチームも重要な財産だ。マクラーレンのドライバー育成プログラムのメンバーたちに、プロとしてのキャリアにおけるさらなるチャンスを与えることができる」

「私は若いドライバーと仕事をし、彼らが成長し向上するのを助けるのが大好きだ。これまでの経験は毎回充実していたし、今回も楽しみだ」

「マクラーレンはF1における素晴らしい歴史を持っている。それは私にとって大きな意味を持ち、このプログラムに参加できることを大変誇りに思う」

「この素晴らしい機会を与えてくれたザク・ブラウン（マクラーレンCEO）とアンドレア・ステラ（F1チーム代表）に感謝している」

　現在、マクラーレンの育成ドライバーはインディカーで活躍するアレックス・パロウとパトリシオ・オワード、F4を戦うウーゴ・ウゴチュクで構成されている。

　ザク・ブラウンCEOは、「マクラーレンには、才能ある若者をトップレベルのレーシングドライバーに育てるという長い歴史があり、それが将来にわたって続くことを誇りに思う」と語った。

「エマニュエルが率いる経験豊富なチームにより、若い才能を競争力の高いプロのレーシングドライバーに育てるために必要なサポートやリソースを提供することができる」

「マクラーレンはF1、インディカー、フォーミュラEの幅広いレースポートフォリオを有しており、若い才能をキャリアの初期段階からフルタイムレースやテスト・開発の役割に至るまで育成するのに十分な環境を整えている」

「我々はすでに、パトやアレックス、ウーゴを中心としたエキサイティングな才能を有しており、マクラーレンのドライバー開発プログラムの構築に向けて、彼らの成長をサポートし続けられることに興奮している」