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トップ走行の大湯都史樹はなぜ、セオリーに反した“10周目ピットストップ”を敢行したのか。「色々な要素があります」と詳細に説明

スーパーフォーミュラ第2戦で大湯都史樹は、スタートでトップに立ちながらもライバルより先にピットインする戦略を選んだ。その理由について、様々な要素があったと本人が説明した。

Toshiki Oyu, SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING

写真:: Masahide Kamio

 スーパーフォーミュラ第2戦もてぎのドライバー・オブ・ザ・レースに選ばれた大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)。久々のフロントロウスタートから一時首位に立つなど、ルーキーイヤー以来の勝利が近付いたかに思われたが、最後は防戦一方となり5位に終わった。

 予選で2番グリッドを手にした大湯は、スタートでポールシッターの太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)に襲い掛かり、2コーナーでトップに浮上。太田の猛攻に遭う時間帯もあったがなんとか抑え切り、トップのまま10周目を迎えた。

 10周目はタイヤ交換義務の消化が可能となるピットウインドウオープンのタイミング。ここでトップの大湯はピットに滑り込んできた。ただ、このタイミングで入ったのは上位陣では大湯だけ。代わって首位に立った太田はクリーンエアを得て好ペースで周回を重ね、一方で大湯はまだピットに入っていない集団に早々に追いついてしまうなど、戦略で明暗分かれたような印象であった。

 そもそもトップを走るドライバーは、順位を争うライバルの出方を伺える立場とも言える。その中で大湯は、ピットイン可能な最小周回で自ら先んじてアクションを起こした格好。しかもこれは岡島慎太郎エンジニアと事前に話し合ったプラン通りであったといい、トップに立ったことを受けて戦略を変更したりはしなかったわけだ。

 この戦略判断は、様々な考えがあってのことだったようだ。大湯はレース後、それについて少し言いにくそうにしていたが、最終的には「色々な要素があります」として、詳細に背景を説明した。

「まず、僕たちはピット作業にあまり自信がありませんでした」

「(ライバルとピットのタイミングを)合わせると、ピット作業勝負になっちゃうんですよね。ピット作業が遅れると、アウトラップで抜かれてしまうリスクがあります」

「その中で、格之進は僕に合わせることはない、引っ張るだろうということは分かっていました。であれば(10周目にピットインした場合は)仮にピット作業でタイムをロスしてもコース上で取り返せるというメリットがありました」

 またこの大湯の戦略は、再舗装路面によってタイヤデグラデーション(性能劣化)がほとんどなく、レース中の各車のペースがほとんど変わらないであろうという前提の下に成り立っている。大湯としては、早めにピットストップして太田と同等かそれ以上のペースで走り、終盤にタイヤ交換を終えてピットアウトしてきた太田をコールドタイヤのアウトラップで攻略し、そこから抑え込む……そんなシナリオを思い描いていたという。もちろん、途中のトラフィックが懸念事項であることには変わりないのだが。

「ピットストップを遅らせた人は、一瞬オーバーカットする(ライバルの前に出る)ことができても、アウトラップでライバルに普通に抜かれてしまいます。じゃあ、そこから抜き返せるほどのペース差があるのか、という話です」

 しかし大湯の目論見は、そもそものペース不足によって破綻してしまった。ただそれはタイヤの摩耗によるものではなく、とあるものが「壊れていった」ことが原因だという。大湯は何が壊れていったかについては言及を控えていたが、いずれにせよどのサーキットでも安定したレースペースを実現するために、一定の確信を得たセットアップを持ち合わせているようで、「“いつもの大湯都史樹”みたいになっちゃっている」理由は上記のトラブルによるものだという。

 他と比べて明らかにペースが遅い中、複数台によるトレインを形成しながらも、後続を抑え切って5位でフィニッシュした大湯。「レース後はただただ嘆いていましたね。優勝を確信していたので。なんでみんな普通に走れていて、俺だけなんでこんなに遅いの?って」と残念がった。

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