スーパーフォーミュラ

思えばデビュー戦もバタバタだった……“当面最後”のスーパーフォーミュラ参戦を慌ただしく終えた野中誠太「特殊な経験が多いなと(笑)」

スーパーフォーミュラ第3戦の代替戦に出走した野中誠太。レースウィーク途中に決勝レースからいきなり乗り込むというイレギュラーな状況で、マシンにアジャストするのは大変だったという。

戎井健一郎

公開日時: 2026/07/31 3:03

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Seita Nonaka, KCMG

Seita Nonaka, KCMG

写真:: Masahide Kamio

 1大会に3レースが行なわれるという慌ただしいレースウィークとなった7月のスーパーフォーミュラ富士ラウンド。慌ただしさの元凶となったのは、日曜朝に組み込まれた第3戦の代替レースだが、そこで人知れず苦労していたのがKCMGの野中誠太だった。

 野中は元々、KCMGのリザーブドライバーとしてシーズンを迎える予定だった。しかしカッレ・ロバンペラの参戦休止が突如決まったことで、開幕から9号車のステアリングを握ることに。それもロベンペラの後任ドライバーが決まるまでの間……彼にとってはいつ最後のレースになるのか分からない状況だった。

 元々ロバンペラが乗る予定だった9号車は、エンジニアリングを担うハイテックが用意したセットアップでレースを戦っていたが、なかなかパフォーマンスを出すことはできず、野中は無得点のレースが続いた。そのため、今回の富士ラウンドから山下健太の乗る8号車とコンセプトを共有しながらパフォーマンスアップを図る方針に転換したが、時を同じくして9号車のドライバーがジュリアーノ・アレジに決定。野中の仕事はここまで、となるはずだった。

 しかし富士ラウンドで、5月に行なわれる予定だったオートポリス戦の代替レースが組み込まれたことで、野中にチャンスが生まれた。このレースは5月に予選まで行なわれており、その予選を15番手で通過した野中に出走資格があったからだ。

Seita Nonaka, KCMG

Seita Nonaka, KCMG

写真: Motorsport.com Japan

 しかし非常にタフな挑戦であったことも事実だ。野中が乗るのは、日曜朝のレコノサンスラップから。そこが週末で初めてマシンに乗る機会であり、このわずかな走行期間で、これまで自分が乗っていた時とはセットアップの異なるマシンのフィーリングを掴み、レースに備えなければならなかった。

「レコノサンスはなるべくペースを上げることを意識して、とにかく慣れることを最優先で行きました。1コーナーは(全開で)試せないですが、他はレーシングスピードとほぼ一緒のところで走るようにしていました」

 野中はそう振り返る。

「スタート練習も1回やって、そこそこのフィーリングでした。実際のレースでもスタート自体は悪くなかったのですが、1コーナーでのアクシデントを避けるためにポジションダウンして、そこからSC(セーフティカー)が入ったという流れでしたね。低速コーナーやブレーキングはわりとすぐ慣れることができましたが、Aコーナーや100Rといった高速コーナーは慣れるまでに少し時間がかかったかなと思います」

「ただそれよりも、クルマのキャラクターに対する合わせ込みに想像以上に苦戦したかなと。キャラクター、バランスが以前と全然違うものになっている中で、短い周回数でドライビングを合わせるのはあまりうまくいきませんでした」

 野中は18位でフィニッシュ。これがスーパーフォーミュラでの当面最後のレースとなったが、「とにかくクルマの“声”を聞いてどうアジャストするかでいっぱいいっぱいでした(苦笑)」ということで、余計なことを考える暇もなかったようだ。

 ここまでの野中のスーパーフォーミュラキャリアを振り返ると、波瀾万丈だったと言える。

 スーパーフォーミュラ・ライツで4年戦うもチャンピオンには届かず、トヨタ陣営のSFリザーブドライバーとして2025年シーズンを迎え、開幕戦のフリー走行でIMPULのオリバー・ラスムッセンがクラッシュし負傷したことで、突如デビューの機会が回ってきた。それ以前にスーパーフォーミュラでのテスト経験もあったとはいえ、予選からいきなり走るという慌ただしいデビュー戦だった。本人も「なんか特殊な経験が多いなと思います」と苦笑いした。

 その後も代役出場や途中交代という形で次々とシートが巡ってきた野中。結局、この1年半で開催された19レースのうち、16レースに出走した。フルシーズンでのレギュラー起用を一度もされていないドライバーがこれほど多くのレースに出られたことは幸運に恵まれた側面があるのは間違いないが、万全な体制で乗れる機会が限られていたという点では、本人としても不完全燃焼なはず。その実力を証明するチャンスは、再び訪れるのか。

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