今回こそ……! 今季2度目PPの大湯都史樹は結果に繋げられるか? レースペース改善に向けチームは未だ苦慮も「課題は見えてきている」

スーパーフォーミュラ第5戦で今季2度目のポールポジションを獲得したTGM Grand Prixの大湯都史樹。チームは今季苦しんでいるレースペースの改善に向けて分析を進めている段階だが、課題となる部分は少しずつ見えてきているようだ。

Toshiki Oyu, TGM Grand Prix

 スポーツランドSUGOで行なわれたスーパーフォーミュラ第5戦でポールポジションを獲得したのは、TGM Grand Prixの大湯都史樹。今季既に2度目のポール獲得であり、持ち前の速さを嫌というほど見せつけている。

 しかし、大湯と彼を取り巻く人々が何よりも求めているのは、決勝レースでの結果。第1戦富士では7位でフィニッシュしたものの、第2戦富士は攻めの姿勢を見せた結果タイヤトラブルに見舞われて20位、第3戦鈴鹿と第4戦オートポリスでは共に接触リタイアに終わった。

 今回大湯が接触のない「安全第一」なレースを心がけるという覚悟は、彼が「安全第一」のヘルメットを模した帽子でピットウォークに参加していることからも明らか。しかしそれはさておき、彼らにとってもう一点心配な要素がレースペースだ。

 今季ここまでの予選のほとんどで上位グリッドを獲得している大湯だが、決勝レースは我慢のレースが続いている。特に開幕の富士ラウンドでは、大湯本人としてはかなりタイヤをセーブしていたにもかかわらず、タイヤ温度が上昇してしまう症状に悩まされていた。

 ただその後の鈴鹿戦とオートポリス戦は共に接触リタイアに終わったものの、ペース面で上位陣に匹敵するパフォーマンスを見せていた。テクニカルディレクターとしてチームのエンジニアリングを統括する星学文エンジニアは過去2戦を振り返り「課題は見えてきているかなと思います」と語るが、今回のSUGO戦は路面温度が高くなることが予想されているため決して楽観視はしていない。

 TGM Grand Prixのチームオペレーションを担当するのはセルブスジャパン。彼らは昨年はTEAM GOH、それ以前はTEAM MUGENを担当して実績を残してきたが、そんな彼らの解析力をもってしても現状のレースペースという課題を解決するのは一筋縄ではいかない様子。というのも、昨年のTEAM GOHとはドライバーラインアップも全く違っている上に、車両がSF19からSF23に変更されるというダブルパンチが状況を難しくしているようだ。

 今季の新パッケージが与える影響について、星エンジニアは次のように語る。

「ドライバーがふたり共変わってしまって、クルマも変わっている状況なので判断が難しいです」

「どの要素がどうなっているのかを分析している最中ですが、どの要素が最もレースペースで苦しんでいることに繋がっているかは、全ては分かっていません」

 また大湯は、リヤよりもフロントのグリップが強く、コーナーを曲がりやすい代わりにリヤが不安定となるオーバーステア傾向のマシンを好むと言われている。そういったドライバーの好みはクルマ作り、ひいてはレースペースにどの程度影響を与えているのかと聞くと、星エンジニアはなかなか判断が難しいものだと語った。

「もしかしたらそういう部分もあるかもしれませんが、我々エンジニアサイドも仮説を立てながらロングランに向けて色々作っている最中なので、現時点では何とも言えません」

「ドライバーによって当然好みはあると思うので、エンジニアの考えるベストなセットアップから、ドライバーサイドにどれだけ合わせるかがポイントだと思います」

「SUGOのようなテスト機会の少ないサーキットにおいても、我々は過去の知見から『このサーキットなら車両が変わってもこうなるんじゃないか』というものがあります。ただ前半戦を振り返って、ドライバーの好みを取り入れるべきなのかはエンジニアとしても迷いどころですね」

 

Photo by: Masahide Kamio

 予選ではポールをとれるマシンに仕上げてきたTGM Grand Prix。予選に向けてはタイトな前半区間、ハイスピードコーナーの続く後半区間のどちらにも適したセッティングを施したようだが、レースに向けてはタイヤをケアする必要があることから、タイヤ負荷の大きい後半セクターを意識した方向性に変える可能性もあるという。

 レースに向けての意気込みを、星エンジニアは次のように語った。

「大湯選手はこの間(オートポリス)もかなり力強いレースをして、下位から上位に上がっていく強さを見せましたが、最後にひとつだけ足りない部分があった、というところでした」

「前回のレースで見せた強さを今回はポールから見せて、ポール・トゥ・ウィンを目指したいです」

 
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