スーパーフォーミュラ 第8戦:SUGO
スーパーフォーミュラ初王座にまっしぐらの太田格之進。圧倒的強さの秘訣はLMDhでの経験?「“動くクルマ”を動かさずに速く乗れている」
今季スーパーフォーミュラで圧倒的な強さを見せている太田格之進。担当する吉田則光エンジニアは、LMDhマシンを経験するなどしてドライバーのスキルが向上したことも一因ではないかと語った。
戎井健一郎
編集: 2026/08/11 8:04
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写真:: Masahide Kamio
2026年のスーパーフォーミュラは、太田格之進の年になっていると言っても過言ではない。DOCOMO TEAM DANDELION RACINGで4年目を迎える彼は、ここまで8戦を戦って4勝を記録。残り4レースでランキング2番手との差は45.5点あり、10月の第10戦富士を終えた段階で差を1点でも広げることに成功すれば、鈴鹿での最終2レースを待たずしてチャンピオンを獲得を決定できる計算だ。
太田のここまで8戦の成績は、優勝、優勝、7位、3位、優勝、8位、優勝、4位。ただ今季の彼がいかに圧倒的かは、“負けた”4つのレースにフォーカスを当てるとより際立つ。
7位に終わった鈴鹿戦は、トップ走行中に小雨が降った際、ウエットタイヤに交換する作戦が失敗した形。ただこの時の路面はスリックタイヤでは走行が難しい状況まで悪化しており、太田以外の上位陣も例外なくピットに入った。当時のコンディション、トップというギャンブルができない立場を考えると、太田陣営としてはほぼ不可避なピットインだったと言えるかもしれない。
同じく鈴鹿で翌日に行なわれたレースでは、福住仁嶺(NTT docomo business ROOKIE)、岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)とファイナルラップまで優勝争いを繰り広げての3位。勝った福住との差はわずか0.620秒だった。
オートポリスの代替戦として富士で行なわれた第3戦は、25周のスプリントレースでトップと2.6秒差の3番手でフィニッシュするも、スタート前に濡れていたグリッドをブロワーで乾かしたことで10秒ペナルティを受け8位。先日のSUGO戦は野尻智紀(TEAM MUGEN AUTOBACS)やイゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)と優勝争いを演じていたが、セーフティカーの妙で福住と岩佐の先行を許すことになり、4位に終わった。
このように、太田はここまで全てのレースでトップ争いに絡んでおり、自身の走りとは関係のないところで順位を落としたケースも多い。純粋なパフォーマンスという点では、ほとんど隙が見当たらない。
LMDhの経験が進化に繋がった?
そんな好調の要因について、ダンディライアンの監督であり太田の担当エンジニアも務める吉田則光氏に尋ねると、「どちらかというと、ドライバーじゃないですかね」と答える。
「太田くんが上手になったんだと思います」
「彼は特にハイパーカー(LMDh)に乗っているので。ハイパーカーってエアロマシンですが、動くクルマも動かさずに速く乗れているんだと思います。すごく上手いですよ」
太田は昨年より、IMSAスポーツカー選手権に参戦してLMDh規定車両のアキュラARX-06を走らせている。LMDhはLMHと共にル・マン24時間レースやWECの最高峰クラスを戦う、世界最高峰のプロトタイプカーだ。
写真: Brandon Badraoui / Lumen via Getty Images
“動くクルマ”を動かさずに速く乗る……これはダウンフォースから得られるエアログリップとサスペンションの動きで得られるメカニカルグリップを両立するためには重要なポイントと言えるだろう。
強力かつ安定したダウンフォースを得るためには、車高をベストな位置でキープしたまま走り、マシンの床下と路面の間を通る空気の流れを安定させたい。そのためには、サスペンションを硬くして車体の姿勢変化を抑えにかかるというのも選択肢のひとつだ。ただそうなると、サスペンションの動きが減り、タイヤが路面の凹凸を捉えにくくなってしまう。逆にメカニカルグリップを得るためにサスペンションをより動く方向に設定すると、マシンの床下を通過する気流の量が変動し、ダウンフォースが安定しないというトレードオフが生じる。その相反する要素をどう両立するか……これはどのチームも頭を悩ませる点だ。
ダンディライアンはかつて、吉田エンジニアが独自設計したダンパーでレースを戦っており、メカニカルグリップの高さを武器にしてきた。この動きはダンディライアンにしか出せない……そんなドライバーからの声もあったほどだ。“ダンパーマイスター”の異名を持つ吉田エンジニアの深い造詣は、ダンパーが共通パーツ化された今も活かされている。
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そんなダンディライアンの“動くクルマ”に乗る太田は、ドライビングで車体の姿勢をうまくコントロールしてダウンフォースを確保することでエアログリップも出せている、ということなのだろう。吉田エンジニアは言う。
「クルマを安定させて走らせないとダウンフォースが出ないですからね。ダウンフォース量が変わるということは、バランスも変わってしまいますから」
「(太田は)姿勢をコントロールしてうまく乗っています。ハイパーカーの経験も含めて、彼のドライバーとしてのスキルが上がっているんだと思います」
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