F1 カナダGP

今季苦悩するオコン……来季ハースF1のシートを維持することはできるのか? 小松代表は早期離脱の噂を一蹴も、残された時間はわずか

ハースF1チームは、2027年に向けたF1ドライバー市場において重要な鍵を握る存在になると見られている。特にエステバン・オコンの動向が注目されている。

Ed Hardy Filip Cleeren

編集: 2026/05/28 9:04

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Esteban Ocon, Haas F1 Team, Oliver Bearman, Haas F1 Team

 F1のドライバー市場は、近年では2年に1回大変動が起きるという流れが一般的になってきた。例えば2023年には、6チームがドライバーラインアップを変更。しかしその翌年には各チームのドライバーラインアップはほぼ変わらなかった。

 グラウンドエフェクトカー時代最後のシーズンとなった2025年も、大きく変化した。中でも驚きだったのは、ルイス・ハミルトンがメルセデスからフェラーリへと移籍したこと。2026年にレギュレーションが大変更されるのに備え、各チームはその前からチームの安定化を図ろうとしたのだ。結局2026年にラインアップを変更したのは、新規参入したキャデラックを除けば、レッドブル傘下の2チームだけであった。

 この流れを考えると、来季は大きくドライバーラインアップが変わる年だ。新レギュレーション下で1シーズンを過ごし、各チームは自らの立ち位置を理解した上でドライバー市場に参入することになる。

 実際、現役ドライバーの約半数が、今季限りでチームとの契約が満了となる。ハースのふたりも今季限りで契約が満了するものと見られているため、移籍市場でも大きな動きを見せるものと予想されている。

 同チームの小松礼雄代表は、2027年のドライバーラインアップを決定する時期について尋ねられた際、「5月か6月、もしくは7月頃になると思います」と答え、次のように付け加えた。

「来年のドライバーについては、どのチームも検討していると思います。ハースだけではありません。どのチームもです」

 ハースにおいては、オコンの去就に関して注目が集まっている。早期離脱の噂もあったが、小松代表はこれを「まったくのデタラメ」と一蹴。しかしながらここまでの成績を考えれば、2027年のシート維持が危ぶまれているのは間違いない。

Ayao Komatsu, Haas F1 Team

Ayao Komatsu, Haas F1 Team

Photo by: Sam Bagnall / Sutton Images via Getty Images

 ハースに加入した当初、オコンは100戦以上の経験を持ち、優勝1回を含む4回の表彰台獲得という実績も持っていたため、チームの中心人物としての役割が期待されていた。しかし成績は安定せず、2025年シーズンは若きチームメイトであるオリバー・ベアマンよりも3ポイント少ない38ポイントの獲得に留まった。この成績は満足いくものとは言えない。なにしろこの年のベアマンは、F1フル参戦1年目のいわばルーキーであったのだ。

 2026年にはその差はさらに広がり、カナダGPを終えた段階でベアマンが18ポイントを獲得しているのに対してオコンの獲得ポイントはわずか1となっている。

 フェラーリが電撃的に起用することを選ばない限り、ベアマンがハースを去ることはないだろう。そのため、2027年にベアマンのチームメイトを務めるのは誰なのかということが問題になる。

「今決断するとしたら、ふたりのドライバーを残留させるのか?」

 そう尋ねられた小松代表は、ベアマンの残留を示唆するような言い回しをした。

「こういう質問は、きっと厄介なことになるでしょうね」

「私が何かを言うと、みんな私の言葉を鵜呑みにして、『ああ、アヤオは今決断するなら、エステバンとの契約を継続する、エステバンとの契約は継続しない……と言った』と言うのでしょう。文脈を完全に無視して解釈されますから、その質問には答えない」

 先日のカナダGPでは、ベアマンはジョージ・ラッセル(メルセデス)のリタイア、マクラーレン勢のタイヤ選択の失敗という幸運にも手助けされ、10位1ポイントを獲得した。オコンは14位無得点だった。

 前述の通りベアマンがここまでに18ポイントを獲得していることを考えれば、彼がハースのエースであることは間違いない。

「本当に大変なレースだった」

 オコンはカナダGP後にそう語った。

「今回のレースでは、間違いなくマシンに問題があった。フロントタイヤがロックしないラップは1周もなかった」

「ターン10が特に酷かったけど、ターン8でも2回ほどコースオフしたと思う。予選でアップデートを投入し、2周しかしなかったから全てがうまく機能しているかどうかは判断しにくい。でも、レースでは明らかにマシンに問題があった」

「だからモナコに向けて修正し、より良い状態になって戻ってきたい」

Esteban Ocon, Haas F1 Team

Esteban Ocon, Haas F1 Team

Photo by: Guido De Bortoli / LAT Images via Getty Images

 オコンがこの先復調すれば、もちろん契約継続という可能性もあるだろう。しかし、この先も低迷するようであれば、来季別のドライバーを獲得するという可能性も視野に入れねばならないだろう。

 ハースはグリッド上で最も活動予算が少ないチームのひとつだ。しかしながら近年では競争力を著しく向上させている。さらにその勢いを加速させるためにも、小松代表は共にチームを前に進めることができる、同等の実力を持つドライバーをふたり揃えたいと考えるだろう。

 ではもしオコンの後任として別のドライバーを選ぶ場合の選択肢はどうなるだろうか? ベアマンの時と同じように、関係の深いフェラーリの若手ドライバーを獲得するという道もある。

 現時点では、昨年FIA F3でチャンピオンに輝き、今季はFIA F2に参戦しているラファエル・カマラがその筆頭であろう。カマラは開幕3ラウンドを終え、ランキング2番手につけるなど堅実な走りを見せる。ただ今季からのF1はドライビングスタイルが昨年までのモノと大きく異なるため、ジュニアカテゴリーから若いドライバーをステップアップさせることを躊躇する声が、パドックではよく聞かれる。

 リザーブドライバーのジャック・ドゥーハンを起用するのも、選択肢のひとつだ。彼ならば、新しいスポンサーを持ち込むことも期待できる。ただドゥーハンは、昨年アルピーヌで走った時に苦労したため、ベアマンと同等の活躍を期待できるかは未知数な部分もある。

 いずれにしても、まずはオコンの今後次第だろう。彼には、ベアマンと同等のパフォーマンスを発揮することが期待されており、それを証明しなければいけない。ただ、そのために残された時間は少ない。

Additional reporting by Ronald Vording

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