ル・マン直前に性能絞られたアルピーヌ。「“大人の事情”あったはず」と可夢偉チーム代表
ル・マン24時間レースで決勝を前に性能調整がかけられたアルピーヌについて、トヨタの小林可夢偉チーム代表が言及。背景には“大人の事情”があったのではないかと語った。
スーパーフォーミュラ第5戦が行なわれるスポーツランドSUGOで開催された、小林可夢偉と平川亮によるル・マン24時間凱旋会見。その中で、TOYOTA GAZOO Racingのチーム代表も務める小林が、アルピーヌに対する土壇場での性能調整について口を開いた。
WEC(世界耐久選手権)最高峰のハイパーカークラスに、旧規定のLMP1をベースとした車両で参戦しているアルピーヌ。今季のル・マンに向けては、テストデーの段階で直線スピードが大きく劣っていると訴えており、これを受けて木曜日のプラクティスと予選ハイパーポールを前に性能調整(BoP)が変更。最大出力が420kW(563bhp)から427kW(572bhp)に引き上げられた。
その結果、アルピーヌはハイパーポールでトヨタ勢に一気に肉薄。アタック中にトラフィックの影響を受けたトヨタ7号車と同等のタイム(0.022秒落ち)を記録して3番手につけた。
そんなアルピーヌについて小林は、決勝前の会見で「シミュレーションでは(性能調整によって)1秒くらいしか速くならないはずでしたが、2.6秒くらい速くなりました。彼らはかなり三味線を弾いていたのではないかと感じています」と話しており、アルピーヌがあえてテストやプラクティスを遅く走っていたのではないかと示唆していた。
結局アルピーヌは決勝を前に再度性能調整がかけられ、最大出力はテストデー時よりも低い417kW(559bhp)まで落とされた。
迎えた決勝ではトラブルも続き、ハイパーカー勢には太刀打ちできなかったアルピーヌだが、やはり小林としてはハイパーポールを終えた段階でかなり警戒していたようだ。
「レースでは軽いクルマの方が(タイヤの)デグラデーションが少ないことを考えると、一発のタイムをそこまで出されるとレースはかなり厳しいんじゃないかという考えが自然と出てきました」
そう語る小林。彼はアルピーヌのBoPについて、トヨタ側から意見を述べたり働きかけをすることはなかったとしつつ、今回のBoP変更劇には“大人の事情”もあったのではないかと述べた。
「ACO(フランス西部自動車クラブ/ル・マン24時間の主催団体)も、もちろんフェアにやろうとはしていると思います。ただ、アルピーヌはLMP1という前のカテゴリーがベースのクルマなので、そのクルマがル・マンに勝っちゃうとまずいなという“大人の事情”はあったのではないかと思います。そういう背景もあって、本来よりも大きめのBoPを課したのではないかと考えています」
Kamui Kobayashi
Photo by: Masahide Kamio
「では、あれ(決勝前の性能調整)をやらなくても(トヨタ勢は)良い勝負ができたと思います。とはいえ、アルピーヌの方がグリッケンハウスよりも速くなっちゃうというのは、これからハイパーカーに入って来ようとしている人たちにとっては不都合だと思います」
「トヨタとアルピーヌがどうこうではなく、これからハイパーカーに入って来ようというマニュファクチャラーのことを考えても、せっかくハイパーカーを開発したのに“グランドファザーカー”が速いとなると、カテゴリーの位置付けとして間違ってきちゃうから、ああいうBoPになったのでしょうし、あの判断は間違っていなかったと思います」
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