F1
メルセデスF1代表が説明する、予算制限額を引き上げたい理由「インフレに苦しむスタッフを救いたい」
メルセデスのチーム代表であるトト・ウルフは、エネルギーや輸送費の高騰に対応する形でチームの年間予算上限額を特例的に引き上げれば、インフレに合わせる形でチームスタッフの給与も調整することができると考えている。

Filip Cleeren
編集: 2022/06/08 18:02
Copy link
Viberでシェア
Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

ロシアのウクライナへの侵攻や新型コロナウイルスの影響により、エネルギー価格や輸送費が世界中で高騰。また特に欧米を中心にインフレも進み、その度合いは過去数十年で最高レベルとも言われている。
F1には昨シーズンから予算制限額が導入。そんな中で様々なコストが上昇したことで、各F1チームは大いに苦しめられている。
メルセデスのトト・ウルフ代表は、エネルギー価格や輸送費の上昇に伴い、予算上限額を一時的に引き上げるべきだと主張。そうすれば、物価上昇に苦しむチームスタッフの給与にも調整を加えることができるはずだと語った。
F1に参戦する全10チームのうち、特にメルセデスやフェラーリ、レッドブル、マクラーレンといった大規模チームは、そもそも予算上限ギリギリの額でチームを運営する計画を立てていた。そんな中エネルギー価格や輸送費の高騰、さらにインフレまでもが追い討ちをかけ、抜本的な対策が導入されなければ、予算上限額を超過してしまうリスクがある。そのためこれらのチームは、現状を考慮して一時的に予算上限額を調整することを求めている。
一方で、そもそも予算上限額ギリギリまで使い切るつもりがなかったいわゆる小規模なチームは、予算上限額を引き上げることに慎重な構えを見せている。そもそもこの予算制限は、チーム間の格差を縮めることを目的に導入されたもの。今回のような事態であっても、特例的に引き上げることとなれば、当初の目的を達成できないのではないかと危惧しているわけだ。
ハースのチーム代表であるギュンター・シュタイナーは、「F1は予算の上限を変更したり、引き下げるべきではない。なぜならこれは、中団グループの戦いには適したモノになっているんだからね」と発言。ただ、輸送費の上昇に対応する形での引き上げについては、FOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)が監視できるとして、認めるべきだともしている。
メルセデスのウルフ代表は、チームの予算上限額をただ引き上げたいと言っているわけではないと主張しつつも、インフレに対応する形でチームスタッフの給与を引き上げる猶予が欲しいと語った。
「我々がより多くの”利益”を生み出したいということではないんだ。人々が苦しんでいる異常なインフレに対応する形で、チームスタッフの給与を保証することを可能にしたいのだ」
そうウルフ代表は語った。
「急にもっと多くの金額が欲しくなったわけじゃない。しかし今年の初めの実態と、今の数字を見てみよう。うまくいけば、調整する方法も見つけることができるはずだ」
「このスポーツにとって最悪の事態は、いくつか小さなチームが『大きなチームがアドバンテージを得ようとしている』とする頑固な立場にあることだと思う。しかし、それを納得させようとしている。反対に我々が上限額を引き上げようとしていると言うが、それは我々もやりたくないことだ」
「チームオーナーとしての立場から言えば、予算上限を引き上げること……当初のコンセプトを打破するためだけに、予算上限額を引き上げることはしたくない。しかし特に今のような厳しい状況では、チームスタッフが十分な給与をもらえるようにして欲しい」
ウルフ代表は、予算上限額を引き上げた際に各チームがその額を開発につぎ込むことを避けるのは簡単だと指摘する。チームの収支を監視し、エネルギー価格と輸送費の高騰分にのみ充てるようにすればいいというのだ。ウルフ代表曰く、コストの増加は約800万ポンド(約13億円/6月上旬のレート換算)になるという。
「我々が実証するのは、非常に簡単だと思う。ブラックリーのファクトリーのエネルギー価格は、250万ポンド(約4億円)から650万ポンド(約10億円)に上昇した。同様に輸送費も200万ポンド(約3億2000万円)から600万ポンド(約9億8000万円)になっていると思う。はっきりしているよ。収支報告書でそれを確認することができると思う」
「これは調整の観点から我々が求めているものだ。これにより、スタッフの賃金を引き上げるために、その一部を使うことができる」
ウルフ代表は、チーム間の格差を埋めるためにこの予算上限を導入したと指摘。しかし損害が及ぶ可能性が生じた時に、その妥協点を見出すことができるようにしたいと語った。
「我々はいかなる状況においても、チームとしての我々や、業界にとって本当に損害を与えるような形で、大きなチームを再編成したり、再構築するようなことは避けたいと思っている」
そうウルフ代表は言う。
「予算制限は、小さなチームが大きなチームと同じ予算額を使うことができるようにするという、特定の目的のために導入された。予算制限額を引き上げるために、毎年交渉をするべきではないと思うが、今の我々は、例外的な状況に直面していると思う」
Read Also:
- F1チームの予算制限は、新パーツの投入にどんな影響を及ぼすのか?
- ハミルトンにあと必要なのは”運”だけ。メルセデス代表、ラッセルとのパフォーマンス差を否定
- 予算制限をクリアできないとクビになる! ハース代表、インフレによるコスト増も「やり遂げるのが私の仕事」
- 自由競争OK! レッドブル代表、フェルスタッペンとペレスの「どちらがF1世界チャンピオンになっても構わない」
- 直線番長からオールラウンダーへ。レッドブル、マシン特性の変更に柔軟な姿勢「立ち止まれば、置いていかれる」
あなたの意見が聞きたい!
Motorsport.comで何を見たいですか?
5分間のアンケートにご協力ください。
- Motorsport.comチーム
コメントを読んで投稿する
関連ニュース :
記事をシェアもしくは保存
Copy link
Viberでシェア
前の記事 ルクレールは「F1での“跳ね馬神話”を紡ぐ継承者」とフェラーリ代表。ジル・ビルヌーブとの共通点も?
次の記事 F1フランスGPの将来に暗雲。モナコやスパも……「どれもF1にとって特別なモノなんだ!」とオコン開催継続を切望
Top Comments
コメントはまだありません。 最初のコメントを投稿しませんか?
View More & Comment

More from
Filip Cleeren

アレクサンダー・アルボン、ウイリアムズとの契約を2027年まで延長「僕たちの物語はまだ終わっていない」
F1
F1
オランダGP
8 時間前
アレクサンダー・アルボン、ウイリアムズとの契約を2027年まで延長「僕たちの物語はまだ終わっていない」

成功に近道なし。苦労人マクニッシュがセナとアウディ重鎮から得た学び……F1レーシングディレクターの職務に活きる
F1
F1
1 日前
成功に近道なし。苦労人マクニッシュがセナとアウディ重鎮から得た学び……F1レーシングディレクターの職務に活きる

なんでそんなに新パーツを作れるのか……フェラーリの積極アップデートにマクラーレン感銘「それを実現できた理由を、理解しなければいけないな」
F1
F1
オランダGP
7 日前
なんでそんなに新パーツを作れるのか……フェラーリの積極アップデートにマクラーレン感銘「それを実現できた理由を、理解しなければいけないな」

More from
メルセデス

ハミルトンが不気味な存在だが……メルセデス、タイトル争いで“アントネッリを勝たせる”体制にはせず「まずはチームが最優先」
F1
F1
5 時間前
ハミルトンが不気味な存在だが……メルセデス、タイトル争いで“アントネッリを勝たせる”体制にはせず「まずはチームが最優先」

ライバルの伸びは“恐ろしい”とメルセデス……しかし「我々には伸びしろが残っている」と自信も
F1
F1
オランダGP
9 時間前
ライバルの伸びは“恐ろしい”とメルセデス……しかし「我々には伸びしろが残っている」と自信も

ここで乗らなきゃいつ乗るんだ! ラッセル、2020年メルセデス代役で文字通り無理を通した過去明かす
F1
F1
オランダGP
3 日前
ここで乗らなきゃいつ乗るんだ! ラッセル、2020年メルセデス代役で文字通り無理を通した過去明かす
最新ニュース

角田裕毅にF1復帰のチャンス到来か? ハジャーが手首の負傷でF1オランダGP欠場の可能性が浮上
機能
F1
ライブテキスト
評価
機能
F1 1 時間前
オランダGP
角田裕毅にF1復帰のチャンス到来か? ハジャーが手首の負傷でF1オランダGP欠場の可能性が浮上

クラッシュを頻発させたレッドブルのマカレナウイング。FIAは介入せず……しかしチームは独自に改良「自分たちのマシンを壊したい人は誰もいない」
機能
F1
ライブテキスト
評価
機能
F1 5 時間前
オランダGP
クラッシュを頻発させたレッドブルのマカレナウイング。FIAは介入せず……しかしチームは独自に改良「自分たちのマシンを壊したい人は誰もいない」

バイク版ワイルド・スピード誕生? Netflix、MotoGPをフィーチャーした映画制作を進行中か
機能
MotoGP
ライブテキスト
評価
機能
MotoGP 5 時間前
バイク版ワイルド・スピード誕生? Netflix、MotoGPをフィーチャーした映画制作を進行中か

ハミルトンが不気味な存在だが……メルセデス、タイトル争いで“アントネッリを勝たせる”体制にはせず「まずはチームが最優先」
機能
F1
ライブテキスト
評価
機能
F1 5 時間前
ハミルトンが不気味な存在だが……メルセデス、タイトル争いで“アントネッリを勝たせる”体制にはせず「まずはチームが最優先」
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。
次の 2 つのオプションがあります。
- サブスクライバーになります。
- 広告ブロッカーを無効にします。
購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします
広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード
お知らせの管理
登録