F1 バルセロナ-カタルニアGP

そんなことがあり得るの? F1で本当にあったリタイアのトンデモ理由10選

F1バルセロナ・カタルニアGPではニコ・ヒュルケンベルグがグラベルの直撃によってリタイアを余儀なくされる珍事に見舞われたが、今回は過去に信じられないような形でレースを終えることになった事例をピックアップ。

Owen Bellwood

公開日時: 2026/06/22 10:35

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Nico Hulkenberg, Audi F1 Team

 F1とは複雑なレースであり、スタートからフィニッシュまでに、結果を左右する要素はいくつも存在する。そして道中様々なトラブルに見舞われることもあるが、先日のバルセロナ・カタルニアGPではアウディのニコ・ヒュルケンベルグが極めて珍しい理由でリタイアした。

 ヒュルケンベルグは前を走るリアム・ローソンが巻き上げたグラベルが、マシンのキルスイッチに直撃してしまったことでエンジンが即座に緊急停止。そのまま惰性でピットレーンまで戻り、そのままレースをリタイアすることになった。ローソンとしても狙ってできるような芸当ではなく、ヒュルケンベルグとしては不運としか言いようのない出来事だった。

 70年を超えるF1の歴史ではこれまでにも、衝撃的もしくは不可解な理由でリタイアした事例がいくつか存在する。今回はその中から10例ほど紹介する。

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1953年アルゼンチンGP:入場無料が呼んだ悲劇

Race winner Giuseppe Farina

 このグランプリは、アルゼンチンで開催された初めての世界選手権レースであり、当時のフラン・ペロン大統領はなんとブエノスアイレスのサーキットへの入場を無料にすることを決定。その結果、大勢の観客がサーキットに押し寄せることになった。

 そしてレースの31周目、ひとりの観客がコース内に侵入。フェラーリのジュゼッペ・ファリーナはこれを避けようとしたことでコントロールを失ってしまい、観客のいる場所に突っ込んでしまった。この事故で13人が死亡した。

1970年メキシコGP:野犬がコースに

Jackie Stewart, Tyrrell 001 Ford

 現代のF1で野生動物がコース上に現れるのと言えば、モントリオールのウッドチャックやシンガポールのオオトカゲくらいだが、過去にはオーストリアで鹿が、メキシコで野犬が出たこともあった。

 1970年のメキシコGPでは、開催前から観客のコントロールに懸念が出ていた中で、人間ではなく野犬がコースに迷い込んだ。その野犬は予選2番手だったジャッキー・スチュワートのティレル・フォードと衝突し、スチュワートはサスペンションが損傷してリタイア、野犬も死んでしまった。

 なお2008年のトルコGPの際には、併催されていたGP2のレース中にコース上に野犬が侵入。ブルーノ・セナが激突し、フロントサスペンションを大破させてリタイアしている。

1977年ドイツGP:勝手に出ちゃった

Hans Heyer, Penske PC4 Ford

 ホッケンハイムで行なわれた1977年のドイツGPにエントリーしたハンス・ヘイヤーは、自身唯一の参戦となったグランプリで「予選落ち・リタイア・レース失格」の3つを達成するという、普通ならあり得ない離れ業をやってのけた。そこに至るまでの流れはこうだ。

 へイヤーは予選落ちに終わっていたにもかかわらず、決勝レースでは勝手に出走。当初は気付かれていなかった。結局ギヤボックストラブルによってわずか9周でレースを終えたが、その後レース主催者はヘイヤーが不正にレースに参加していたことを発見。失格処分を下したのだった。

1998年イタリアGP:忘れ物注意

Johnny Herbert, Sauber C17

 フェラーリのミハエル・シューマッハーとエディ・アーバインがワンツーフィニッシュを飾ったこのレースで、ザウバーのジョニー・ハーバートは珍しいトラブルでリタイアした。

 ハーバートは決勝レースを15番手からスタートし、順調に走行していたが、12周目に悲劇が。エンジニアがコクピットに置き忘れたスパナがペダルの下に入り込んでしまい、操作不能となってしまったのだ。ハーバートはグラベルに突っ込んでレースを終えた。

1999年日本GP:戦意喪失

Damon Hill, Jordan

 F1ワールドチャンピオン獲得から3年、デイモン・ヒルはジョーダンで苦戦していた。そして彼はこの年限りでの引退を決断するが、最終戦日本GPを迎えた頃には彼のモチベーションは完全に失われてしまっていた。

 鈴鹿のスプーンで芝生に飛び出したヒルは、ピットに戻って給油とタイヤ交換、ノーズ交換を行なってコースに戻ったが、そこから5周で再びピットに戻ってリタイア。レース後に彼は「続けることで得られるものは少なすぎる一方で、失うものが多すぎる」と話した。

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2018年オーストラリアGP:ポイ捨てに泣く

Sergey Sirotkin, Williams FW41

 F1マシンは非常に繊細であり、最高のパフォーマンスを発揮するには最適なコンディションに保っていく必要がある。そのため、砂利だけでなくサンドイッチの袋に至るまで、あらゆるものがトラブルの原因になり得る。2018年のオーストラリアGPでは、まさにそのビニール袋が命取りとなり、ウイリアムズのセルゲイ・シロトキンがリタイアに追い込まれた。

 このレースがF1デビュー戦だったシロトキンは19番手からスタートしたが、コース上に落ちていたサンドイッチの袋がブレーキダクトに詰まってしまい、ブレーキがオーバーヒートして故障。わずか4周でリタイアとなった。

2021年モナコGP:43時間ストップ

Valtteri Bottas, Mercedes W12, makes a pit stop

 2020年代に入るとF1マシンの信頼性は非常に高くなっており、メカニカルトラブルによるリタイアはかなり少なくなっていた。そんな中モナコでメルセデスのバルテリ・ボッタスを襲ったのはピットストップのトラブルだった。

 2番手走行中にピットに入ったボッタスは、チームによる完璧なピットストップを期待していた。しかしホイールガンが右フロントのホイールナットのネジ山を潰してしまい、取り外しが不可能に。チームはあらゆる手を尽くしたがタイヤは外れず、ボッタスはリタイアに。最終的にタイヤが外れたのはそれから43時間後、マシンがイギリス・ブラックリーのファクトリーに送り返されてからだった。

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2022年オーストラリアGP:数円の部品も侮るなかれ

Fernando Alonso, Alpine

 F1マシンと言えば、カーボンファイバーやチタンといった高価で特殊な素材で作られているイメージが強い。しかし中には、誰でも買えるような安価なものが数億円もするマシンを壊してしまうこともある。

 2022年のオーストラリアGPでリタイアしたアルピーヌのフェルナンド・アロンソは、その原因がシールの不具合にあると説明した。当時のチーム代表、オットマー・サフナウアーによると、Oリングシールの不具合でオイル漏れが発生し、油圧低下からエンジントラブルを引き起こしたのだという。Oリングシールであれば、数円程度で交換できたはずである。

2025年イタリアGP:飛び石被害はここでも

Fernando Alonso, Aston Martin Racing

 飛び石によってリタイアに追い込まれたのは何もヒュルケンベルグだけではなく、昨年のイタリアGPでもアロンソが飛び石被害を受けている。

 アストンマーティンを駆るアロンソには、1周目に発生したアクシデントで巻き上げられた砂利が直撃。彼はそのまま走行を続けていたが、フロントサスペンションが傷んでしまっており、24周目にダメージが限界に達してリタイアした。

2026年バルセロナ・カタルニアGP:カメラに緩み

Alexander Albon, Williams

 2026年バルセロナGPでは、下位でのレースを強いられていたウイリアムズのアレクサンダー・アルボンにも奇妙なトラブルが発生した。アルボンはFW48の上部に取り付けられているオンボードカメラが緩んでしまったことでピットインを余儀なくされ、その後走行を再開したが周回数不足で完走を逃した。

 アルボンはレース後にF1 TVに対して「君たちのカメラのひとつだと思う。ピットに入ってからはこの機会にテストをやろうということになった。どうせ元々レースは終わっていたようなものなので、大きな影響がなかったのはラッキーだった」と答えている。

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