【スーパーGT】GTA坂東代表、“性能調整”を語る。鍵となるのはGT300車両のレギュレーションか
スーパーGTにおいて、エントラントから不満の声が挙がることも多い性能調整。その現状についてGTアソシエイションの坂東正明代表に語ってもらった。
写真:: Masahide Kamio
日本国内で最高峰のレースカテゴリーであるスーパーGTは、様々なメーカーの様々な車種が一堂に会し、白熱したバトルを繰り広げるのが最大の魅力とも言える。その拮抗したバトルを実現するために行なわれているのが、各車両に対する性能調整だ。
この性能調整に関しては、GT300(かつてのJAF-GT)、GT300MC、FIA-GT3と3つの車両規定が存在するGT300クラスにおいては、特に複雑なものとなっている。
まず世界の様々なカテゴリーで用いられているFIA-GT3車両の性能調整は、GTワールドチャレンジを主催するSROとスーパーGTを主催するGTアソシエイション(GTA)との提携で定められている。そしてそれを基にしてGT300車両、GT300MCの条件が決まるという形だ。具体的に調整されるのは車両の重量、エアリストリクター径、最大過給圧(ターボ車の場合)などだ。
しかしタイヤがマルチメイクという点、そしてGT300車両は限定的ながらアップデートが許可されている点なども相まって、全ての車両を完全にイーブンな状況で戦わせることは困難を極める。昨シーズンに関しては、チャンピオンを獲得した61号車SUBARU BRZ R&D SPORTをはじめ、GT300規格の車両が際立った速さを見せるケースが多かったためか、GT3ユーザーから性能調整に関する不満が多く聞かれた。
GTAの坂東正明代表は、全てのエントラントから不満が出ないような性能調整を作り上げることは難しいと考えている。どんな形の性能調整であっても、結局は勝てないチームから不満が挙がるのは同じかもしれない。そもそもレギュレーションの抜け穴を突いてパフォーマンスアップを図るチームが出てしまえば、均衡も崩れてしまう……ただそんな中でも、坂東代表はGT300規格の車両に関するレギュレーションには改善の余地があるとの見解を示した。
「GT3に関しては、同じドライバーが同じタイヤで同じ時期に同じコースを走ってテストして、性能調整を決めているということがあります。またGT3には空力やパワーウエイトレシオなどの“パフォーマンスウインドウ”があり、その範囲内でマシンの特性を定め、性能調整が決まっています」
「一方でGT300車両のパフォーマンスウインドウはパワーウエイトレシオくらいしかありません。しかもアップデートも可能になっているので、そこも制御しないといけません」
「GT300車両のレギュレーションは、もう少ししっかりしないといけないと思っています。GT3と同じようにパフォーマンスウィンドウをいくつも作り上げていかないと、きちっとした性能調整ができないと思います」
坂東代表はさらにこう続ける。
「今は好きなようにGT300車両を作れるようなルールになっています。それは元々、プライベーター含め皆がコストをかけずに安価で(マシンを)製作できるようにするためで、優しいというか、(GT300車両が)速くなりそうな要素があったと思います」
「ただ、今は結局空力にしても何にしても自動車メーカーがGT300車両に関わるようになっています。そうなると、コストをかけて、風洞を使ったりして、どんどんギリギリのところを攻めてくる訳です」
近年の台頭の影響もあってか、2021年シーズンには6台だったGT300車両も、2022年シーズンは9台に増加する。これにより、今季のGT300クラスの勢力図はどうなっていくのか? 大いに注目だ。
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