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MotoGP イギリスGP

MotoGPのタイヤ内圧ルールで初めてのポカ? クアルタラロがポイント失ったペナルティを紐解く

ファビオ・クアルタラロは、MotoGPイギリスGPで16秒のペナルティを受け、ポイントを獲得できなかった。その背景にあった要因を詳しく見てみよう。

Vincent Lalanne-Sicaud

公開日時: 2026/08/15 10:20

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Fabio Quartararo, Yamaha Factory Racing

写真:: Glyn Kirk / AFP via Getty Images

 MotoGP第12戦イギリスGPの決勝でヤマハのファビオ・クアルタラロは12番手でフィニッシュしたものの、フロントタイヤの内圧規定に違反があり16秒のタイム加算ペナルティを受け、ポイントを獲得できなかった。そのペナルティについて詳しく見てみよう。

 導入されてしばらく経つタイヤ内圧に関するルール。ペナルティはしばしば発生するが、これは通常ならミシュランが安全上の理由から定めている下限値を超えたタイヤ空気圧で、規定の周回数を走行できなかった場合に科されるものだ。しかし、今回のイギリスGPでクアルタラロが受けたペナルティは事情が異なっていた。

 クアルタラロがペナルティを受けたのは、フロントタイヤの空気圧データがモニタリングシステムに記録されていなかったためだった。スチュワードの裁定によれば、「センサーIDがレシーバーのデータベースに登録されていなかった」という。この異例の事態は、レース前にクアルタラロのチームが行なった手続き上のミスによって発生した。

 現在のタイヤ空気圧監視システム(TPMS)は、リムに装着される空気圧センサーと、無線でそのデータを受信・保存するユニットによって構成されており、フランス企業のOnRace Motorsportsが全チームに供給している。そのうえで各メーカーがセンサーを管理し、バイクへの装着やシステムの設定を行なうことになっている。

■レース中に発覚した問題

 今回のイギリスGPでは、レース中にクアルタラロのバイクに装着されたフロントタイヤの空気圧センサーから、チャンピオンシップの主催者へリアルタイムでデータが送信されていなかった。

 MotoGPのテクニカルディレクターを務めるダニー・アルドリッジは、レース終了後にOnRace Motorsportsへ問題の分析を依頼した。

 まず確認されたのは、センサーそのものが正常に作動しているかどうかだった。各チームがセンサーのパラメーター(空気圧、温度、バッテリー残量)を読み取るために使用できる装置で測定した数値と、ミシュランが空気圧計を使って記録した数値を比較した。

Fabio Quartararo, Yamaha

Fabio Quartararo, Yamaha

Photo by: Gold and Goose Photography / LAT Images / via Getty Images

 すると、両者の測定値は一致していた。つまりセンサーは正常に機能しており、一貫した空気圧データを提供していたことになる。しかし、バイクに搭載されたシステムと、レース中に運営側のシステムへ接続されるバイクのECUとの間では通信が確立されていなかった。

 そこで、問題がシステムそのものにあったのか、それともバイクの準備段階における人為的なミスだったのかを判断するため、さらに調査が行なわれた。

■レシーバーにセンサーが登録されていなかった

 TPMSは事前の設定を必要とするシステムだ。各メーカーは、バイクに使用するセンサーの識別番号をレシーバーに登録しなければならない。また、それぞれのセンサーがフロント用なのかリヤ用なのかもシステムに登録する必要がある。

 分析によって、問題の原因はすぐに特定された。クアルタラロのバイクのリムに装着されていたセンサーが、レシーバーのメモリーに保存されているセンサーのリストに含まれていなかったのである。

 つまり、センサー自体は完全に正常だったものの、レシーバーがそのセンサーを認識できなかったため、データを受信できなかったということになる。

 各部品に故障の痕跡がなかった以上、問題の原因はバイクの準備時にヤマハ側で発生した確認漏れだったと考えられ、それは規則違反となってくる。

Fabio Quartararo, Yamaha

Fabio Quartararo, Yamaha

Photo by: Alexander Trienitz

 この責任については、規則第2.4.4.9.1条で明確に定められている。メーカーは、レース前にバイクに装着されたセンサーが正しく登録されていること、計測システムが正常に機能していることを確認しなければならない。

 MotoGPがタイヤを監視するシステムを導入したのは、2023年のシルバーストンGPからで、今回のイギリスGPでちょうど3年となる。それまで、このような登録漏れによってチームが問題に直面した例はなかった。

■不当なペナルティを防ぐためのシステム

 なおセンサーやTPMSに不具合が発生したからといって、それだけでライダーやチームに自動的にペナルティが科されるわけではない。

 所定の検証手順を経て、データが取得できなかった原因が技術的な問題なのか、それとも設定ミスによるものなのかを判断するようにされている。システムの供給側と各チームの責任範囲が明確に分けられているため、これが重要な手順となる。

 メーカーに提供されている技術文書にも、従うべき手順が記載されている。その中には「permit list」と呼ばれる許可リストも含まれており、フロント用とリヤ用に割り当てられたセンサーの識別番号が記載されている。

 メーカーが直接責任を負うのは、大きく2つの部分だ。

 ひとつ目は、各バイクが割り当てられたセンサーを認識できるよう、センサーの識別番号を許可リストに正しく登録すること。ふたつ目は、センサーのバッテリー状態と電圧を定期的に確認し、フィニッシュまで正常に機能し続けられる状態を維持することだ。

 プラクティスやレース中にセンサーが故障した場合には、原因を特定するための調査が行なわれる。一方、センサー自体は正常に作動しているにもかかわらず、レシーバーに登録されていなかった場合は、チームに起因する設定ミスと判断される。

 今回はチームの確認が徹底されていれば防げたミスということになるが、苦戦続きの中、数少ないポイント獲得チャンスを逃してしまったクアルタラロとしては、ヤマハで過ごす最後のシーズン、残りレースでは再発防止を求めたいところだろう。

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