タイトルを争うフェルスタッペンとハミルトン……分かれたふたりのタイヤ戦略。優位に立っているのはどっちか?

今季のF1タイトルを目指すマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とハミルトン(メルセデス)は、それぞれ異なるタイヤを履いて、最終戦アブダビGPをスタートすることになる。優位に立っているのは、どちらのドライバーなのか?

タイトルを争うフェルスタッペンとハミルトン……分かれたふたりのタイヤ戦略。優位に立っているのはどっちか?

 F1最終戦バーレーンGPは、今季のタイトル争いの勝敗を決する、重要な1戦となった。しかもタイトル候補のマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)は、全くの同ポイント。優勝回数の差でフェルスタッペンがランキング首位となっているが、基本的には1ポイントでも多くポイントを獲得した方が、今季のF1ワールドチャンピオンに輝く。何らかの理由で同ポイントになった場合は、フェルスタッペンがチャンピオンだ。

 ふたりは予選でも他を圧倒する一騎討ちを披露。フェルスタッペンがポールポジションを獲得し、ハミルトンがその隣2番手に並んだ。

 ただふたりがスタート時に履くタイヤは異なる。フェルスタッペンはソフトタイヤ、ハミルトンはミディアムタイヤを履いて、最終決戦に臨むのだ。

 フェルスタッペンはミディアムタイヤで、予選Q2を突破しようとした。しかしアタック中にタイヤをロックさせてしまい、フラットスポットを作ってしまう。しかもフェルスタッペンは、フリー走行で2セットのミディアムタイヤを使ってしまっていたため、このフラットスポットができてしまった1セットしかミディアムタイヤが残っていなかったのだ。そのため彼はタイヤをソフトタイヤに履き替え、自身のタイムを更新。レギュレーションにより、これがスタートタイヤとなることが決まった。

 一方のハミルトンは、新品のミディアムタイヤを2セット残した状態で予選に臨んだ。そしてこのミディアムタイヤでQ2のベストタイムを記録……このミディアムタイヤで決勝をスタートできることになった。

 フリー走行のロングランペースを見ると、ソフトタイヤのデグラデーションは大きい。そのため、ソフトタイヤを決勝で使うのは難しいようにも見える。しかしレッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、ソフトタイヤでスタートすることで不利になることはないと考えていることを明かした。

「我々はソフトタイヤでスタートすることに、それほど動揺していない」

 ホーナー代表はそう語った。

「ミディアムタイヤの方が、確かに少しばかり長持ちするだろう。でもレースでデグラデーションがどうなるかは、非常に興味深い。とはいえデグラデーションよりも、コース上のポジションの方が重要だと思う」

 一方でメルセデスの代表であるトト・ウルフは、ソフトタイヤを決勝で使うのは理想的ではないと考えており、状況は異なる。ただ、状況に関しては明確ではないようだ」

「ソフトタイヤでスタートした方が不利になると信じたい」

「でも、そうならないかもしれない。最初の数周で引き離されて、ポジションを確保されてしまうかもしれない」

「しかしその一方で、かなりのデグラデーションが起きる可能性もある。計画がどうなっているか分からないし、結果がどうなるかも分からない。ふたつは異なる戦略であり、何が機能するかを見ていきたいと思う」

 ソフトタイヤの利点は、スタートでの蹴り出しにあるのは間違いない。そして先頭のポジションを確保することができれば、前にマシンがいない状態で走り、後続を引き離していくことができるかもしれない。

「我々はクリーンな側で、より良いタイヤを履くことになる」

 そうホーナー代表は付け加えた。

「とにかくレースに向けて集中することが重要だ。我々は自分たちのレースに集中する。彼らが何をしているのか、気にする必要はない」

 もしフェルスタッペンが序盤にリードを築くことができれば、ソフトタイヤを2回使う2ストップ作戦を採ることも不可能ではない。そしてフレッシュなタイヤを存分に活かして、ライバルをオーバーテイクするのだ。

 アブダビは1ストップ作戦が主流になることが多い。しかし、コースレイアウトが変更された今回は、別のことを試す余地は残っているとも言える。

「2ストップは、常に実行可能な選択肢だ」

 そうウルフ代表は説明する。

「2ストップでアグレッシブに走ることも、1ストップを可能とするためタイヤを労って戦うこともできるはずだ。ただ1ストップだと、終盤には厳しくなるかもしれないがね」

「とにかく、どうなるかを見る必要がある。ロングランでは、ソフトタイヤにかなりのデグラデーションが見られた。一方でミディアムタイヤはそれほどでもなかった。そのことは、戦略に大きく影響する」

「確かにワンストップが良いように見える。しかし2ストップも、選択肢としては変化球ながらも、確実に可能な範囲内だ」

 ハミルトンは、前だけでなく後にも注意しなければいけない。2列目のランド・ノリス(マクラーレン)とセルジオ・ペレス(レッドブル)はいずれもソフトタイヤでスタートするため、スタートで先行されるのを防がなければいけない。もし先行されることとなってしまえば、フェルスタッペンに差を築かれてしまう可能性もある。

 現時点では、フェルスタッペンとハミルトンのどちらに戦略的アドバンテージがあるのか、判断するのは難しい。そんな中、3番手スタートのノリスは次のように語る。

「理想的なスタートタイヤは、ミディアムタイヤだろう」

 ノリスはそう語った。

「マックスはミディアムタイヤを履きたかったと思う。僕らもミディアムタイヤを履きたかったけど、ミディアムタイヤでQ2を突破するだけのペースがなかった」

「ソフトタイヤでは、スタートと1周目にはアドバンテージがあるはずだ。でももちろん、ロングランについて考えると、ミディアムタイヤと比較してそれほど強力ではないし、少し早く使い切ってしまうことになるだろう」

「非常に難しいね。人によって履くタイヤが違うというのは、とても興味深い。どっちにも長所と短所があるんだ」

 今のところ、どちらが優位に立っているのか、それを断言するのは難しい。さて、結末はどうなるのだろうか? 勝つのはフェルスタッペンか、ハミルトンか?

 
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