スーパーフォーミュラ連覇達成……重圧から解放された野尻智紀。最終戦は“フルプッシュ宣言”「限界を知れるレースにしたい」
スーパーフォーミュラ第9戦でシリーズタイトルを確定させた野尻智紀は、重圧から解放された第10戦ではとにかく限界まで攻めるレースがしたいと語った。
鈴鹿サーキットで開催されたスーパーフォーミュラ第9戦。このレースで2位に入った野尻智紀(TEAM MUGEN)は、翌日の最終戦(第10戦)を待たずして2022年シーズンのシリーズタイトルを確定させた。国内トップフォーミュラでの2年連続のタイトル獲得は2007年〜2008年の松田次生以来、シリーズ名称が“スーパーフォーミュラ”となってからは初の快挙だ。
今季の野尻は恐ろしいまでの速さと安定感を見せた。ここまで9戦を戦って、ポールポジションは5回。“ワーストリザルト”はなんと4位で、常に上位でフィニッシュし続けた。
そんな安定した成績を残せたのも、シーズン序盤の好成績でタイトル争いの主役となった野尻が、常にリスクを考えながらクレバーなレース運びをしてきたからだ。第8戦もてぎで4位に終わった時も、「戦う相手を間違えない」ことを念頭に置き、タイトル争いのライバルをカバーするために保守的な戦略を採ったと話していた。
今回のレースも、ライバルである平川亮(carenex TEAM IMPUL)やサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)が後方グリッドに沈んでいたものの、彼らの状況次第で柔軟に戦略を決めようと考えていたという。
「戦略面では元々、(チームメイトの笹原)右京選手がミニマム(ピットウインドウの最低周回数)で入る方向になっていて、僕は他の選手の動向を見ながら決めることになっていました」
野尻はレース後の記者会見でそう語った。
「平川選手やサッシャ選手がスタートでもっと前にきていたら、もっとマークしなければいけなかったと思いますが、(グリッド順位から)そこまで変わらなかったので、純粋に(順位争いのライバルである)大湯(都史樹/TCS NAKAJIMA RACING)選手に対応する形にしました」
Tomoki Nojiri, TEAM MUGEN
Photo by: Masahide Kamio
己の速さを追求するということ以上に、リスク管理に気を遣いながらシーズンを戦ってきた野尻。シーズン途中から「今年のタイトルは野尻で決まりだ」「野尻が連覇して当然」といった風潮になってきたことも、彼にとっては重荷となっていた。その心労の大きさも察するに余り有る。
「最近は色んな状況を考えながらレースをしていました。それがうまくいったこともありましたが、もう少しプッシュしたいと思う場面もありました」
記者会見後の囲み取材で、野尻はそう吐露した。
「そういったことも重なって自分の中で(タイトルへのプレッシャーが)重荷になっていて、タイトルをとらない訳にはいかない、というところまで(精神的に)追い詰められていました。今は肩の荷が下りたという言葉がぴったりで、スッキリしたという気持ちです」
連覇を決め、精神的に身軽になった野尻。ダブルヘッダーとして開催される最終戦は、これまでとは違ったアプローチでレースがしたいと語る。
「今回も状況を見ながらマネジメントするレースになりましたが、次戦は(失うものが)何もないので、来年に向けて自分の限界を知れるようなレースにしたいです」
「今日みたいにリスクを考えることはせずに、最後は疲れてこれ以上プッシュできないというくらいまで追い込んで走りたいです」
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