エンジニアとタイヤ交換の“二刀流”!? 10位入賞のDELiGHTWORKSで見られた珍しい光景。背景にはSF新規チームならではの事情
スーパーフォーミュラ開幕ラウンドでは、DELiGHTWORKS RACINGの村井寛太エンジニアがタイヤ交換も担当していたが、そこには新規チームならではの理由があったようだ。
左から松下、村井エンジニア、辻エンジニア
写真:: Masahide Kamio
耐火服を着たスタッフが、PCを開いてデータ解析をする……そんな珍しい光景がスーパーフォーミュラ開幕ラウンドで見られた。これはチームの新規参戦、復帰によりグリッドが22台から24台まで拡大されたことも遠因となっている。
話を聞いたのは、DELiGHTWORKS RACINGの村井寛太エンジニア。彼は昨年B-Max Racingで小出峻を担当していたが、今季から新規参戦DELiGHTWORKSに合流し、元TEAM MUGENの辻凱杜エンジニアと共に松下信治をサポートしている。
そんな村井エンジニアはモビリティリゾートもてぎで行なわれた開幕大会で、チームのメカニックたちと同様に耐火服を着用していた。これはレースウィーク中のタイヤ交換を行なうためだ。
決勝レース前のスターティンググリッド
写真: Motorsport.com Japan
彼はなぜ、エンジニアとタイヤ交換メカの“二刀流”をこなすことになったのだろうか? 先にも述べた通りDELiGHTWORKSは新規参戦チームであり、メカニック陣は主にメンテナンスガレージである戸田レーシングのスタッフで構成されている。戸田レーシングは長らくスーパーフォーミュラ・ライツ(旧全日本F3)で活躍してきたチームだが、同カテゴリーはレース中のピットストップがないため、0.1秒を争うスピーディなタイヤ交換の経験値は決して多くない。そこで、元メカニックの村井エンジニアに白羽の矢が立ったのだ。
村井エンジニアは右フロントのタイヤ交換を担当。これについて松下は「元々やってもらおうとしていた人がいたんですけど、(準備)時間的に無理があるので(笑)。寛太やるしかないな!となりました」と説明した。
また村井エンジニア本人も、経緯についてこう補足した。
「タイヤ交換はスーパーフォーミュラですごく重要な要素です。今みんなで練習しているところなのですが、何年間かタイヤ交換をやっていた自分がやることで、より安心してピット作業ができるんじゃないかということで、今大会に関しては僕が担当することになりました」
スーパーフォーミュラはホイールナットがアルミ製であり、鉄製ホイールガンを適切に差し込まないとネジ山を“かじる”リスクがあるなど、タイヤ交換は見た目以上に繊細で難しい作業だと言われる。聞くところによると、同じく新規参戦のナビクル Buzz MK RACINGも同様にエンジニアがタイヤ交換を兼務したとか。台数増加によりパドックで働くスタッフの総数も増えたが、タイヤ交換に熟練している人材は限られているわけだ。
今大会は、両エンジニアで共にデータ解析やプラン決めをしながら、村井エンジニアがタイヤ交換に駆り出される際は辻エンジニアがトラックエンジニアとしてのオペレーション指示を担うなど、若いふたりでうまく役割分担していた様子のDELiGHTWORKS。第1戦は雨でピットストップはなかったが、第2戦では無事に大きなロスなくタイヤ交換を成功。村井エンジニアも「タイヤ交換は久しぶりで、ちょっと身体も痛めてるのですが、なんとか遅れずにできたと思います」と笑顔を見せた。
“メカ上がりのエンジニア”の存在は色んな面でプラスに?
そんなピット作業も追い風に、松下は15番手スタートから10位入賞を記録。開幕ラウンドでいきなりポイントを獲得してみせた。
写真: Masahide Kamio
スーパーフォーミュラではドライバーの腕だけではなく、エンジニアの考えるセットアップ、メカニックによる精度の高いマシンの組み上げなどが全て噛み合ってようやくパフォーマンスが出せると言われる。村井エンジニアはメカニック出身としての知見を活かして、普段は岡山にあるファクトリーで杉尾一豊チーフメカと共に二人三脚でマシンを組んでいるという。
「(エンジニアがメカニックに)数値を指示するだけでは、人によって誤差が生まれてきます」と村井エンジニア。
写真: Masahide Kamio
「自分は基本的に岡山に常駐して、普段からチーフの杉尾さんと一緒にクルマを組んでいますし、工場でメカニック業務もしています。それによって、僕たちエンジニアが求めるクルマに近付けることができていると思います」
群雄割拠のスーパーフォーミュラで、幸先の良いスタートを切ったDELiGHTWORKS。村井エンジニアは「ドライバーも速いですし、一緒にやっている辻もすごく能力が高いので、もっと上を狙っていけると思っています。チームのためになんとか頑張りたいです」と意気込んだ。
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